アスペルガー症候群の「反応」
ホーム > アスペルガー症候群の「反応」

アスペルガー症候群の「反応」

2018年06月19日(火)10:49 AM


日本では、少年犯罪と結びついたかたちで語られることが多くなったアスペルガー症候群ですが、この障害自体に反社会性はありません。

 

 

 

 

 

私鉄沿線の駅前で、大騒ぎを起こしてしまったA君は、事件当日、電車を降り、階段を降りていきました。

 

 

 

 

 

後ろから急いでいるらしい男性が走ってきて、改札口でいっしょになりました。

 

 

 

 

 

自動改札の前に立ったまま、キップをかばんの中から探しているA君に向かって、その男性は邪魔だからどいてくれと注意しました。

 

 

 

 

 

その言葉に対して、A君は理路整然と反論しました。

 

 

 

 

 

「改札口には自分のほうが早く着いている。自動改札は一カ所しかないのだから仕方がない。

 

 

 

 

 

キップを入れないと、ここは通過できないのだが、今探しているところだ。

 

 

 

 

 

それを追い越そうとするおまえのほうが悪い」

 

 

 

 

 

アスペルガー症候群は、独自のかたい理論にこだわる傾向が強く、状況に合わせて理論を柔軟に使い分けるようなことが苦手です。

 

 

 

 

 

A君にしてみれば、自分の正論を相手に言っただけで、そのことが相手を怒らせようとはまったく考えていませんでした。

 

 

 

 

 

自分のしたことが、結果としてどんな事態につながるか、想像できないからです。

 

 

 

 

 

しかし、A君のことを知らない男性は「なんだと!」と怒りだし、彼の胸ぐらをつかもうとしました。

 

 

 

 

 

驚いた彼は、恐ろしくなって改札を飛び越し、駅前の広場に走りました。

 

 

 

 

 

A君が走っていく先には生花店が店を開いていて、花がたくさん入ったバケツがいくつも置いてあります。

 

 

 

 

 

まっすぐ走ったほうが早いと、A君はバケツをよけずに走り、次々に花もバケツもひっくり返します。

 

 

 

 

 

それでも男性は追ってきます。駅員も追いかけてきます。

 

 

 

 

 

目の前にコンビニが見えたので、飛び込もうとします。

 

 

 

 

 

しかし、背後に男性と駅員が迫っていることを知った彼は、自動ドアが開くのを待てないと、せっぱつまり、コンビニの横に置いてあったビールのケースを投げつけて入り口のガラスを割り、店の中に逃げ込みました。

 

 

 

 

 

それでも追いかけてくる男性に、陳列してある品物を手当たりしだいに投げつけたところで、A君は警察官に取り押さえられました。

 

 

 

 

 

A君の行動は、なかなか常識では理解されにくいものですが、彼にとっては、危険にされされ、乱暴な言葉やその場にあるものを相手に投げつけることで応戦する「自己防衛」だったのです。

 

 

 

 

 

ただ、その方法がちょっとばかり過剰でしたが。

 

 

 

 

 

この一件で警察に逮捕されたA君は、精神鑑定の結果、「統合失調症型人格障害の心因反応」と診断され、精神科に入院することになりました。

 

 

 

 

 

しかし、A君の父親から依頼されて別の医師が診察してみると、アスペルガー症候群の典型的な特徴に当てはまりました。

 

 

 

 

 

この例のように、アスペルガー症候群の子どもが犯罪を犯すとしても、社会の無理解や誤解などに対しての単なる「反応」と考えることができます。

 

 

 

 

 

けっして反社会的な行動でも、非行でもないのです。

 

 

 

 

 

特に、アスペルガー症候群の子どもたちは、不満やストレスがあった場合、そのつど解消することができません。

 

 

 

 

 

そのストレスが限界まで蓄積し、どうにもならなくなったときに、ちょっとした刺激をきっかけに「キレて」しまうことがあります。

 

 

 

 

 

その矛先は、まったく関係ない人にも向けられることがあるので、トラブルを生み、彼らの理解のされにくさにつながっているとも考えられます。

 

 

 

 

 

また、もっと大きな視点で、アスペルガー症候群の子どもたちの行為が犯罪につながる要因を考えることも必要です。

 

 

 

 

 

つまり、この障害の子どもも根源的な不安を心に抱えている傾向があることを見過ごすことができません。

 

 

 

 

 

その不安が膨らんで大きくなりすぎると、自分ではコントロールできず、爆発してしまうのです。

 

 

 

 

 

ただし、これはアスペルガー症候群ではない一般の子どもたちにも当てはまることです。

 

 

 

 

 

問題は、子どもが根源的不安を抱くような親子関係が、なぜつくられたのかということでしょう。

 

 

 

 

 

私が思うには、アスペルガー症候群は、乳幼児期に親にサインを送ることができず、親との愛着形成が不十分になりがちなために、根源的な不安が心に根づいてしまったのかもしれません。

 

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-439-4355
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援