少年犯罪の背景
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少年犯罪の背景

2018年06月14日(木)9:46 AM


少年犯罪が盛んにマスコミで取り上げられ、大きな社会問題となっています。

 

 

 

 

 

1997年に神戸で起こった「酒鬼薔薇聖斗」と名乗る中学三年生の少年が起こした小学生連続殺傷事件は、社会に大きな衝撃を与えました。

 

 

 

 

 

記者会見で、警察が容疑者の発表をした時には、本当に驚いたものです。

 

 

 

 

 

驚きはそれだけではすみませんでした。

 

 

 

 

 

佐賀のバスジャック事件、長崎の幼児誘拐殺害事件、豊川の主婦殺害事件、岡山の金属バット殺傷事件、新宿のビデオ店爆発事件、佐世保の小6女児殺害事件、寝屋川の教員殺傷事件、その後も全国各地で次々と少年や少女による事件が多発しています。

 

 

 

 

 

ネットや新聞やテレビでこういった事件を報道するとき、最近の少年犯罪は「低年齢化」「凶悪化」が特徴だと騒ぎたてます。

 

 

 

 

 

しかし本当に、マスコミが言うほど犯罪が「低年齢化」して、さらに「凶悪化」しているのでしょうか。

 

 

 

 

 

というのは、戦後の少年犯罪の起こり方を見ると、最近は特にひどい状況だとは言えないようなのです。

 

 

 

 

 

日本の少年犯罪は、戦後から現在までに、3つのピークがありました。

 

 

 

 

 

第一のピークは、戦後間もない1951年です。

 

 

 

 

 

戦後直後のそのころ、社会はまだ混乱しており、巷には貧しい人々があふれていました。

 

 

 

 

 

その貧しさゆえ、窃盗の犯罪が目立っていたのが特徴です。

 

 

 

 

 

第二のピークは、高度経済成長の真っただ中の1964年です。

 

 

 

 

 

社会が大きく変わっていく時期で、このころの犯罪の特徴は、低年齢化、性犯罪の増加、睡眠薬遊びなど現実から逃避するような傾向があるといわれました。

 

 

 

 

 

第三のピークは、1978年です。

 

 

 

 

 

価値観が多様化し、何がよくて何が悪いのかがあいまいになってきた時期です。

 

 

 

 

 

共働き夫婦が増えるとともに家庭も変化していきました。

 

 

 

 

 

子供に高学歴をつけさせようと、ママゴンなどと言われるような教育ママが現れる一方で、校内暴力が多発し、学校が非常に荒れていた時期です。

 

 

 

 

 

先生に暴力をふるう子供も少なくありませんでしたし、ガラス窓のほとんどが割れていた学校も珍しくありませんでした。

 

 

 

 

 

このころの特徴は、犯罪の機会が増えたことです。

 

 

 

 

 

そして、現在、第四のピークを迎えようとしています。

 

 

 

 

 

1996年から検挙される子供の数が増えています。

 

 

 

 

 

しかし、最近の少年犯罪の特徴は、どうやら凶悪化や低年齢化ということではないようです。

 

 

 

 

 

むしろ、これまで学校や社会では目立たなかった普通の子、あるいは勉強のできるいい子が”突然変異”する事件が目立っているのです。

 

 

 

 

 

「キレる」という言葉も定着しています。

 

 

 

 

 

犯罪の動機も、その少年のひとりよがりの思考や、周囲にはよく理解できない理屈に基づいたものばかりです。

 

 

 

 

 

不可解な子はアスペルガー?

 

 

 

 

 

子供たちの心の”不可解さ”への答えの一つとして、アスペルガー症候群という発達障害にスポットライトがあてられるようになりました。

 

 

 

 

 

豊川市で主婦殺害事件を起こした高校生(当時17歳)や、長崎市で幼女を誘拐し、駐車場のビルから突き落として殺した中学生(当時12歳)、子供ではありませんが、ANA機をハイジャックして機長を殺害した30代の男性は、精神鑑定の結果、アスペルガー症候群と判定されたとされています。

 

 

 

 

 

その後、さまざまな事件があるたびにアスペルガー症候群の名がささやかれています。

 

 

 

 

 

そのため、「不可解な事件=アスペルガー症候群」ひいては「アスペルガー症候群=犯罪」であるかのような風潮が濃くなってきたように思います。

 

 

 

 

 

先に結論を言ってしまいますと、発達障害と犯罪は直接的な因果関係はありません。

 

 

 

 

 

まったくの誤解なのです。

 

 

 

 

 

アスペルガー症候群とはどのような障害なのかを説明する前に、まず、一般にその名が知られるようになったきっかけの、豊川市の主婦殺害事件を簡単に紹介しておきましょう。

 

 

 

 

 

「人を殺す経験が必要だった」

 

 

 

 

 

事件は、2000年5月1日の夕方に起こりました。

 

 

 

 

 

