恐怖という感情は、知らず知らず刷り込まれる
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恐怖という感情は、知らず知らず刷り込まれる

2018年06月08日(金)5:23 PM

敏感な人の中には、「恐怖」という感情がわくと、その「感情の不愉快さ」に耐えきれなくなって、パニック、暴力という行動に出る人が少なくありません。

 

 

 

 

 

実は、この「恐怖」という感情は、「もともと本人が持っているもの」と、「後天的に刷り込まれるもの」の二種類あります。

 

 

 

 

 

しかも、その多くは、何気ない日常の中で、知らず知らずのうちに刷り込まれることのほうが多いようです。

 

 

 

 

 

例えば、幼い頃、私は知的障害をもつ人を「変わった大人だ」と思ったことはあっても、「怖い」と思ったことはありませんでした。

 

 

 

 

 

ところが、親や近所のおばさんから、さも恐ろしそうな声色で、「あの人はとっても怖い人だから、絶対に近づいちゃだめ!」と言われるうちに、大人たちの「怖い」という音叉に共鳴し始めました。

 

 

 

 

 

すると、ある時から突然、私自身も「怖い」と感じるようになったのです。

 

 

 

 

 

その後、実際に知的障害をもつ方々と触れ合うようになるまで、この間違った認識は続くことになりました。

 

 

 

 

 

また、私は昔、お墓も怖くありませんでした。

 

 

 

 

 

しかし、肝試し大会でパニックになる人々の姿を見たり、親たちから「お墓はとても危ないし、怖い所だから絶対に一人で行ってはいけない」と繰り返し聞かされることによって、いつのまにか、気がついたら、「お墓が怖い」と感じるようになっていました。

 

 

 

 

 

こうして一度刷り込まれた恐怖感は、さも、「昔から怖かった」ように感じるようになります。

 

 

 

 

 

しかも、一度「恐怖」という感覚や感情が条件づけられると、「これは、あとから付け加わった感覚だ。最初は怖くなかったはず」と、頭では理解できても、感情がわかないようにするのは至難の技です。

 

 

 

 

 

子ども心に、「いたずらに大人たちが恐怖感を煽り立てて、心に存在しなかった恐怖感を子どもに刷り込むのはよくないな」と思ったものです。

 

 

 

 

 

パニック障害が起こるメカニズム

 

 

 

 

 

刷り込まれた恐怖は、成長とともに克服することができます。

 

 

 

 

 

しかし、恐怖に反応する「困ったパターン」が残ってしまうことは少なくありません。

 

 

 

 

 

実は、パニック障害と呼ばれる状態が、この「困ったパターン」の最たる例です。

 

 

 

 

 

「パニック障害が起こるメカニズム」を私の体験を事例として説明しましょう。

 

 

 

 

 

私は子どもの時、賽の河原の石塔をあやまって崩したことがあります。

 

 

 

 

 

この時、母親から、「なんて悪い子だろう。あんたのせいで、これを作った子は地獄に落ちたわ。

 

 

 

 

 

あんただって、地獄落ちか、刑務所行きよ」と叱られました。

 

 

 

 

 

その口調と表情があまりにも恐ろしく、「地獄は絶対にある」と思い込んでしまった私は、以来、どんなにほかの大人たちから、「石を倒したくらいでは、地獄に落ちない」と説明されても納得できず、美術書などで地獄絵図を見るたびに恐怖で怯え、「自分は死んだらここに行くんだ。どんなに償っても無駄なんだ。ならば、いっそ極悪人にでもなってやろうか」と思ったものです。

 

 

 

 

 

数年後、いろいろな書籍で「地獄」について学び、「石を倒したくらいでは地獄に落ちない」と納得できた私は、「地獄に落ちる」という恐怖からは脱出しました。

 

 

 

 

 

しかし、しばらくの間、「物が積んである傍らを通るのが怖い」「失敗するのが怖い」「無実の罪で、地獄ならぬ刑務所に入れられるかも」という恐怖で、時々、身動きがとれなくなりました。

 

 

 

 

 

私は動けなくなるたびに、深呼吸をして、「物が積んであっても気をつけて通れば大丈夫」「失敗しても、一からやり直せば大丈夫」「悪いことは何もしていないから大丈夫」と、自分に言い聞かせるようにしました。

 

 

 

 

 

それで、動くことができるようになったのです。

 

 

 

 

 

このケースのように、最初に問題が起こった(石を倒した)時に、大騒ぎ(パニック)が起こると、脳裏に「恐ろしく大変なことが起こってしまった!」と印象づけられてしまいます。

 

 

 

 

 

すると、次に似たような問題が起こると、「また、同じようなことを繰り返すのではないか」という恐怖感に襲われるようになります。

 

 

 

 

 

この時に、「前回と今回は違うから大丈夫」と、以前の問題と切り離して考え、自分を安心させるような行動ができれば、パニック障害にはなりません。

 

 

 

 

 

ところが、以前の問題と次に起こった問題を関連づけてしまい、「やっぱり、たいへんなことになった!」と大騒ぎ(パニック)することで不安を紛らわせたり、周りの人に助けてもらったりする癖がつくと、「パニック障害」になるわけです。

 

 

 

 

 

つまり、「パニック障害」とは、「恐怖感が湧いてきたときに、パニックという反応を選ぶ癖」とも言えます。

 

 

 

 

 

こうした「パニック」は、大人たちがしつけのために言った何気ない言葉が引き金になることも少なくありません。

 

 

 

 

 

場合によっては、小さなひと言が、日常生活に支障をきたす大事に至ることすらあります。

 

 

 

 

 

例えば、小学校の先生が清潔教育のために言った、「トイレットペーパーは、顕微鏡で見ると穴だらけです。

 

 

 

 

 

いくら重ねても、穴から便がもれます。だから、トイレに入った後は、しっかり手を洗いましょう」という一言で、不潔恐怖症になって用便の始末が自分でできなくなったり、使い捨てのビニール手袋をはめないと後始末ができなくなった子がいます。

 

 

 

 

 

このように、敏感な子は、「実際に起こる可能性があること」と、「単にしつけのために厳しく言っただけ」という区別がつきません。

 

 

 

 

 

しかも、叱った時の口調や感情の印象が心に強い残像として残ります。

 

 

 

 

 

ですから、敏感な子どもに対して、「恐怖」という罰を使って、しつけをすることは好ましくありません。

 

 

 

 

 

特に、現代社会は、「清潔、安全」にとても敏感です。

 

 

 

 

 

こうしたことが子どもに与える影響は、計り知れないものがあります。

 

 

 

 

例えば、新しいウィルスが発見されたり、凶悪事件が起こったりすると、九九、九%の人は安全であっても、まるで、「次はあなただ」といわんばかりにニュースで騒ぎ立てます。

 

 

 

 

 

敏感な子はこうしたニュースを聞くたびに、「家の外に一歩出れば、そこは危険」と思い込むでしょう。

 

 

 

 

 

大人たちが知らず知らずに行っている「恐怖」の刷り込みが、敏感な子どもたちの心を蝕んでいるのです。

 

 



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