セルフ・コントロールと不登校
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セルフ・コントロールと不登校

2018年06月06日(水)10:29 AM

セルフ・コントロールとは、先々の目標を考えたうえで、「したくないことを、あえて行う」「したいことを、あえて行わない」ことです。

 

 

 

 

 

日常的な言葉で言えば、「がんばる」「耐える」ことです。先々の目標のために、「したくないことを、あえて行う」ことが、「がんばる」ことです。

 

 

 

 

 

「したいことを、あえて行わない」ことが、「「耐える」ことです。

 

 

 

 

 

がんばることや耐えることは、目標を達成し、課題を乗り越えるために必要な力です。目の前に課題があるときは、それがストレスとなります。

 

 

 

 

 

しかし、ストレスがあるからといって、遊びで発散しても課題は解決しません。課題を解決しない限り、それがストレスとして目の前に横たわります。

 

 

 

 

 

仕事がたいへんなので、仕事をしないで遊んで暮らせば、ますます窮地に追い込まれていきます。

 

 

 

 

 

すなわち、問題や悩みなどで、それを取り除けるものなら早い段階で賢く取り除いたほうがいいのです。このために必要なのが、セルフ・コントロールです。

 

 

 

 

 

実際、セルフ・コントロールは学校教育の中で意図的に培われています。

 

 

 

 

 

学校の主な活動は学業ですが、学業もこのような力を育むことが意図されています。そして、この力は、社会に出た後でも非常に重要です。

 

 

 

 

 

自己実現していくためには、目標に向かって努力することや我慢が求められます。そして、学校は、そもそも社会に出ていく準備機関です。

 

 

 

 

 

学校がセルフ・コントロールを大事にするのは、当然のことだといえます。

 

 

 

 

 

それゆえに、がんばり、耐えられる場合ほど、子どもは学校を快適に感じます。

 

 

 

 

 

だからこそ、学校で快適に生活するためにも、社会に出てから先でも、子どものうちに、セルフ・コントロールを身につけておくほうがよいのです。

 

 

 

 

 

不登校問題の中に見るセルフ・コントロール過多の問題

 

 

 

 

 

セルフ・コントロールは、主に児童中期から後期にかけて急激に育ちます。

 

 

 

 

 

E・H・エリクソンが、児童期のことを「勤勉期」と呼んだように、この時期は、物事に取り組もうとする意欲が人生の中で一番高いです。

 

 

 

 

 

ホルモンのバランスも良く、情緒も安定しています。

 

 

 

 

 

そのうえ、先々を見通す思考力も育っています。

 

 

 

 

 

保護者や教師の要求に応えたいという気持ちも強いです。

 

 

 

 

 

それゆえに、課題をまじめにこなそうとする力を培うのには最適です。

 

 

 

 

 

不登校の問題で、セルフ・コントロールが問題になるのは、大きく二つのタイプがあります。

 

 

 

 

 

一つは、セルフ・コントロールが強く、自分の欲求にブレーキをかけすぎる場合です。

 

 

 

 

 

もう一つは、セルフ・コントロールの力が身についていない場合です。

 

 

 

 

 

実は、セルフ・コントロール過多、つまり頑張り過ぎ、我慢のしすぎも本当の意味でセルフ・コントロールはできていません。

 

 

 

 

 

先々を見通し、自分にほどよい程度の努力に調節ができないのです。

 

 

 

 

 

頑張ること、我慢することで、ストレスを過剰にため込んでしまいます。これが問題なのです。

 

 

 

 

 

セルフ・コントロールが過多である不登校の事例では、頑張る、耐えるなどの表面的なセルフ・コントロールを高める必要はありません。

 

 

 

 

 

この見極めは、不登校になっての様子ではなく、それ以前の様子で判断します。

 

 

 

 

 

特に、小学生時に、頑張りや我慢ができる子どもの場合は、セルフ・コントロールを行う基礎的な力は獲得されていると考えられます。

 

 

 

 

 

小学生でも、不登校以前にまるで「大人子ども」のように、しっかりし過ぎていた事例も同様に考えていいでしょう。

 

 

 

 

 

このような子供が不登校となった結果、一定程度怠惰になるのは当然のことと考え、ゆったりと接します。

 

 

 

 

 

むしろ、いい加減に行うことや、適当にやり過ごすなどの仕方を教えます。

 

 

 

 

 

目の前の課題に追われるのではなく、先々を見通して力を温存します。

 

 

 

 

 

ゆったりと過ごし、本当に力を注がねばならないことのために力を蓄えさせます。

 

 

 

 

 

これが、身につけたい本当のセルフ・コントロールです。

 

 

 

 

 

視野を広げ、視線を高くし、自分が本当にがんばり、耐えるに足るものを選び、緩急をつけることです。

 

 

 

 

 

これが、彼らに必要なセルフ・コントロールです。

 

 

 

 

 

定期テストで悪い点を取るという課題

 

 

 

 

 

「事例」  無理をし続けてきた少年A君

 

 

 

 

 

A君は、いわゆる「お受験」で育ってきた子供です。

 

 

 

 

 

幼稚園から「受験」を意識し、小学校は有名私立小学校や大学付属小学校を受験しました。

 

 

 

 

 

しかし、結局公立小学校に入学することになりました。

 

 

 

 

 

そして、小学三年生からは、進学塾通いが生活の中心になりました。

 

 

 

 

 

