キレる子どもたち
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キレる子どもたち

2018年06月11日(月)12:32 PM


友だちづき合いでは、一見、平和的にふるまう子どもたちも、突然、凶暴な牙を剥くときがあります。

 

 

 

 

 

いわゆる「キレる」子どもです。

 

 

 

 

 

以前、私はこんな体験をしました。

 

 

 

 

 

友人と会食した帰り、友人をタクシー乗り場まで送った時のことです。

 

 

 

 

 

タイミングよくやってきた空車に、友人は乗り込もうとしました。

 

 

 

 

 

すると、一〇メートルほど離れたところにいた十数人の若者のグループが、大声をあげながら殴りかかってきました。

 

 

 

 

 

突然のことで、私たちはなにが起こったのかしばらく理解できませんでしたが、彼らの言い分を聞くと、「俺たちがタクシーを待っていたのに、お前が割り込んだのは許せない」ということでした。

 

 

 

 

 

常識的に考えて、タクシーを待っているなら、待っているなりの並び方や場所があるはずですが、彼らにはそれが通用しないようです。

 

 

 

 

 

なおも友人を攻撃するので、私は「まあ、まあ」と間に入りました。

 

 

 

 

 

すると、彼らのひとりが「お前は態度がでかい」と矛先を私に変えてきました。

 

 

 

 

 

そして、「名刺を出せ」というのです。

 

 

 

 

 

おかしなことを言い出すなと思いましたが、こちらとしては名前を出しても何も恥じることはありません。

 

 

 

 

 

よほど名刺を出そうかと思ったところ、グループの中で酔っていなかったらしい女性が「もう、やめなさい」と間に入り、その場は収まりました。

 

 

 

 

 

また、電車のなかで高校生くらいの男女が仲良く見つめ合っている光景をよく見かけます。

 

 

 

 

 

お互いにやさしく穏やかな顔をして、二人の世界に浸っています。

 

 

 

 

 

周囲の人たちが目のやり場に困っていることなど、まったく意に介しません。

 

 

 

 

 

しかし、電車が混んできて、乗り降りする乗客が混雑のために二人の肩などにぶつかったりすると、突然、やさしく穏やかだった顔が憤怒の表情に変わります。

 

 

 

 

 

自分たちの世界を邪魔された、邪魔するものは敵だ、と言わんばかりに。

 

 

 

 

 

ほんの少し体がぶつかっただけ、それも混んだ電車のなかでのことなのに、ささいなことをきっかけにキレる子どもが増えているようです。

 

 

 

 

 

気持ちを表現する言葉を知らない

 

 

 

 

 

キレるという状態は、医学的にいうと、「不満や怒り、不安の感情がわき出たときに、衝動をコントロールすることができず、状況に合った行動ができなくなる状態」をいいます。

 

 

 

 

 

カッとなり、いわゆる頭に血がのぼった状態が抑えられなくて、いきなり暴力的になるのですが、自分が何をしようとしているのか、本人には見えなくなっています。

 

 

 

 

 

非常に危険な状態です。

 

 

 

 

 

衝動のコントロールがうまくできない背景にあるものは単純ではなく、さまざまな要因が絡み合っています。

 

 

 

 

 

表面的なことだけをみていては、なかなかつきとめられません。

 

 

 

 

 

なかには、こころの発達に問題がある子もいます。

 

 

 

 

 

あるいは、親とのかかわりのなかでゆがんだ性格になっている子ども、うつ病や統合失調症、強いストレスを受けた後に起こるPTSD(心的外傷後ストレス)など、こころの病をもっている子どもだったとも考えられます。

 

 

 

 

 

最近では、覚せい剤などの薬物を使用しているためにキレやすい状況にある子どもも増えています。

 

 

 

 

 

しかし、そうした背景があるからといって、そういうときに皆が必ずキレるというわけではありません。

 

 

 

 

 

周囲の大人たちがどんな反応をするかによって、いくらでも防ぐことができます。

 

 

 

 

 

どうも私がみるところ、子どもがキレてしまうのは、親や教師がしつこく注意するなどの対応をしたときに多いようです。

 

 

 

 

 

家庭内暴力をふるうある子どもは、母親に何度も同じことをしつこく言われた場合にキレると言います。

 

 

 

 

 

しかも母親が泣きます。子どもは、やってはいけないとはわかっていながら暴れています。

 

 

 

 

 

そういうとき、母親に泣かれると本当につらいと言います。

 

 

 

 

 

「つらい」という気持ちを言葉にして母親に伝えられたら、もっと違う展開になると思うのですが、彼は泣く母親にキレ、「うるさい」「おまえがそういう顔をするから」「あっちへ行け」などと反抗的な態度に出てしまうのです。

 

 

 

 

 

