不登校の形成要因と学校ストレッサー
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不登校の形成要因と学校ストレッサー

2018年06月24日(日)6:31 PM


臨床心理学関連で、不登校の形成要因に着眼した研究が始まったのは、80年代の後半です。

 

 

 

 

 

この頃、臨床心理学者や社会学者は、登校している普通の子どもたちの中に、学校を嫌だと感じている不登校傾向を示す子どもたちを見出し、そこに焦点を当てるようになりました。

 

 

 

 

 

また、学校の中にいながら、ストレス反応を示す子どもたちを取り上げた研究も盛んに行われるようになりました。

 

 

 

 

 

実際に不登校になっている子どもたちと、これらの子どもたちとの違いや、類似点について調べる研究も始まりました。

 

 

 

 

 

そして、ここ30年で相当多くのことが明らかになってきました。

 

 

 

 

 

不登校がなぜ生じるのか、端的に言いますと、不登校は学校を嫌だと感じるから起きるのです。

 

 

 

 

 

子どもが学校という場を避ける行為なので、学校に不快感を与える要因があると考えるのが自然の理です。

 

 

 

 

 

学校場面での不快感を避けるために生じるのが不登校です。

 

 

 

 

 

そこで、学校の中にある不快感を与える原因と、子どもの不適応反応の関連を調べればよいのではないか、と考えた研究者たちがいました。

 

 

 

 

 

当時、早稲田大学人間科学部の坂野雄二教授を中心とした研究グループです。

 

 

 

 

 

彼らが、健康心理学の視野に立って、ストレス理論を背景に、学校のストレスについて綿密な研究を積み上げました。

 

 

 

 

 

彼らの10年以上に及ぶ研究は、優に100を越えます。

 

 

 

 

 

ストレスの本来の意味は、「生命の過程に生じる『摩耗』の総和」であるといいます。

 

 

 

 

 

この言葉を初めて用いたセリエは、ストレスは「必ずしも病的な変化のみならず、正常な日常生活の中で生じる『摩耗』を与えるような変化も含まれる」とし、各種の有害な作用因によって引き起こされたすべての非特異的な反応を「汎適応症候群」と呼びました。

 

 

 

 

 

セリエは、外部からの刺激で生体内に「ひずみ」状態が起き、その結果引き起こされる適応性の反応をストレスとしました。

 

 

 

 

 

この言葉は、しだいに広い意味で用いられるようになりました。

 

 

 

 

 

人に限らず、動物の身体は、生命を維持し、さまざまな変化に適応するために、常に生体内を平衡状態に保とうとするホメオスタシスと呼ばれる働きをもっています。

 

 

 

 

 

このホメオスタシスの状態を、何らかの外部の刺激によって乱され、破壊されたときに、生体内にさまざまな心理的・生理的反応が起きます。

 

 

 

 

 

この心理的・生理的反応を「ストレス反応」と呼びます。

 

 

 

 

 

また、その原因となる外部環境の刺激を総称して「ストレッサー」と呼びます。

 

 

 

 

 

また、ストレスには大別して二種類のものがあると言われます。

 

 

 

 

 

肉親の死亡など人生の一大事と言えるようなストレスと、毎日の積み重ねの中で蓄積していくストレスです。

 

 

 

 

 

前者の人生の一大事型をライフイベント型、後者のじわじわ効いてくる型をデイリーハッスル型と呼びます。

 

 

 

 

 

デイリーハッスル型のストレスは、「小さな出来事の蓄積のほうが、人間の生理的・心理的健康に大きな影響を及ぼすのではないか」との考えから生じてきたものです。

 

 

 

 

 

そして、不登校問題と関連する学校内にあるストレスは、デイリーハッスル型のストレスだといえるでしょう。

 

 

 

 

 

早稲田大学の研究グループの理論的背景となったものは、心理学者のラザルスの心理学的ストレス・モデルでした。

 

 

 

 

 

ラザルスによれば、ストレス反応は刺激に対して一義的に起きるのではなく、二つの判断過程を経過した結果起きるものだとしたのです。

 

 

 

 

 

いじめなどに出会ったとき、その刺激(いじめ)が自分にとって、「どの程度脅威的であるのか」という個人的な判断過程(これを第一次評定と呼ぶ)があり、その後、その脅威場面に対して直接的な反応ができるかどうか(いじめ問題を自分で終息させられるかどうか)という判断過程(これを第二次評定と呼ぶ)を経過した結果、ストレスによる疲弊が生じると考えたのです。

 

 

 

 

 

そこで、ラザルスの考えを基に、手始めに早稲田大学の研究グループは、学校のありとあらゆる活動について、子どもたちに評価を求めました。

 

 

 

 

 

「その活動がどれほど嫌か」「それが学校生活でどのくらいの頻度で訪れるのか」について調査をしました。

 

 

 

 

 

前者はラザルスの心理学的モデルでいう第一次過程を探る設問であり、後者はデイリーハッスル型のストレッサーを蓄積の形で把握しようとしたものです。

 

 

 

 

 

これに併せて、ストレス反応についても調査しました。

 

 

 

 

 

不安反応、身体症状、怒り、無気力などの不快情動です。

 

 

 

 

 

その結果、子どものストレス反応を引き起こす学校内のストレッサーは、大きく三種類あることがわかりました。

 

 

 

 

 

第一は学業上のストレッサー、第二は教師との関係のストレッサー、第三が仲間関係のストレッサーです。

 

 

 

 

 

つまりは、学業適応、友人適応、対教師適応という三種類の領域でのストレッサーが、子どものストレス反応と強く関連するというのです。

 

 

 

 

 

上記の研究は、広く学校の適応状態と学校内のストレッサーの関連を示したものです。

 

 

 

 

 

それでは、不登校の問題でもこれらのストレッサーと本当に関連があるのでしょうか。

 

 

 

 

 

現代教育研究会の不登校の予後調査に、上記の研究結果と同じ方向性を示す結果が示されているので、ここでも取り上げてみましょう。

 

 

 

 

 

この調査項目に、「不登校のきっかけ」を調べた項目があります。

 

 

 

 

 

不登校の経験者によれば、不登校のきっかけでは、「学校の友人関係」を挙げる人が全体の45%と多く、「教師との関係」を挙げる人が21%いました。

 

 

 

 

 

重複分を除き、友人、教師のどちらかの人間関係の問題を挙げた人は55%いました。

 

 

 

 

 

また、「学業の不振」を不登校のきっかけとした人は28%いました。

 

 

 

 

 

「不登校のきっかけ」に見られるように、友人との関係、教師との関係、学業の不振の三種類の問題が、不登校の問題を形成する大きな要因であることが、この調査からも明らかに示されます。

 

 

 



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