家庭内暴力のメカニズム
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家庭内暴力のメカニズム

2019年03月16日(土)3:19 PM

不登校やひきこもりにおいて怒りが問題となるのは家庭内暴力です。

 

 

 

 

 

最近では、配偶者間や恋人同士で起こる暴力を家庭内暴力と呼ぶこともありますが、ここで扱う家庭内暴力は、保護者などの家族成員に対して子どもが行う暴力を指します。

 

 

 

 

 

その暴力の程度、頻度などはさまざまですが、通常、保護者に対する「反抗」や、親子の折り合いの悪さなどとは次元が異なります。

 

 

 

 

 

家族成員に対して理不尽と思われるような要求と脅し、その要求が受け入れられない場合に、強い怒りを伴った暴行や器物破壊が繰り返し行われるものです。

 

 

 

 

 

保護者の殺害に至る場合や、家族全員が家庭から逃げ出すほどの激しい暴力が見られる場合では、統合失調症の初期症状と近接する問題が見られる事例もあります。

 

 

 

 

 

一方で、反抗や不登校、ひきこもり、あるいは非行などの適応の問題を契機に、家族側の関わりの要因もあって、家庭内暴力問題へと進展していく場合などもあります。

 

 

 

 

 

すなわち、ひと口に家庭内暴力といっても、さまざまな態様があります。

 

 

 

 

 

そこで、ここでは後者の家庭内暴力の問題を取り上げます。

 

 

 

 

 

家庭内暴力の問題は、怒りの表出によってストレスが発散されるような問題ではありません。

 

 

 

 

 

すなわち、怒って「気が済む」問題ではないのです。

 

 

 

 

 

暴力を振るう子どもは、暴力を振るうことで自分自身も傷つくのです。

 

 

 

 

 

暴力を振るう自分を許しがたく思うことも多いです。

 

 

 

 

 

しかし、そのような「許せない自分」を育てたのは、「やはり親なのだ」という気持ちがあります。

 

 

 

 

 

暴力を振るってしまうことへの自責と、そのような自分にした人を責める他責があり、相互に悪影響を与え合う中で、その悪循環から抜け出せないでいるのです。

 

 

 

 

 

家庭内暴力の形成メカニズム

 

 

 

 

 

(1)不登校の挫折体験が家庭内暴力を生み出す場合

 

 

 

 

 

家庭内暴力では、挫折体験を発端とすることが多いです。

 

 

 

 

 

挫折体験とは、たとえば、受験での失敗、友人関係でのトラブル、いじめられ体験、部活動やスポーツでの挫折などです。

 

 

 

 

 

不登校もその挫折体験の一つとなります。

 

 

 

 

 

これを契機に、家庭内暴力へ発展していく場合では、幼少期や児童期には表立った問題が見られず、保護者の期待が強いことや期待がある一方で、保護者が子どもをしっかりと受け入れてこなかったことが多いです。

 

 

 

 

 

子ども自身は、自分の弱点、悪い点などの否定的な側面を含めて、ありのままの自分を理解してほしいと願っていますが、そのように受け入れられた体験が不十分なのです。

 

 

 

 

 

多くの場合、そのような子どもが思春期になり、不登校による挫折体験に出会います。

 

 

 

 

 

不登校で追いつめられたときに、保護者がその追いつめられている気持ちを軽視して、今までと同じような努力を要求します。

 

 

 

 

 

保護者にとっては、子どもの挫折は、それまでの子どものイメージが崩れる体験でもあります。

 

 

 

 

 

そこで、保護者が掌を返したような冷淡な対応をすることもあります。

 

 

 

 

 

また、子どもの危機に気がついたとき、保護者が予想外の事態に不安を抱き、子どもの状況に過度に迎合して接する場合もあります。

 

 

 

 

 

このようなことから、親子関係に亀裂が生じます。

 

 

 

 

 

この親子関係の亀裂が修復できるならば、家庭内暴力には進展しません。

 

 

 

 

 

しかし、その亀裂を修復しようとして、無理に子どもを保護者の願う路線に押し戻そうとします。

 

 

 

 

 

逆に、それまでの方針を大転換して、今までとは正反対の対応をします。

 

 

 

 

 

これらの問題を解決しようとする保護者の努力が、子どもの保護者への願いや期待を裏切ります。

 

 

 

 

 

これが続いたときに、家庭内暴力へと進展していきます。

 

 

 

 

 

暴力が始まると、通常、保護者は暴力を抑制しようと努力します。

 

 

 

 

 

保護者が子どもと対決をすることもあります。保護者側のこれらの姿勢や対応が、暴力をエスカレートさせていきます。

 

 

 

 

 

また、保護者が暴力を恐れ、子どもに迎合しても、暴力によって子どもの気持ちはおさまりません。

 

 

 

 

 

あれこれ工夫をしてもほとんど改善がないので、保護者も自信を失っていきます。

 

 

 

 

 

暴力にさらされ、保護者は不安や緊張が高まり、抑うつ的になっていきます。

 

 

 

 

 