少年は、近所のたまたま「玄関が少し開いていた」家に侵入し、主婦(当時65歳)、夫(当時67歳)の首を切りつけました。

 

 

 

 

 

翌日、逮捕された少年は、犯行の動機について「人を殺す経験をしようと思った」と語りました。

 

 

 

 

 

被害者を殺害の対象に選んだ理由については、「玄関が少し開いていたので、ここにしようと思った。若い未来のある人は殺人の対象にしてはいけないと思った」と淡々とした様子で語ったとされています。

 

 

 

 

 

これが犯罪の動機とは、腑に落ちません。

 

 

 

 

 

命に対する何か基本的なものが欠落しているのではないかと思えるような発言です。

 

 

 

 

 

このような大事件を起こした少年は、どのような生い立ちだったのでしょうか。

 

 

 

 

 

名古屋家庭裁判所による「保護処分の決定理由」を見ても、犯罪に結びつくような育ち方をしていたとは思えませんでした。

 

 

 

 

 

少年は、幼児期に両親が離婚し、母親がいなくなったため、祖父母や父親に育てられました。

 

 

 

 

 

周りの大人と心の交流が、やや足りないような印象もありましたが、そのことが少年の心に負の影響を与えることはなかったとされています。

 

 

 

 

 

平穏な生活を送っており、これまで非行歴はもとより問題行動を起こすこともありませんでした。

 

 

 

 

 

学校の友達ともごく普通のつき合い方をしてきました。

 

 

 

 

 

学校の成績はトップレベルで、高校在学中は特に理数系の教科がよくできました。

 

 

 

 

 

周りの人たちは、彼がそれほど偏った性格とは感じられなかったといいます。

 

 

 

 

 

その彼がなぜ、突然、残忍な殺人事件を犯さなければならなかったのでしょうか。

 

 

 

 

 

実は、少年の心の中で、一つの関心が膨れ上がっていたとされています。

 

 

 

 

 

それは、「人の死」への関心です。

 

 

 

 

 

その関心は事件を起こすはるか以前から芽生え、しだいに「人を殺すということはどういうことか」「人の死を見てみたい」という思いに発展していきました。

 

 

 

 

 

彼には、一度決めたことはやり遂げなくてはならないという思考癖があり、「人の死を見てみたい」という暗い計画へと自分を追い込んでいくことになりました。

 

 

 

 

 

それでも、部活動のテニスに打ち込むなどして、「人の死」への関心を紛らわすことができていましたが、テニス部を退部したことで、心に空白が生じ、殺人体験への決意が急速に固まっていったとされています。

 

 

 

 

 

少年は、調べに対して「殺人は社会的にいけないことや、家族に迷惑をかけることは考えたし、わかっていた。それとは違う次元で、自分には殺人を体験することが必要であった」と供述しています。

 

 

 

 

 

検察側は、少年の精神鑑定の結果、「殺人犯になってみたいという願いに基づく『殺人のための殺人』あるいは『退屈からの殺人』であり、典型的な『純粋殺人』」と位置づけました。

 

 

 

 

 

これを不服とする弁護団側は再鑑定を要求しました。

 

 

 

 

 

その結果、名古屋家庭裁判所は少年を「アスペルガー症候群」と判断し、医療少年院に送ることを決定しました。

 

 

 

 

 

この事件をきっかけに、アスペルガー症候群は犯罪と結びつくかたちでマスコミで取り上げられるようになりました。

 

 

 

 

 

動機は大変不可解ですが、だからといって、不可解な犯罪がみなアスペルガー症候群の子供によるものではありません。

 

 

 

 

 

だいたい、犯罪までに至らなくても、キレる子供たちの背景にはどのような要因があるのでしょうか。いくつかあげてみます。

 

 

 

 

 

①気質として、育てにくい子供

 

 

 

 

 

②神経症的発症、心身症

 

 

 

 

 

③発達障害

 

 

 

 

 

A 特異的発達障害(学習障害=LD)

 

 

 

 

B 広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群)

 

 

 

 

 

C 精神遅滞(知的発達障害)

 

 

 

 

 

④注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

 

 

 

 

 

⑤統合失調症、うつ病などの精神病

 

 

 

 

 

⑥心的外傷後ストレス障害(PTSD)など。

 

 

 

 

 

このように、アスペルガー症候群をはじめとする発達障害もその要因のひとつです。

 

 

 

 

 

ただし、「発達障害=キレる」というわけではなく、全体のなかのほんの一部の要因にすぎません。

 

 

 

 

 

まして、それが犯罪に結びつくのはごくまれなケースといってもいいでしょう。

 

 

 

 

 

名古屋家庭裁判所も、「不幸にして犯罪行為を犯してしまったが、発達障害者(アスペルガー症候群など)が犯罪を犯す危険性はきわめて低く、それ自体に犯罪を誘発する要因は認められない」と明言しています。

 

 



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