ひきこもりのしつこい要求やこだわりへの対応
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ひきこもりのしつこい要求やこだわりへの対応

2018年06月05日(火)8:42 AM

ひきこもりの場合、しつこい要求、過去へのこだわり、親の子育てへの非難が延々と続くことがよくありますが、これは家庭内暴力についで、親にとって負担の大きいものです。

 

 

 

 

 

ここでは、しつこい要求を例にとって、これらの問題への対応について考えてみます。

 

 

 

 

 

「事例」  しつこい要求

 

 

 

 

 

中学三年生から不登校となり、現在、一七歳の息子です。

 

 

 

 

 

もう二年以上、めったに家から出ずに過ごしています。

 

 

 

 

 

半年ほど前からほど、ほとんど毎晩のように母親に対してさまざまな要求を繰り返しています。

 

 

 

 

 

内容は、お菓子、プラモデルなどが多く、ゲームのソフトのこともありますが、それは中古で出回っているものに限るなど、つつましやかなものです。

 

 

 

 

 

しかし、困るのはその時間帯で、たいがいは午後一〇くらいから言い始め、それが朝の三時から四時までも続くことがしばしばです。

 

 

 

 

 

そして、息子は今すぐそれを買ってきてほしいとわがままを言います。

 

 

 

 

 

そんな時間にはもうどの店も閉まっていると言っても、どこか開いているはずだと聞き入れません。

 

 

 

 

 

しかたなく、息子を乗せて車で夜の街を巡ってくることもあります。

 

 

 

 

 

何度か、閉まっている店のシャッターをたたいて開けてもらったことすらありました。

 

 

 

 

 

昼のうちに前日に要求のあった品物を買っておいても、その夜にはまた前日とは違うことを言い出す始末で、母親はほとほと疲れ果ててしまいました。

 

 

 

 

 

物を投げて壊すのはしょっちゅうですが、最近は母親をこづいたり、のしかかって威嚇したりもしてくるので、母親は息子を怖がっています。

 

 

 

 

 

「対応の仕方」

 

 

 

 

 

こんなときには、まずシステミックなアプローチを組み立てていきます。

 

 

 

 

 

つまり最初は、親が相談に来ていることを本人に伝えることから始まります。

 

 

 

 

 

次に、宿題(治療的な介入課題)を出します。

 

 

 

 

 

<宿題>

 

 

 

 

 

息子さんからはいろいろな要求があるようですが、それを出してくるというのはとてもいいことだと思います。

 

 

 

 

 

その要求の中には、きっと息子さんの本当の気持ちがかくされているはずです。

 

 

 

 

 

今夜一〇時から、息子さんからありったけの要求を聞き出して、メモしてきてください。

 

 

 

 

 

時間はいくらかかってもかまいませんから、三日間続けてください。

 

 

 

 

 

ただし、この三日間は要求を聞き出すだけにしてください。

 

 

 

 

 

その間、要求を実現するようなことはしないでください。

 

 

 

 

 

もし一つでも買い与えたり、要求を実現してしまうと、息子さんの本当の気持ちが見えなくなってしまいます。

 

 

 

 

 

「もういいや」

 

 

 

 

 

そして、このメッセージを書いたメモを持ってきてもらい、カウンセラーからの指示があったからと、親から本人に説明してもらいます。

 

 

 

 

 

本人が希望したら、このメッセージをそのまま見せてもかまいません。

 

 

 

 

 

これは、援助システムを新たに構築するための必要な手続きです。

 

 

 

 

 

この親子の場合、要求を聞き出すのに、一日目は夜一二時までの二時間、二日目は三〇分程度かかりました。

 

 

 

 

 

そして、三日目に要求を書きだそうと親がメモを手に待ち構えていると、「もういいや」とすぐに終わってしまいました。

 

 

 

 

 

そして、それ以降は夜中のしつこい要求はなくなりました。

 

 

 

 

 

「二段重ねのメッセージ」

 

 

 

 

 

人が他の誰かに何かを求めるときには、求める内容と求める気持ちを重ね合わせて、同時に伝えることになります。

 

 

 

 

 

特に子どもから親へ伝える場合には、要求の内容よりも、それを親に伝えたいという気持ちの部分がとても大きく、強くなります。

 

 

 

 

 

親子のコミュニケーションを考えるときには、常にこの二段重ねのメッセージを意識しなければなりません。

 

 

 

 

 

すなわち、親子のやりとりでは子どもの「伝えたい」という部分を取り上げることが重要なポイントとなります。

 

 

 

 

 

実際に要求を満たすかどうかより先に、親に伝えたいという子どもの気持ちを取り上げることが大切なのです。

 

 

 

 

 

それで実際に要求がなくなるかどうかはわかりません。

 

 

 

 

 

要求は続くかもしれませんが、それが可能なものかどうかは子どもなりにわきまえているものです。

 

 

 

 

 

本当に子どもが親に求めるのは、自分が親に伝えたいという部分を拾い上げてもらうことです。

 

 

 

 

 

要求を満たすにはある程度のお金がかかるかもしれませんが、子どもからの気持ちに応えるのはただでできます。

 

 

 

 

 

それだけでこどもの要求は「半値になる」わけで、親子どちらにとってもずっと扱いやすくなります。

 

 

 

 

 

「親子が向き合う」

 

 

 

 

 

この事例の場合の対応のポイントは、システミックな援助関係を構築したこと、母親が直接に要求を満たさずに、伝えたい気持ちの部分を拾い上げる作業をしたこと、そして何よりこの一連の作業を通して、息子の要求を真ん中にはさんで、親子がしっかりと向き合うことができたことであろうと考えられます。

 

 

 

 

 

ひきこもりのプロセスの観点からすると、安定期の中にしっかりと立ちとどまることができたと言えるでしょう。

 

 

 

 

 

そして、それがそのまま次のためらい期に移る準備ともなります。

 

 

 

 

 

こうした対応の仕方は、過去へのこだわり、親の子育てへの非難などの場合にも、同じように役立てることができます。

 

 



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