A君は、もともと知能も高く、成績も上位を保っていましたが、小学六年生のころから息切れが始まりました。

 

 

 

 

 

「もっとしっかり勉強するように」と言う母親に反発し、机の前でぼんやりと過ごすことが増えました。

 

 

 

 

 

結局、第一希望の中学には合格せず、不本意な気持ちで第二希望の中学に入学することになりました。

 

 

 

 

 

そして、中学校入学後、一カ月ほどして不登校が始まりました。

 

 

 

 

 

 

A君の場合、毎朝学校への道のりの中で目標となる地点まで歩くことを課題とし、目標地点をだんだん学校に近づけることを課題にしましたが、課題そのものを工夫しました。

 

 

 

 

 

一直線に学校に向かうのではなく、登校途中で寄り道をすることを勧めました。

 

 

 

 

 

外出をするときにも、自分にとって楽しみとなること、例えば買い物に出たら、本屋で立ち読みをすること、趣味のプラモデル屋をのぞいてみることなども勧めました。

 

 

 

 

 

 

その後、しばらくして別室登校となったA君が、教室に入ろうとの決意を語ったのは、二学期の期末テストの時でした。

 

 

 

 

 

「無理はしないように」と私は伝えました。そして、「絶対に勉強してはいけないよ。できるだけ悪い点を取りなさい」と言いました。

 

 

 

 

 

「君は、クラスに慣れなきゃならないでしょう。しばらく教室に入っていないのだから、友達にも、教室で行う勉強にも慣れなきゃならないでしょう。

 

 

 

 

 

試験勉強は後回しにしなさい。それに・・・・・・」私は続けました。

 

 

 

 

 

「教室で勉強を長いことしていない君がやってきて、いい点数をいきなりとったら、教室で勉強していた仲間はどう感じるかな?・・・・・・そう、面白くないよね・・・・・・。

 

 

 

 

 

それからね、まだいい事はあるよ。今回最低点を取っておけば、次は特に頑張らなくても今回よりはいい点が楽に取れるはずだよね。

 

 

 

 

 

次の試験までの余裕ができるんじゃないかな」

 

 

 

 

 

後日、「国語は平均を越えてしまいました。すみません」と頭を掻きながら、まんざらでもない様子で試験の出来具合を私に報告しました。

 

 

 

 

 

それ以降は順調に登校できるようになりました。

 

 

 

 

 

不登校に見るセルフ・コントロール不足の問題

 

 

 

 

 

A君とは対照的に、セルフ・コントロールを獲得しそこなった子どももいます。

 

 

 

 

 

この場合は、セルフ・コントロールを身につけさせることを意識します。

 

 

 

 

 

また、小学生の中学年程度までは、セルフ・コントロールは十分に獲得されていないのが普通です。

 

 

 

 

 

そこで、低年齢の子どもの場合も、不登校期間中にセルフ・コントロールの育成を意識したいのです。

 

 

 

 

 

ここで強調したいのは、セルフ・コントロールの獲得のされ方です。

 

 

 

 

 

基本的に、「我慢」は、周囲の承認、賞賛から培われます。

 

 

 

 

 

そして、「頑張り」は成功体験から培われます。

 

 

 

 

 

両者の獲得のメカニズムを、頭に入れておいてほしいのです。

 

 

 

 

 

「我慢」は、しつけが基礎をつくります。ですが、ただ我慢させればよいというものではありません。

 

 

 

 

 

「したいことを、あえて行わない」ことは、多くの場合、周囲がその我慢をほめ、認めることで培われます。

 

 

 

 

 

重要な他者から、自分の欲求を上手に抑制したことを認められること、ほめられることが大事なのです。

 

 

 

 

 

つまり、重要な他者からの肯定的な評価が、「我慢」の力をつけさせます。

 

 

 

 

 

一方、「頑張り」は、成功体験で培われます。

 

 

 

 

 

成功体験とは、自分の成長を確認した体験です。

 

 

 

 

 

これは、「頑張れ」と励まされることで身につくのではありません。

 

 

 

 

 

その頑張りが結果に結びつき、「できるようになった」と思うことが大事なのです。

 

 

 

 

 

「できるようになった」と思えること、成功体験は、過去の自分と現在の自分を比較して、成長が意識化されたときに生じます。

 

 

 

 

 

つまり、自己評価が「頑張り」の力を育むのです。

 

 

 

 

 

このように、「我慢」の獲得には、他者評価が意味を持ちます。

 

 

 

 

 

「頑張り」の獲得には、自己評価が意味を持ちます。

 

 

 

 

 

しかし、「頑張り」に他者評価が不要かといえばそうではありません。

 

 

 

 

 

何かに成功したとしても、そのことを確認し、喜ぶ人がいなければ寂しいものです。

 

 

 

 

 

過去の自分を回想させ、自分の成長を意識化させたときに、傍らに誰かがいてその成長について客観的にフィードバックされた方がいいのです。

 

 

 

 

 

つまり、「○○できるようになった」と絶対評価を与え、言語化する人が必要になります。

 

 

 

 

 

このように「我慢」も「頑張り」も、傍らにいる人がかかわることが重要になります。

 

 

 

 

 

子どもの成長を見届けながら、我慢をほめ、認め、成長をしっかりと見届けながらその成長を言語化して一緒に喜ぶ、これがセルフ・コントロールを獲得させていく基本です。

 

続く



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