不登校・アパシー(無気力症)・ひきこもりの類型化
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不登校・アパシー(無気力症)・ひきこもりの類型化

2018年06月02日(土)11:18 PM


類型化は往々にして、当初の意図とは別にレッテル貼りに用いられることもあり、慎重になってしまいます。

 

 

 

 

 


幸か不幸か、ひきこもりに関してはいまだに全般的な類型化はなされていません。しかし何もないとまた考えにくく、共通理解も難しくなります。

 

 

 

 

 

そこでまず、不登校、アパシー(無気力症)の場合の類型化を振り返り、そのうえでひきこもりのタイプ分けについて考えてみます。

 

 

 

 

 

1 不登校の類型化

 

 

 

 

 

不登校については、これまで数多くの類型化がなされてきました。小泉英二氏「登校拒否・その心理と治療」(学事出版)は、主なタイプとしてAタイプ(優等生の息切れ)、Bタイプ(家庭への逃避)、Cタイプ(精神障害)、さらには怠学傾向、一過性、分離不安傾向、発達障害、積極的拒否、その他に分類しています。

 

 

 

 

 

詫摩武俊、稲村博氏「登校拒否」(有斐閣)は、急性型、反復型、精神障害型、怠学型、その他に分け、さらに稲村博氏は、より臨床的な分類として、神経症的なタイプ、怠学的なタイプ、その他のタイプをあげています。

 

 

 

 

 

しかし、おおむね1990年ごろからは、不登校に関する新たな分類を行う努力はほとんど見られなくなりました。

 

 

 

 

 

そもそも不登校とは、それまでの本人の対処方法では間に合わなくなったという子どもからのサインに他なりません。

 

 

 

 

 

分類とは、本人の性格行動の特徴を振り分けることですが、生まれてこの方たかだか10年ちょっとの本人の履歴の中から新たな対処方法を見つけだそうというのは、いささか無理があります。

 

 

 

 

 

むしろ、それ以後の思春期青年期に大きく広がるひきこもりの側から不登校を見ることで、今まで以上のことが見えてくるかもしれません。

 

 

 

 

 

2 アパシー(無気力症)の類型化

 

 

 

 

 

ひきこもりと類似の性格をもつものにアパシー(無気力症)があります。稲村博氏はその著「若者・アパシーの時代」の中で、アパシーをおおむね次のように分類しています。

 

 

 

 

 

「経過による分類」

 

 

 

 

 

まず経過による分類ですが、数ヶ月から一年程度まででアパシーの症状が消失するもの、すなわち元気を取り戻し本来の活動を始めるものを、「一過性」としています。

 

 

 

 

 

これに対し、アパシーの状態が一年以上続くものを、「慢性」としています。つまり、一年を超えたら「慢性」の状態として、援助が必要であるとされます。

 

 

 

 

 

「程度による分類」

 

 

 

 

 

次に、程度による分類ですが、軽度、中等度、重度の三つに区分けされます。

 

 

 

 

 

「軽度」とは、通常の学校生活、仕事がほとんどできずに、精神活動のレベルが低下している、しかし、毎日のように外出し、気ままな生活ができるし、ときには短いアルバイトもします。

 

 

 

 

 

自室に閉じこもりがちではあるものの、家族、特に母親との会話はできています。

 

 

 

 

 

しかし、話が学校や仕事のことになると口をつぐみ、その場を立ち去って自分の部屋に戻ってしまいます。

 

 

 

 

 

そのような状態が「軽度」です。

 

 

 

 

 

「中等度」とは、夜間に近くのコンビニに行く程度で、自由に外出することはありません。

 

 

 

 

 

会話は、家族が声をかければ答える程度で自分から話すことはあまりありません。

 

 

 

 

 

食事時間も家族とは異なり、いっしょの食卓を囲むことはなくなります。こうした状態が「中等度」です。

 

 

 

 

 

「重度」とは、無為、無気力が顕著であり、まったくといっていいほど外に出ません。

 

 

 

 

 

家族との会話もほとんどなく、しばしばメモでの連絡を余儀なくされます。

 

 

 

 

 

食事も自室でとり、家族は本人の部屋の前に食事を置くだけで、何ヶ月も本人の顔を見ないことも珍しくありません。

 

 

 

 

 

このような状態が「重度」です。

 

 

 

 

 

これらはひきこもりに当てはめてみても、程度の区分としては同じようなことが言えます。

 

 

 

 

 

ただし、アパシーの場合は、放置すると軽度からだんだんと中等度、重度へと進行していくとされるのですが、ひきこもりの場合は、必ずしもそうではありません。

 

 

 

 

 

私の経験での印象としては、重度の症状を呈するときは、だんだんそうなるのではなく、ある時からいきなりそういった状態が始まることが多いように思えます。

 

 

 

 

 

一般に相談は、最悪の状態(重度)で開始されることが多く、それがだんだんと中等度へ、あるいは軽度へという経過をたどっていきます。

 

 

 

 

 

また、軽度の状態までいかないと動き出すことができないかというとそうでもありません。

 

 

 

 

 

実際には、中等度あたりの状態から動き出すことが多いようです。

 

 

 

 

 

逆に、軽度の場合は、ストレスが少ないためか、その状態のままで長期化しがちとも言えます。

 

 

 

 

 

たとえば、家人が起きているときはまったく部屋から出てこないという、いわゆる重度とされる状態が半年以上も続いていたのが、ある日急に知人を訪ねて家を出て、そこでアルバイトを始めるといったこともありました。

 

 

 

 

 

また、家から一歩も出ずにいたのが、自動車免許の書き換えの当日(本人の誕生日)の朝に三年ぶりに家を出て、たった一人で十キロもの道のりを徒歩で往復して、独力で書き換え手続きを済ませ、それをきっかけに活動を始めた例もあります。

 

 

 

 

 

このように、ひきこもりの経過は、一様ではありません。

 

 

 

 

 

「特徴による分類」

 

 

 

 

 

特徴による分類には、次の六つの型があげられます。

 

 

 

 

 

①不登校遷延型(挫折型)

 

 

 

 

 

不登校から立ち直れないまま、長引いて無気力状態になったもの。

 

 

 

 

 

②虚脱型(荷おろし型)

 

 

 

 

 

大学に入学する等により、目標を失ったもの。

 

 

 

 

 

③消耗型(燃え尽き型)

 

 

 

 

 

無理な勉強、仕事のしすぎ、頑張りすぎで、疲れきってしまったもの。

 

 

 

 

 

④社会生活拒否型(モラトリアム型)

 

 

 

 

 

社会人になる(仕事に就く)ことをためらい、不安や怖れを抱き、立ち止まっているうちに無気力になってしまったもの。

 

 

 

 

 

⑤怠け型

 

 

 

 

 

もともと勉強、仕事が嫌いで、回避(逃避)しているうちに無気力になってしまったもの。

 

 

 

 

 

⑥その他

 

 

 

 

アルコール依存、薬物依存、精神疾患などの症状としての無気力状態にあるもの。

 

 

 

 

 

ひきこもりを、非精神病性のものとすると、⑥の精神症状としてのひきこもり状態は除外されます。

 

 

 

 

 

ただし、統合失調症による症状は別として、強迫症状等の精神病的な症状はしばしば見られるものであり、こうした症状があるからといってひきこもりから除外することにはなりません。

 

 

 



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