不登校の維持要因と対応
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不登校の維持要因と対応

2018年09月02日(日)2:49 PM

問題の原因をなくそうという考え方は、自然科学の発想では間違っていません。自然科学では問題の原因を見出し、取り除こうとします。「病気の原因が細菌であれば、細菌を除去すればよい」という具合です。

 

 

 

 

 

けれども、社会科学の問題、特に人間と環境との関係の問題では、問題の原因を探し、それを取り除く発想はそれほど役立ちません。問題予防で重要なことが、問題解決に役立たないことが多いのです。

 

 

 

 

 

一般社会で起きる問題の解決を考える場合、当面、当座の問題に注目し、その問題を維持する要因、悪化させる要因に対応することが優先されます。

 

 

 

 

 

これが、社会場面で起きる問題解決の場面では基本中の基本となります。消防士の例で言えば、消防士に必要なのは火事が続く要因に注目することです。

 

 

 

 

 

火事を維持している要因をすみやかに取り除き、鎮圧します。目の前の火が他に広がらないようにします。任務はそれにあります。

 

 

 

 

 

問題解決場面で、問題の維持要因や、悪化要因に注目しなければならないとは、消防士のこの動きのことを言っています。

 

 

 

 

 

不登校の問題も、人間と環境の関係の問題です。関係の問題では、さまざまな要因の相互作用の中で、問題が維持され、悪化しているのが普通です。

 

 

 

 

 

不登校問題の形成要因に注目するだけでは、その問題解決のためには不十分です。その不登校の問題が起きてきたプロセスよりも、今、問題を維持する要因がどこにあるのかに注目する必要があります。

 

 

 

 

 

とはいえ、不登校の問題の援助にあたり、問題の形成要因をまったく無視してよいわけではありません。

 

 

 

 

 

問題が解決した後で、再びこのような問題を繰り返さないため、問題の形成要因を弁えておくほうがよいでしょう。

 

 

 

 

 

先々での学校や社会での適応状況をより豊かなものにするには、問題の形成要因を視野に入れた関わりも必要となります。

 

 

 

 

 

再登校したり社会生活へ復帰したりしたあとで、再び同様の問題を抱えないためには、形成要因も考慮した対応も必要となります。

 

 

 

 

 

不登校が本格的になった段階で、問題が起きてきた理由を追求しても、問題は解決しないことが多いです。不登校が本格的になってからとそれ以前とでは、まったく状況が異なってくるからです。

 

 

 

 

 

そこで、問題が本格化する前と後では、関係者の関わり方も当然違ってきます。いじめが解消した、あるいは転校したとしましょう。

 

 

 

 

 

たとえば、いじめが原因で不登校になった子どもがいるとします。にもかかわらず、不登校が継続することがよくあります。

 

 

 

 

 

あるいは、高校を中退して、自宅にひきこもりの状態になっている青年もいます。学校に行く必要はなくなったのだから、自宅にいる必然性はありません。けれども、相変わらず不登校と同じ状態が続きます。

 

 

 

 

 

不登校の原因が学校教育にあったとしても、学校教育が取り除かれたからといって不登校の状態は消失しないのです。

 

 

 

 

 

実際、現代教育研究会の不登校の予後調査を見ると、中学3年生のときに、年間30日以上欠席をした生徒のうち、満20歳の時点で約4分の1が職場や学校等のどこにも所属していません。

 

 

 

 

 

この割合を多いと見るかどうかは微妙ですが、この結果は、不登校の問題が維持されることを端的に示しているのです。

 

 

 

 

 

不登校の問題と問題の継続性

 

 

 

 

 

特に、不登校の問題で、問題の維持要因、悪化要因を視野に入れなければならない理由はもう一つあります。

 

 

 

 

 

不登校は「学校に行けない(行けない)状況が続くこと」が問題だからなのです。つまり、「問題が続いていること」が問題なのです。

 

 

 

 

 

実際、不登校は続きやすい問題なのでしょうか。現代教育研究会の不登校の予後調査、この調査結果に興味深いものがあります。

 

 

 

 

 

その一つは、欠席日数に関する分析です。これは、中学3年生時での不登校者に、小学生のときからの欠席日数を尋ねた調査項目を基に分析したものです。そこでは次のような傾向が示されていました。

 

 

 

 

 

それは、「ある段階での欠席日数は、前段階の欠席日数と高い相関がある。しかし、さらにその一段階前の欠席日数とは相関がない」というものです。

 

 

 

 

 

その統計的な意味を説明すると、次の二点に集約されます。一つは、「不登校状況は続きやすい」ということです。もう一つは、「不登校の状態は状況依存的で、状況の変化によって簡単に変動する」ということです。

 

 

 

 

 

つまり、今年度欠席が多かった子どもは、来年度の欠席日数も多いことが予測はできます。しかし、状況の変化があれば、簡単にその予測は覆ってしまうことを示しています。

 

 

 

 

 

つまり、再来年度先の話になると予測できないということになります。一方、不登校の予後に関する分析でも、同じ現象が見られました。

 

 

 

 

 

それは、「中学卒業時」「過去5年間で最も長く続いた状態」「20歳現在の状態」の3段階でキャリアの推移パターンを分析したものです。

 

 

 

 

 

ある時点で「仕事あるいは学校」に所属していた人は、次の段階で8割から9割が「仕事あるいは学校」に所属していました。

 

 

 

 

 

しかし、ある時点で「仕事・学校なし」の人は、次の段階でも5割から6割が「仕事・学校なし」の状態が続きます。

 

 

 

 

 

このことは「ひきこもりの状態は、ひきこもったことで続きやすい」ことを示しています。

 

 

 

 

 

また、「キャリアの維持・継続は、キャリアがあったために続く」ことも示していて、キャリアは継続しやすいです。

 

 

 

 

 

つまり、一度よい方向に転びさえすれば、その方向は継続するのです。これらのデータが、不登校の問題の本質、すなわち「不登校の問題は維持されやすく、状況依存的である」ことを的確に表すものだと不登校予後調査の研究者グループは考えました。

 

 

 

 

 

たとえば、不登校体験者自身に当時の自分を振り返ってもらって、不登校のタイプ分けをしてもらいました。そのタイプ分けと、不登校の段階で示される症状には関連性がありました。

 

 

 

 

 

また、キャリアの志向性や不登校であったことに対する評価とも関連がありました。

 

 

 

 

 

けれども、この欠席日数の推移やキャリアの維持のパターンは、「不登校の態様」のタイプ分類とは関連があまりありませんでした。

 

 

 

 

 

ある時点でどこにも所属をしていない人は、次の時点でどこにも所属をしていない傾向は、どのタイプでも示されました。

 

 

 

 

 

すなわち、これらは不登校問題の予防の上で、重要な役割を果たす視点であると言えるでしょう。

 

 



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