保護者の示す不安や緊張や抑うつ感が、子どもへの対応を鈍らせます。

 

 

 

 

 

そのことが、さらに子どもをフラストレートさせます。

 

 

 

 

 

結果として、いっそうの激しい暴力へとエスカレートする悪循環が始まります。

 

 

 

 

 

このような場合、客観的な事実はどうであれ、子ども自身の主観の世界では、「これまでの人生は惨憺たるものだった」という思いが生じています。

 

 

 

 

 

不登校になったことや、不登校のきっかけとなったことなどを始め、子どもはこれまでの自分史を失敗の連続のように捉えます。

 

 

 

 

 

それらの失敗体験を家族の誰かのせいにします。そのことで、かろうじて精神のバランスを保とうとします。

 

 

 

 

 

ですが、子ども自身は、「自分がこうなったのは誰かのせい」であると確信しているわけでも、確信をしたいわけでもありません。

 

 

 

 

 

自分の挫折体験が、養育者の責任であったとの証明はできないし、わが身の不幸を養育者の責任にして暴力を振るうのは、かえってどうしようもできない状況を浮き彫りにします。

 

 

 

 

 

つまり、暴力によって養育者の無能さを浮き彫りにすることは、自分が無能な保護者の子どもであることを証明することになります。

 

 

 

 

 

このことは、不幸や挫折感の中にいることを再確認することに他なりません。

 

 

 

 

 

そのために、家庭内暴力は本人の救いにはならず、不快な感情を処理する一時しのぎの意味しかもちません。

 

 

 

 

 

子どもと保護者の力関係が逆転する場合

 

 

 

 

 

一方、幼児期から保護者が体罰などの過度に厳しいしつけをしてきた場合や、子どもを拒絶していたような場合にも家庭内暴力が生じます。

 

 

 

 

 

この種の家庭内暴力では、その様相が上記の場合とは異なります。

 

 

 

 

 

このような体験を幼いうちから味わっていた子どもの場合では、幼少期から心理的な問題を示すことが多いです。

 

 

 

 

 

たとえば、家庭からの金銭の持ち出しや盗み、繁華街の徘徊など非行親和性のある問題を示すことが少なくありません。

 

 

 

 

 

そして、これらの心理的な危機のサインが見られても、保護者が適切な対応を取れません。

 

 

 

 

 

多くの場合では、問題児とされ、体罰や叱責が加えられます。あるいは、問題行動に保護者は無関心で関わらない場合もあります。

 

 

 

 

 

このような生育史上の背景を持った子どもが、家庭内暴力へと発展していく場合は、仲間集団の中でいじめる側の集団に回ることや非行集団の中に組み入れられることが契機となります。

 

 

 

 

 

そのために、暴力で他人を支配することに長けてくるのです。

 

 

 

 

 

また、家庭内の人間関係が変化し、家庭内での支配や服従のパワーバランスに変化が起きる場合もあります。

 

 

 

 

 

例えば、両親の離婚や兄弟の自立、祖父母の死去などで家族成員の構成に変化が起きた場合に、家族のパワーバランスに変化が生じやすいです。

 

 

 

 

 

従来の家族関係とは異なった家族関係が生じて、子供のパワーが家族の中で相対的に高まります。

 

 

 

 

 

その中で、家庭内暴力へと発展していきます。

 

 

 

 

 

例えば、遊ぶお金を得るために、家族に対して暴力をふるって現金を奪うなどの形で家庭内暴力が始まり、エスカレートしていきます。

 

 

 

 

 

このような事例では、子供は基本的に愛された体験が少ないです。そのために、他者に対する安心感や信頼感は乏しいです。

 

 

 

 

 

一方で、攻撃によって自分の要求を強要していくパターンは、その家族文化にあった支配、服従の関係や、拒絶の関係の中で学んできたのです。

 

 

 

 

 

そして、思春期に入り、非行文化への接触や家族成員の関係の変化などが契機となって、家族成員とのパワーバランスが逆転します。

 

 

 

 

 

そして、パワーの弱い家族を標的として家庭内暴力が始まります。

 

 

 

 

 

この種の家庭内暴力は、緊密な家族関係の中でつくられたものではないので、保護者への恨みを訴えることや、人生上の挫折体験を保護者に返す形になりません。

 

 

 

 

 

非行親和性がある場合では、暴力の対象は家族成員だけとは限らず、家庭外に自分の居場所が確保されれば、子供が家庭を脱出する形で暴力が収まることもあります。

 

 

 

 

 

しかし、子供が家庭にとどまっている限りは、保護者は子供を拒絶しやすいです。

 

 

 

 

 

そのために、子供との衝突も増えます。過去に保護者から暴力でつらい目にあった体験があるので、暴力そのものが正当化されやすいです。

 

 

 

 

 

そこで、保護者と子供とが力を競い合う形で暴力が発展していきます。

 

 

 

 

 

最終的には、その競い合いに負けた側が折れ、一方的な支配や服従関係が形成され、家庭内暴力が継続していくのです。

 

 

 



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