ひきこもりと同一性(アイデンティティ)拡散
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ひきこもりと同一性(アイデンティティ)拡散

2018年08月03日(金)7:33 PM

「社会的ひきこもり」に関して、精神科医の斉藤環氏は、問題の起こる年齢が平均15.5歳で、最初のきっかけとしては不登校が最も多く(68.8%)、さらに不登校のほかに家庭内暴力、強迫症状、対人恐怖症状などの思春期心性と深く結びついた症状、問題を伴うことが多いと指摘しています。

 

 

 

 

 

これらの指摘は多くの支援者の実感と共通する点であるでしょうし、支援場面において、ひきこもり現象への対応が重要な部分を占めるようになってきているのも事実です。

 

 

 

 

 

しかし、ひきこもりは診断名でも単一の臨床単位でもなく、「不登校」、「家庭内暴力」などと同様に、思春期・青年期における広義の不適応状態を意味する言葉にすぎません。

 

 

 

 

 

現代社会における青年のモラトリアム期間の延長がひきこもり現象と関連があるとみるならば、ひきこもりの理解のために、E・H・エリクソンの「同一性拡散」という概念が有用と考えられます。

 

 

 

 

 

この概念を手がかりとして、ひきこもりという不適応状態の解明を試みてみたいと思います。

 

 

 

 

 

同一性拡散症候群の特徴

 

 

 

 

 

当初、エリクソンは、この症候群の急性臨床症状が、境界性パーソナリティ障害と共通した側面を有するとして記載しましたが、後に多くの人にも認められる病理として幅広く考えられるようになってきています。

 

 

 

 

 

同一性拡散症候群とは、青年期におけるさまざまな実験的な同一化や社会的遊びなどを通して、社会的自己定義を確立することができない状態をいいます。

 

 

 

 

 

すなわち、若者は自身の発達課題である自我同一性の形成不全を起こし、社会から与えられた心理社会的モラトリアム(猶予期間)を有効に利用できていないため同一性拡散の状態になってしまいます。

 

 

 

 

 

同一性拡散の特徴としては、①自意識ばかり過剰になり、②自己定義を回避する選択麻痺の状態に陥ります。③人と親密になると相手に飲み込まれる不安が起こり、対人的な距離の取り方が失調され、④未来に対する希望や展望が失われます。

 

 

 

 

 

生活全般の緩慢化、絶望感、無気力が生じ、ほとんどの社会的活動からも孤立・ひきこもってしまいます。

 

 

 

 

 

特に職業的同一性の獲得を回避し、自身の主観的、自己愛的な世界へのひきこもりが生じます。

 

 

 

 

 

また、⑤仕事、学習、社会性などの能力を身につける以前の幼児的退行も起こる場合があります。そして、⑥家族や身近な共同体が望ましいものとして示している役割やその社会の肯定的な同一性に対する軽蔑や憎しみ、やがてはそれらすべてに対する嫌悪感から、反対で否定的なものに対する過大な期待や幻想的な同一化を起こすような状態に陥ることもあります(否定的同一性の選択)。

 

 

 

 

 

ここに挙げたエリクソンの同一性拡散症候群の特徴は、そこに至る要因は複数でも最終共通路として青年期に現れる場合、いわゆる「非精神病性のひきこもり」の状態とほぼ同様なものと捉えてよいと考えられます。

 

 

 



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