不登校の概念
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不登校の概念

2018年09月01日(土)2:06 PM

不登校の児童や生徒が相変わらず数多く存在しています。

 

 

 

 

 

そもそも不登校とは、「疾病や経済的・物理的理由などの明確な理由がないにもかかわらず、学校に行かない、あるいは行けない現象」を言います。

 

 

 

 

 

本来、この名称は、登校をしていない状況、態度、症状から理解しようとする立場から生じてきました。

 

 

 

 

 

つまり、「不登校」という用語は、登校しない現象を把握する言葉であり、病気に例えれば、発熱や咳のような「症状名」です。

 

 

 

 

 

これに対して、「怠学」や「登校拒否」などの名称は、診断名です。これらは、不登校の原因や心理機制、症状形成や経過から理解しようとするものです。

 

 

 

 

 

「怠学」とは、「学校に行きたくないから行かない」のであり、「学校に行きたくない」という動機が問題になります。

 

 

 

 

 

つまり、この分類は、登校に対する子どもの認識のあり様によるものです。したがって、「怠学」では、「学校に行きたい」という動機を高めることが援助の目標になります。

 

 

 

 

 

これに対して、狭義の「登校拒否」は、「学校に行きたいが学校に行けない」ことを指します。「学校に行きたい」という意思と、「学校に行けない」行動との乖離が問題になるのです。

 

 

 

 

 

そこで、「登校拒否」では、意思と行動を一致させることが目標となります。

 

 

 

 

 

このように、「怠学」や「登校拒否」という名称は、対応と密接に関連します。それゆえに、風邪や肺炎のような診断名として意味づけられます。

 

 

 

 

 

ちなみに、「登校したいが、できない」ことは、神経症状の「馬鹿げた症状だと思うが、そうなってしまう」という現象に似ています。

 

 

 

 

 

そのため、「登校拒否」の冒頭に「神経症的」という名称を付加し、「神経症的登校拒否」という名称も登場しました。

 

 

 

 

 

そして、狭義の「登校拒否」や「神経症的登校拒否」に対しては、臨床心理学的アプローチが有効とされました。

 

 

 

 

 

日本で「不登校」の名称が使われるようになったのは、1980年代の後半からのことです。それ以前は、「登校拒否」と「怠学」とに大別されていました。

 

 

 

 

 

「不登校」の用語の登場に対しては、その当時、「あまりにも概念が拡散され過ぎてしまって、『長期欠席』と同義語になってしまってはナンセンスである」との批判も生じました。

 

 

 

 

 

なぜなら、本来、「登校拒否」や「学校恐怖症」などの名称は、怠学とは異なる心理機制を持つ子どもを見い出し、そのような子どもに適切な援助を行うために登場したのでした。

 

 

 

 

 

すなわち、登校拒否研究の流れに逆行するものではないか、というのがその論旨です。

 

 

 

 

 

しかし、80年代に入り、不登校の問題を扱うカウンセラーからは、「神経症的心理機制が強く見られる怠学・非行」や「悩みを悩まない神経症的登校拒否」が増加しているとの指摘も生じました。

 

 

 

 

 

不登校の問題の増加と、それに伴う多様化によって、「それまでの登校拒否概念で把握できない」との声が臨床の場で生じていました。

 

 

 

 

 

この頃は、不登校問題を示す子どもが急激に増加した時期に相当し、「登校拒否」は社会的な問題となりました。

 

 

 

 

 

そのため、「登校拒否」の用語も研究者の専用用語ではなくなり、社会一般で使用されるようになっていきました。

 

 

 

 

 

そのために、しだいに「登校拒否」は広義の意味で使用されるようになり、また、概念そのものも曖昧に使用されるようになりました。

 

 

 

 

 

そして、現在の「不登校」の概念に近い形で使用されるようになっていきました。このことも、「不登校」という新しい用語が登場した背景の一つに挙げることができます。

 

 

