親と子の心のすれ違い
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親と子の心のすれ違い

2019年04月03日(水)11:15 AM

これは中学2年生になる少年の話です。現在、この少年の両親は別居中であり、両親の不仲(父親の浮気が原因)で少年は長期の不登校をしています。

 

 

 

 

 

シンナーや万引きといった非行歴もあります。でも、仲のよかった時代の両親の話をするときの少年の表情は、幼い頃に戻っているような穏やかな顔つきになります。

 

 

 

 

 

彼は小さい頃、父親といっしょにお風呂に入ったときに聞いた言葉が忘れられないと言います。

 

 

 

 

 

お父さんは、すごく嬉しそうにしゃべっていました。お父さんのあんな幸せそうな顔を見たのは初めてでした。

 

 

 

 

 

僕の胸のなかもすごく嬉しくなったことを覚えています。

 

 

 

 

 

「お母さんはな、鼻血がでるほどきれいだったんだぞ」お父さん、あの言葉、もう一度聞きたいよ。

 

 

 

 

 

と言いました。そして「お父さんはバカだよ。お母さんを捨てるなんて、絶対に許せない。でも・・・・」と言葉をつなぎました。

 

 

 

 

 

わたしはその続きが聞きたくなって、たずねました。「でも、なんだい?」すると少年は、ぽつりとこう言いました。

 

 

 

 

 

もう一回、お父さんといっしょに風呂に入って、同じ言葉を聞きたい・・・・・。

 

 

 

 

 

切ない少年の心を思うと、わたしの胸も切なくなりました。

 

 

 

 

 

次の話は、小学校5年生のときに陰湿ないじめを受け、それ以来不登校を繰り返している中学2年生の少年です。

 

 

 

 

 

彼は消え入りそうな声で、こう言いました。

 

 

 

 

 

「お父さん、生きる力を僕に貸してください」独りぼっちの部屋の中で、僕はいつもつぶやいていたんだ。

 

 

 

 

すると面接に同行していた母親は「父親はだらしがなくてダメなんです。そんな父親をこの子は頼りにするなんて・・・・・」と嘆いてみせたのです。

 

 

 

 

 

息子が同性の父親に求めるのは、「人並みに社会人として生活していける力」を与えてほしいということです。

 

 

 

 

 

それは第三者(友だち・先輩など)との関係が希薄になればなるほど強くわいてくるものです。

 

 

 

 

 

でも少年は、母親のそんな言葉を聞いても嫌な顔は見せませんでした。

 

 

 

 

 

それは母親を絶対的に信頼している証拠だと、わたしには感じました。

 

 

 

 

 

その一方で、少年は、父親から人間として自立する勇気と知恵を得たいと願っているようにも思えたのです。

 

 

 

 

 

母親から見れば「だらしがなくて、ダメ」な存在であるかもしれないけれど、少年にとっては社会へと旅立つためのかけがえのない存在なのです。

 

 

 

 

 

面接室に現れた少年は、見るからに優しそうでした。実際、言葉を交わすうちに心の非常に素直な「いい子」だということはすぐに分かりました。

 

 

 

 

 

その彼が、父親との思い出話になると、さびしそうな表情になってしまうのです。

 

 

 

 

 

「そんな球も取れないのか」「もっと力強い球を投げろ」「バカ、どこへ投げてるんだ」少年はある日、父親といっしょに原っぱでキャッチボールをやったそうです。

 

 

 

 

 

でも、父親は野球の練習をしているつもりで厳しく「指導」したのです。

 

 

 

 

 

僕はお父さんといろいろなことを話したかったし、いろんなことをもっと教えてほしかった。

 

 

 

 

 

お父さんといっしょにキャッチボールをするなんて滅多にないから、僕は内心わくわくしていたんだ。

 

 

 

 

 

でも、お父さんとのキャッチボールはいつも”練習”でした。

 

 

 

 

 

僕は、お父さんと楽しんでキャッチボールをしたかったのです。

 

 

 

 

 

少年はせっかく父親とのキャッチボールを楽しみにしていたのに、結局は厳しく叱られただけだったのです。

 

 

 

 

 

何で僕が怒られなくっちゃならないんだ。

 

 

 

 

 

そんなふうに感じたといいます。

 

 

 

 

 

日ごろ伝えられない思いを、少年はボールに込めて強く、優しく、弱々しく、ときにはふざけて投げたかったのでしょう。

 

 

 

 

 

でも、そういうボールを投げるたびに、父親の「強くなれよ」と期待の込められた”罵声”を浴びたのです。

 

 

 

 

 

 

ボールに込められた少年の心を、父親は取り損なってしまったのでしょう。

 

 

 

 

 

次は高校を中退した18歳の少年です。中学時代、学年ではトップクラスの成績でしたが、有名な進学高校に入ると下位になったことが原因で、登校を渋るようになり結局中退してしまいました。

 

 

 

 

 

母親といっしょに面接にやってきた少年は、ふてくされた態度をありありと見せていました。

 

 

 

 

 

そして、僕はどうせダメな人間ですよ。一番じゃない。父親の希望にかなわないダメ息子だから・・・・。

 

 

 

 

 

そんなふうにしゃべった後、この言葉を苦しそうに洩らしたのです。

 

 

 

 

 

常に「一番になれ」と言われてきました。その一方でいつも「ダメな奴だ」と怒鳴られてきました。

 

 

 

 

 

僕にどういう人間になれというのでしょうか。

 

 

 

 

 

進学校で成績が不振だとわかると、少年は父親から「努力したらできる」と言われながら、そのあきらめ顔、冷たい否定的な態度がつらく「がんばってもできない人間」だと思っているのではないかと父親にたずねました。

 

 

 

 

 

でも父親は「そんなふうには思っていない」としか言いませんでした。

 

 

 

 

 

でも、苛立ちとともに「勉強してもできない子」という父親の雰囲気がそこに漂っていました。

 

 

 

 

 

この状況を二重拘束(ダブルバインド)といいます。

 

 

 

 

 

要するに「やってもどうせできっこない」との表情をしながら「勉強すればできる」と言葉にしているわけで、混乱しか生まれないのです。

 

 

 

 

 

努力することを強いられ、その結果常に”ダメな奴”という烙印を押される子どもの気持ちを考えると、つらいものがあります。

 

 

 

 

 

でも、親は時として気がつかないうちに、ダブルバインドのセリフを子どもに投げかけてしまうことが多いのです。

 

 

 

 

 

それは子どもに対する自分自身(父親として)のふがいなさと向き合うのがつらいからかもしれません。

 

 

 



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