親の限界を知る
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親の限界を知る

2018年11月05日(月)5:59 PM

子供の行動が世間の基準から外れているとき、「私が産んだ子だから私が何とかしなくては」と親は思います。

 

 

 

 

 

世間も、「親はいったい何をしているんだ」と親の責任を問います。

 

 

 

 

 

子供を世間から見てまっとうにすること、子供が幸せに社会で生きていけるようにすること、それが親の責任であり愛情でもあると信じて、注意したり、叱ったり、なだめすかしたりしながら子供にぶつかっていきます。

 

 

 

 

 

それでも子供の行動は変わりません。ところが、親が悪戦苦闘したあげくについに親があきらめたときに、子供の生き方が変化してくることがあります。

 

 

 

 

 

Aさんの長男は中学生のときから深夜徘徊、バイク窃盗と問題が絶えませんでした。

 

 

 

 

 

Aさんは毎晩、いつ警察から呼び出されるかと心配し、連絡があればいつでも駆けつけられるように洋服を着たまま床につく日々が続きました。

 

 

 

 

 

暴走に行こうとする長男を押しとどめようと玄関で体ごとぶつかって、とっくみあいをしたこともあります。

 

 

 

 

 

穏やかに話をしても、怒っても長男の行動は変わりませんでした。

 

 

 

 

 

「私は自分の人生も息子の人生も思い通りにしたいと思っていたのです。でも私の力の及ばないことを身をもって知りました。

 

 

 

 

 

何をどうしても息子を変えることはできませんでした。最後には、今こうして荒れていることが彼には意味があることだから、いずれ自分の力で立ち直ってくれるだろうと信じて待つしかありませんでした」と言います。

 

 

 

 

 

長男はとうとう鑑別所に入りましたがその後、これまでの友達付き合いを断ってボクシングジムに通い始めました。

 

 

 

 

 

Aさんは仕事帰りの疲れた体にむち打って車で送り迎えをしますが、車中では小言も言わずただ黙って運転するだけでした。

 

 

 

 

 

一年間続けるうちに、長男の固まっていた気持ちもしだいにほぐれ、言葉を交わすようになります。そしてアルバイトを始めた長男は、今はAさんといつか自然食品店を一緒にやろうと言ってくれるようになりました。

 

 

 

 

 

Bさんの長男も中学二年からたばこを吸ったり、夜の公園で遊び始め、高校も入学してすぐにやめ、シンナーにも手を出して警察に捕まりました。

 

 

 

 

 

息子の身体も心配、将来も不安で、「どこへ行っていたの?」「自分の身体のことどう思っているの?」「いつまでこんなことをやっているの?」とBさんは息子の顔を見るたびに問い詰めていました。

 

 

 

 

 

Bさん自身体調を崩し、めまいや耳鳴りに苦しみました。

 

 

 

 

 

けれども二十歳近くになっても何も変わらない息子の態度に、Bさんは疲れ果て絶望し、あきらめるようになりました。

 

 

 

 

 

長く接しているうちに、親心で言ったことがかえって逆効果になることにも気がつきました。ちょうどそのころ、息子の態度が変わりだしたのです。

 

 

 

 

 

地元を離れ、スキー場に泊り込んで、これまでの友達関係を切り、新しい一歩を歩み始めました。

 

 

 

 

 

Bさんはよく息子に、「あんたのその心配そうな顔が嫌なんだよ」と言われていました。「心配そうな顔」とは、「息子を信じていない顔」だったのかもしれません。

 

 

 

 

 

親の愛情と責任感だけで子供が生き方を変えてくれるのならば、最初から何の問題もなく育つでしょう。親の存在だけが子供を育てるわけではありません。

 

 

 

 

 

学校もある、友達もいる、友達が背負っている家庭環境もある、社会がある、そして何より子供自身が個性を持っています。

 

 

 

 

 

その複合として子供の行動があるのですから、親が子供の行動をすべて左右できるという考えには無理があります。

 

 

 

 

 

愛情に裏打ちされているとはいえ、これは親や大人の傲慢さであるようにも感じます。

 

 

 

 

 

自分で子供を変えられると思えば、変わらない子供が前にもまして憎くなってしまいます。「親はこんなに努力しているのに、あなたはなぜ変わらないの」という新たな不満が出てくるのです。

 

 

 

 

 

アルコール依存症の自助グループでは、依存症患者が立ち直るためには、まず「自分の意志で酒をやめられる」という幻想を捨て、自分はアルコールに対して無力であることを認めることが回復の第一歩であるとされています。

 

 

 

 

 

飲酒という自分の行動でさえ、自分の意志の力だけではどうにもならないのであれば、我が子とはいえ、ほかの人間の生き方を左右するには限界があって当たり前ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

できないことをできると思いこんで、いたずらに関係をこじらせるのではなく、まず自分は子供の人生について無力であると認めたうえで、それでもなお親ができること、しなくてはいけないことについて努力しようとするのが、子供の行動についての悩みを解く第一歩のように思います。

 

 



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