キレやすい子どもたちのこころを私なりに推測してみると、なにか漠然とした不安を抱え込んでいるように思えます。

 

 

 

 

 

彼らは基本的に人を信じることができないため、人に対して非常に用心深く、いつも周囲に対してピリピリと神経をとぎすましています。

 

 

 

 

 

自分のことをわかってもらいたいけれど、複雑な気持ちを表現するのが下手です。

 

 

 

 

 

また、相手の気持ちを読み取ろうとすることも苦手です。

 

 

 

 

 

漠然とした不安を抱えながら、キレる寸前のところまで追い込まれているのは、けっして一部の子どもだけではありません。

 

 

 

 

 

赤ちゃんに話しかけない母親

 

 

 

 

一方、現代の親にも奇妙な現象が見られます。

 

 

 

 

 

保育園の先生たちの集まりで聞いた話なのですが、赤ちゃんに話しかけない若い母親が増えているというのです。

 

 

 

 

 

赤ちゃんは、言葉を話すことができません。

 

 

 

 

 

だから、言葉の通じない赤ちゃんに話しかけても無駄なのだと考えて、話しかけないのだそうです。

 

 

 

 

 

非常に合理的な考え方ですが、おむつを交換するときも、授乳するときも、黙って赤ちゃんに接する母親の姿は奇妙な感じがします。

 

 

 

 

 

「おむつ換えましょうね」「ミルクの時間ですよ」「あら、困ったわね」などと、何をするにも母親は独り言のように話しかけているものです。

 

 

 

 

 

また、赤ちゃん言葉を使わない親も増えています。

 

 

 

 

 

赤ちゃんを一人の人間として尊重するから、きちんとした言葉で語りかけたいという考え方によるのでしょうか。

 

 

 

 

 

しかし、赤ちゃん言葉は、赤ちゃんの注意をひきつけるために、やや声も大きく、ある言葉を強調して話すよう無意識のうちに工夫されています。

 

 

 

 

 

日本語では「赤ちゃん言葉」ですが、英語では「母親言葉」(motherese)というのはこのためでしょう。

 

 

 

 

 

赤ちゃんは、母親などからあやされて笑うようになるのは、生後二、三ヶ月ごろからです。

 

 

 

 

 

それ以前の笑いは、刺激が脳を介して顔の筋肉を収縮させたもので、周囲とのかかわりとは関係がありません。

 

 

 

 

 

これを自発的微笑といい、ある学者は「しかめ顔」と呼んでいます。

 

 

 

 

 

ところが、母親が日々のかかわりのなかで、言葉や動作で赤ちゃんの注意をひきつけ、赤ちゃんの反応を見ながら、タイミングを合わせるようにして話しかけていくと、赤ちゃんはしだいに話しかけると笑うようになります。

 

 

 

 

 

これを社会的微笑といいます。

 

 

 

 

 

これは、赤ちゃんが人間関係を築いていくのに大切な、「相互交渉」の出発点でもあります。

 

 

 

 

 

相互交渉とは、お互いに相手の反応を見ながら、コミュニケーションを交わしていく関係をいいます。

 

 

 

 

 

そのタイミングがぴったり合うと「同調性が高い」ことになります。

 

 

 

 

 

相互交渉は、「同調性の高い関係」で成立します。

 

 

 

 

 

つまり親子のコミュニケーションは、母親と赤ちゃんとの息がぴったり合ったところに、はじめて生まれるわけです。

 

 

 

 

 

母親がやさしい笑顔で温かい声をかけながら赤ちゃんの目をみつめ、肌に触れ、赤ちゃんも声をかけた母親を見つめ、目と目を合わせてにっこりします。

 

 

 

 

 

そこに高い同調性が生まれます。

 

 

 

 

 

ですから、赤ちゃんが返事をしないからといって、黙々とおむつを交換し授乳する母子関係は、同調性が高いはずがありません。

 

 

 

 

 

親子のコミュニケーションの歯車はかみ合っていないのです。

 

 

 

 

 

同調性が悪く、温かな気持ちのやりとりがない状態です。

 

 

 

 

 

ただし、注意してください。同調性が悪い場合でも、親は一生懸命に赤ちゃんの世話をしているつもりなのです。

 

 

 

 

 

しかし、その気持ちは赤ちゃんには通じていません。

 

 

 

 

 

その赤ちゃんがやがて思春期を迎えた時、親と子が本音で話し合える関係になっていると考えるほうが不思議です。

 

 

 

 

 

赤ちゃんからの返事は、声だけでなく、動作や表情から読みとってほしいと思います。

 

 

 

 

 

これは赤ちゃんのときだけでなく、ずっと同じことです。

 

 

 

 

 

子どもの示す「言外の意」をくみとってやってください。

 

 



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