ひきこもり本人と家族にとってのゴール
ホーム > ひきこもり本人と家族にとってのゴール

ひきこもり本人と家族にとってのゴール

2018年06月02日(土)11:19 AM

「自分なりのペース」

 

 

 

 

 

ひきこもりについて、しばしば親のせいじゃないか、親がしっかりしないからじゃないかなどと言われることがあります。

 

 

 

 

 

しかし、親御さんは皆さんとても一生懸命です。

 

 

 

 

 

そして、何より当の本人たちが葛藤の中でたいへんに苦しんでいます。

 

 

 

 

 

こんな自分ではいけないとか、自分のことをどうしたらいいんだろうとか、こんなに一生懸命に真面目に自分の問題に直面し、自分と向き合うことを何年も続けるのには、ものすごいエネルギーが必要になります。

 

 

 

 

 

私にはとてもできないような気もします。

 

 

 

 

 

でもその中で本人たちが何をしようとしているかというと、けっしてとてつもないことをやろうとしているのではありません。

 

 

 

 

 

ただ単に、どんなペースが自分に合っているのか、自分なりのペースというものを探ろうとしているだけなのです。

 

 

 

 

 

「自立の課題」

 

 

 

 

 

ひきこもりとは、ある意味では自立の課題です。

 

 

 

 

 

当の本人はこのことを知っており、それだけにすぐには動けません。

 

 

 

 

 

なぜなら、ちょっとでも動くと「自立」というテーマが迫ってくるからです。

 

 

 

 

 

親はこのことに気づいていません。

 

 

 

 

 

だから、親はすぐに子どもを動かそうとして、子どもを追いつめ、苦しくしてしまいます。

 

 

 

 

 

親は子どものことがいつも頭の隅から離れず、子どもは親の干渉がわずらわしいという堂々巡りとなり、関係が硬直化し、変化が起きにくくなるのです。

 

 

 

 

 

親離れ、子離れはいつになっても難しいテーマです。

 

 

 

 

 

「今くらいのペースがちょうどいいんだな」といった気持ちで立ち止まり、少し互いの距離を保てるようになるといいのですが、親子が互いにほどよい間合いを保つということは、ひきこもりに限らずそれ自体が困難な作業です。

 

 

 

 

 

視界の隅にはいつも見えていて、でもそれがこちらの視界をすべて覆うことはない、常に意識はしながら、でも振り回されることのない、そんなお互いの関係を続けていく工夫が求められているのです。

 

 

 

 

 

その工夫が続く限り、きっと家族も落ち着いた暮らしができ、本人は本人なりに何かに取り組んでいくことができるようになります。

 

 

 

 

 

本人も親も、互いにちょっとだけ気にしながらも、それぞれ自分なりの生活のペースを保ちながら歩んでいけるようになること、それがひきこもりの最終的なゴールのイメージであると言えるでしょう。

 

 

 

 

 

「家族旅行」

 

 

 

 

 

Aさんは、ひきこもりの息子(26歳)を置いて、他の家族だけで一週間の家族旅行に行くことにしました。

 

 

 

 

 

この5年間、本人のことが気になって、昼夜を分かたずいつも誰かが家にいるようにしてきたAさん一家にとって、本人一人を置いて家を空けることは大英断でした。

 

 

 

 

 

もちろん本人も誘ってみたのですが、やはり行かないという返事です。

 

 

 

 

 

一人で留守番して困らないかと心配を伝えましたが、「べつに」「行けば」と言います。

 

 

 

 

 

結局、父親の「あいつはあいつで、何とかやっていくさ」の一言で、思い切りました。

 

 

 

 

 

旅行途中に何度も電話で安否を確かめたらどうかという話になりましたが、それでは元の木阿弥だからと家族みんなでその気持ちを抑えこみました。

 

 

 

 

 

そのまま旅行を終えて帰宅してみると、どうやら何とか無事のようです。

 

 

 

 

 

それどころか、家の中は前よりきれいに片づいていて大掃除でもしたかのようでした。

 

 

 

 

 

母親が本人に「ありがとう」とお礼を言うと、「べつに」と言うだけでした。

 

 

 

 

 

専門的な観点から評価すると、この事例は混乱期から安定期を経て、今ためらい期に入りかけているところです。

 

 

 

 

 

Aさんの息子さんは、周りから<今はこんなもの>というメッセージをもっと受けるのを待っています。

 

 

 

 

 

そして、自分でも<今はこんなもの>と思えるようになったとき、きっと本人の中にはためらいが始まっていくでしょう。

 

 

 

 

 

でも、すでに援助者としてはこの時点で、楽観的な見通しを感じとっています。

 

 

 

 

 

なぜなら、もうすでにAさん一家は、互いに気にしながら、それぞれのペースを保つというひきこもりのゴールのイメージを取り込み、少しずつそれを実現しているからです。

 

 

 

 

 

変化には時間が必要です。

 

 

 

 

 

変化が始まる前に機が熟するための時も必要ですし、変化が始まってからも変化が定着するまでの時間が必要です。

 

 

 

 

 

しかし、どのようなときにあっても、ゴール(解決)のイメージを感じとり、見失わないようにそれをもち続けさえすれば、必ずいつかそれにふさわしいゴール(解決)が訪れます。

 

 

 

 

 

そして、どのようなときにあっても、それを励まし、支えるのが援助者の真の役割であると言えるでしょう。

 

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援