 

 

 

不登校概念の変遷と関連用語

 

 

 

 

 

この他にも、従来から学校に行かない現象では、さまざまな名称が用いられてきました。ここでは、臨床心理学上、この問題がどのように扱われてきたのかについて概略を示し、学校教育関連領域での用語も紹介しながら、用語の整理を行ってみたいと思います。

 

 

 

 

 

「児童・生徒が学校に行かない・行けない」という問題に関して、臨床心理学上の研究を遡ると、ブロードウィンが怠けの亜類型としてとらえたものがあります。

 

 

 

 

 

彼は、この現象を強迫性障害または強迫的タイプの神経症性格に起因するとしました。これが後の神経症的登校拒否の概念の起源となるものです。

 

 

 

 

 

これに続き、アメリカのジョンソンらによる「学校恐怖症」の研究が行われ、従来の怠学と精神神経症的障害とが区別されました。

 

 

 

 

 

これが、登校拒否概念の最初であると言われています。彼は、母子分離不安による恐怖症としてこの事例を提示しましたが、これ以外のタイプの事例も報告するようになり、しだいに「登校拒否」の用語が使われるようになりました。

 

 

 

 

 

この流れを受け、日本ではさまざまな研究者が行動異常児研究を始めました。これが日本の「登校拒否」研究として発展していきます。

 

 

 

 

 

ここでの「登校拒否」は、狭義の「神経症的登校拒否」を指します。この概念には、「学校恐怖症」が含まれるほか、対人関係障害、無気力、回避・逃避、甘えなどの心理機制がその基底にあると考えるものです。

 

 

 

 

 

広義の「登校拒否」は、「不登校」に近く、「怠学」「精神疾患による不登校」を含む場合すらありました。

 

 

 

 

 

また、1990年代前後から、学校に通学している児童・生徒に学校への親和性を探る研究が行われるようになりました。

 

 

 

 

 

心理学領域からは、不登校の問題予防の視点から、欠席のみならず、学校への忌避感情を測定する研究が行われるようになりました。

 

 

 

 

 

また社会学領域では、不登校をわが国の社会現象の一環として把握し、研究しようとする機運も高まりました。

 

 

 

 

 

 

たとえば森田洋司氏「不登校現象の社会学」(学文社)は、社会学の視点から把握するために、不登校を次のように定義します。「生徒本人ないしはこれを取り巻く人々が、欠席ならびに遅刻・早退などの行為に対して、妥当な理由に基づかない行為として動機を構成する現象」。これは欠席のみならず、遅刻や早退も視野に入れます。

 

 

 

 

 

一方、学校教育用語では、文部科学省の学校基本調査の観点から、「長期欠席」や「学校嫌い」(2001年度から「不登校」と呼ぶようになる)などの言葉も用いられています。

 

 

 

 

 

「長期欠席」は、学校基本調査の中で、「理由別長期欠席者」をカウントしており、その名称から生じたものです。

 

 

 

 

 

これは不就学や就学猶予の子どもなどと合わせて、義務教育年齢の子どもの教育状況を把握するためであり、義務教育を施行する文部科学省にとっては基本中の基本となる統計です。

 

 

 

 

 

長期欠席の基準は、現在では年間30日以上の欠席を示した児童・生徒の数を基本としていますが、30日以上の欠席基準の適用は比較的最近からのことです。

 

 

 

 

 

この調査は、2000年度まで50日以上欠席のデータがとられていました。その理由別長期欠席のうち、「経済的理由」「病気」の2点を除いたものが、「学校嫌い(不登校)」です。

 

 

 

 

 

また、学校教育用語では「学校不適応」と呼ぶ名称もあります。これは学校場面への適応の困難さを示すものであり、不登校だけではなく、緘黙や孤立、いじめ・いじめられ、校内暴力や荒れ、学級崩壊など広く学校内での集団不適応や学業不適応の問題を包括するものです。

 

 



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