思春期の心の発達課題
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思春期の心の発達課題

2019年04月03日(水)12:30 PM

思春期の心の発達課題は、「親からの精神的自立である」と以前ブログで書いたことがありますが、それと同時に直面する課題が「アイデンティティー(自我同一性)の確立」です。

 

 

 

 

 

アイデンティティーとは、自分は誰か、どういう人間か、という意味です。

 

 

 

 

 

中学1年生でクラス委員をしているS君は、先日お父さんに連れられて関東自立就労支援センターの相談室を訪れました。

 

 

 

 

 

大きな体を縮めていかにも打ちしおれた格好で入ってきたS君は、「学校へ行こうとしても体がいうことをきかない」「クラスのみんなに申し訳がない」とほんとうに申し訳なさそうに言います。

 

 

 

 

 

隣でお父さんは、「Sはすごく真面目で、学校へ行きさえすれば何も言うことはないのですが・・・・。ちょっと気が小さいところがあって・・・・・」と心配そうです。

 

 

 

 

 

お父さんの話を聞きますと、学校へ行けなくなって一週間になるようです。休む前に学校でスポーツ大会があり、バレーボールの試合に出たようですが、少し運動が苦手なS君は集中的に狙われてしまい、結局負けてしまったそうです。

 

 

 

 

 

それが申し訳ないと彼は自分を責めているのです。お父さんは相談室に来る前に、近くのクリニックにS君を連れて行ったそうです。

 

 

 

 

 

クリニックでは子どもを多角的に理解するためにいろいろな心理テストを受けたようです。その中のひとつで「文章完成テスト」という心理テストを受けました。

 

 

 

 

 

文章完成テストというのは、「わたしの家族は、」というような文章のはじめの部分だけが書いてあり、その前文のようなものを読んで頭に浮かんだことを書いて文章を完成させるというテストです。

 

 

 

 

 

S君はこの文章完成テストで「いまいちばん知りたいことは、」という前文に対して、「大人になったときの自分」と書きました。

 

 

 

 

 

わたしはこのことをお父さんから聞いて、まさに思春期に入った子どもがぶつかる疑問を表現していると感じました。

 

 

 

 

 

「アイデンティティー(自我同一性)の確立」とは何か?

 

 

 

 

 

小さいときから子どもたちは「大きくなったら電車の運転手になるんだ」とか「会社の社長になるんだ」とか自分の将来像を描きながら大きくなります。

 

 

 

 

 

しかし、現実問題として「自分はどんな大人になれるのだろうか、なるのだろうか」という疑問に直面するのは、思春期に入ってからです。

 

 

 

 

 

二次性徴がはじまり、からだが男のからだへ、あるいは女のからだへと変化する中で、自分は周囲からどのように見られているのだろうか、が気になりはじめ、鏡とにらめっこをしたり、身をかまったりしはじめます。

 

 

 

 

 

そして、「自分は男としてあるいは女としてやっていけるのだろうか」、「大人社会の中でちゃんと生きていけるのだろうか」という人生の根幹にかかわる二つの疑問がわきあがってきます。

 

 

 

 

 

ところがその回答は、思春期の終わりごろまで待たなければなりません。「アイデンティティー(自我同一性)の確立」とは、この2つの問いに答を出すことです。

 

 

 

 

 

思春期は自己発見の旅

 

 

 

 

 

「自分は男としてあるいは女としてやっていけるのだろうか」、「大人社会の中でちゃんと生きていけるのだろうか」という2つの疑問を抱えながら、その答えを探し求める旅が思春期という時期です。

 

 

 

 

 

そして、思春期は自己発見の旅です。以前このブログで触れた「魔女の宅急便」の中で、魔女のキキは満月の夜空をほうきに乗って修行の旅に出かけます。

 

 

 

 

 

その途中で、そろそろ1年間の修行が終わろうとしている先輩の魔女と出会うシーンがあります。キキはその先輩魔女に、「わたしは占いができるから、なんとか人間社会で生活できているのよ。あなた、何か特技がある?」と聞かれます。

 

 

 

 

 

そしてキキは「空を飛ぶ」しか能のない自分にハタと気づきます。その「空を飛ぶ」という能力を生かしてはじめたのが「宅急便屋さん」でした。

 

 

 

 

 

そして、キキは「宅急便屋さん」として、街の人々にとけ込んで生きていきます。

 

 

 

 

 

この「魔女の宅急便」のストーリーのように、思春期は「自分は男としてあるいは女としてやっていけるのだろうか」、「大人社会の中でちゃんと生きていけるのだろうか」という2つの疑問を突きつけられ、自分には何ができるのかを探し求める自己発見の旅なのです。

 

 

 

 

 

思春期の心の発達課題は、「親からの精神的自立」であり「アイデンティティー(自我同一性)の確立」です。

 

 

 

 

 

思春期を生きるということは、自己発見の旅をすることです。不登校の子どもたちは、すべてこの思春期の心の発達課題に悩んでいます。

 

 

 

 

 

ちなみに、S君は2週間後に再び登校することができました。それには、クラスの友だちが家に来てくれたり、手紙やメールをたくさんもらったことが大きな励ましになったと思います。

 

 

 

 

 

そして、このように短期間で不登校を乗り越えられた背景には、文章完成テストに「いちばん知りたいことは、大人になったときの自分」と書けたように、S君自身が”自分が今直面している課題は何か”を見つめる力を持っていたことがあげられると思います。

 

 



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