思春期の子育て~ときどき学校を休む中学2年生の男子生徒~
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思春期の子育て~ときどき学校を休む中学2年生の男子生徒~

2019年04月04日(木)12:41 PM

事例    ときどき学校を休む中学2年生の男子生徒

 

 

 

 

 

A君は祖父母、父親、母親、そしてA君の5人家族です。母親の話では中学2年生になってから、①「うるさい」と言って行き先を告げずに出かけてしまう。

 

 

 

 

 

②両親とほとんど話をしない、話したがらない。③勉強する意欲がまったく見られない。④学校のプリント、テストの用紙を親に見せない。

 

 

 

 

 

⑤月に3、4日学校を休む。⑥部活をさぼるようになる。⑦ロックのCDを買い、夢中になって聴いている。⑧部屋に鍵をかけてしまう。

 

 

 

 

 

子どもがこのような状態になって親が精神的に参ってしまい、家に帰るのが辛くなってきている、どう再教育したらいいものか、言い聞かせても言い聞かせても効き目がなく、いつまでこの状態が続くのかと思うと先がまったく見えず、途方に暮れているということです。

 

 

 

 

 

いままで従順で親子の対話もあった一人息子が、急に変わってしまったことに対するとまどいを面接で切々と語っていました。

 

 

 

 

 

女性の担任や母親を毛嫌いしているようで、「何が原因か、まったくわかりません」と思い悩むお母さんの気持ちはよくわかります。

 

 

 

 

 

ただ、このお母さんの訴えのほとんどは、思春期の若者の普通の姿のような気がします。

 

 

 

 

 

①「うるさい」と言って行き先を告げずに出かけてしまう、⑧部屋に鍵をかけてしまう、などは”口うるさい”親たちからの「独立宣言」ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

実際にお母さんが”口うるさかった”かどうかはわかりませんが、祖父母、両親と4人の大人の目を一身に浴び続けてきたA君は”俺は俺だ”と宣言しているように感じます。

 

 

 

 

 

また、④学校のプリント、テスト用紙を見せない、⑦ロックのCDを買い、夢中になって聴いている、などは思春期の若者の普通の姿であり、”熱中して聴ける”ことはむしろ喜ぶべきことです。

 

 

 

 

 

確かに、「⑥部活もさぼるようになり」成績も大幅に下がったというA君は、いま、精神的危機に直面していると思います。

 

 

 

 

 

しかし、A君が精神的危機に直面していることが問題ではありません。問題はその危機をいかに克服するか、です。

 

 

 

 

 

わたしがむしろ心配になったのは「親が参ってしまい、家に帰るのが辛くなってきている」ところです。

 

 

 

 

 

気持ちはわかりますが、「思春期には、もう一度子育てが始まる」のです。ですから、親が先に落ち込んではいけません。

 

 

 

 

 

「思春期からの再出発」を期していただきたいと思います。

 

 

 

 

 

このお母さんの訴えから、A君がお母さんのイメージする理想の子ども像からはみだしてしまったことはよくわかります。

 

 

 

 

 

しかし、A君自身が何を考え、何に悩んでいるのか、また、どんな性格の子どもなのかなどほんとうのA君の姿は面接でもほとんど分かりませんでした。

 

 

 

 

 

もしかしたら、そのあたりがポイントなのかもしれません。

 

 

 

 

 

親は自分の子どものことはわかっているような気になっていますが、実際にはわかっていないものです。

 

 

 

 

 

これをチャンスとしてじっくりと子どもとつきあっていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

親は、子どもに期待する将来像をもっているものです。しかし、”子どもの人生は子どものものであり、親の人生とはまったく別のもの”と考えるべきです。

 

 

 

 

 

もしかしたら、A君は親の期待にそえなくなった自分自身に悩んでいるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

親は”期待する子ども像”を捨てて、子どもが自分自身の人生を切り開くために支援すべきだと思います。

 

 

 

 

 

話は変わりますが、スタジオジブリという、いまや日本を代表する一大アニメ制作集団があります。スタジオジブリの作品の中に、「魔女の宅急便」という作品があります。

 

 

 

 

 

「魔女の宅急便」は、13歳の魔女の少女「キキ」を主人公に思春期を正面からあつかっています。

 

 

 

 

 

魔女は13歳になると生まれ育った街をひとりで旅立ち、魔女がひとりも住んでいない街を探し、そこで1年間、その街の人々に溶け込み、自分で生活費も稼ぎながら修行を積みます。

 

 

 

 

 

それが「一人前の魔女になるための条件」になっているという設定です。そして、映画は少女のキキが修行の旅へと出発する決意を固めるシーンから始まります。

 

 

 

 

 

「13歳で親元から離れ、未知の街で修行を積む」という設定は、まさに、思春期の心の発達課題そのものです。

 

 

 

 

 

それは「親からの精神的な自立」です。3歳ごろの子どもは何でも自分でしたがり、お母さんやお父さんが何を言っても「いや!」とか「自分で!」ということが多くなります。

 

 

 

 

 

昔はこれを第一反抗期と言いました。しかし今は第一反抗期という言葉はあまり使いません。

 

 

 

 

 

というのは、3歳の子どもが「いや!」とか「自分で!」というのは、けっして反抗しているわけではないからです。

 

 

 

 

 

2歳ごろまではお母さんの言うとおりにしていた子どもが、3歳ごろになって「いや!」とか「自分で!」というのは「自分で考えて、自分の考えに従って行動したいという意思を表現できるまでに成長した」という証拠です。

 

 

 

 

 

この3歳ごろは、「自分で考えて、自分の意思でものごとをする」という「自発性」や「積極性」が心の発達課題です。

 

 

 

 

 

3歳のころは、「自分の意思を出せること」が心の発達課題で、ものごとを自分ひとりで正しく判断することまでは要求されていません。

 

 

 

 

 

しかし、思春期には「大人社会に入っても通用する適切な判断を自分でできるようになること」が心の発達課題になります。

 

 

 

 

 

思春期の心の発達課題は「精神的に親や先生から離れて、自立すること」です。

 

 

 

 

 

思春期には、特に中学校の時期には、親や先生の悪いところがいっぱい見えて、大人が信用できなくなります。

 

 

 

 

 

そして、社会の矛盾も見えてくるようになります。

 

 

 

 

 

大人が信用できなくなり、社会の矛盾に怒りを覚えたりすることは、たいへん苦しいことです。

 

 

 

 

 

しかし、そのような苦しみを経験する中で、親や先生に頼らずに自分で考え、自分の意思で行動する力が生まれてくるのです。

 

 

 

 

 

そして、大人社会に入っても通用する適切な判断を自分でできるようになるのです。

 

 

 

 

 

思春期には思春期らしく、親に反抗して真剣に悩むのがいいと思います。その意味で、A君の例は、親が子どもともう一度真剣に向き合う時期がきたことを教えてくれているきわめて自然なケースだといえます。

 

 

 



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