社会的ひきこもり~世襲と生殖の機能~
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社会的ひきこもり~世襲と生殖の機能~

2018年05月28日(月)12:05 AM

この半世紀の間に目まぐるしく生じた社会変動以前の社会では、多くの親は自分が手にした知識・技術や生活を維持した能力を、その仕事とともに子どもに継がせることを願い、子どもは親から血とともにその力を得ていると感じることができました。

 

 

 

 

 

そして、子どもが大人としての自己像を描くとき、それを自信の基とすることができていたはずです。

 

 

 

 

 

それが、たとえ世襲でなくても、親方から直接手ほどきを受け、跡を継ぐ者として承認されたいという強い感情を伴っていれば、その体験が自分の財産となり、自分を肯定的な存在として感じることに役立てることができたと思われます。

 

 

 

 

 

これが伝承ということです。

 

 

 

 

 

それは仕事に限らず、現代でも親が自分の「生き方」に肯定感を持ち、日常の接触を通じてその生き方を自分の血とともに子どもに継がせたいと願うならば、子どもは種の継承者として自己の存在感の形成に役立てることができるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

また徒弟制度の下で伝承されるものには、多くの場合、知識や技術等のノウハウだけではなく、生き方の哲学が含まれていたように思います。

 

 

 

 

 

一方、思春期危機に悩む子どもたちの事例でしばしば見られるのは、これとは正反対に、親が自分の成し得なかったことを子どもに期待したり、あるいは夫に失望した妻が階層的な地位の向上を息子に期待する場合です。

 

 

 

 

 

このような関係で子どもが親から継がされるものは、一種の空手形のように実のないものと言ってよいのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

私たちの心の中には、時代の潮流の中で知らず知らずのうちに支配されてきている心理があり、これを正しく自覚して子どもたちとの間に新しい実質的な絆をつくり出すことが、「社会的ひきこもり」をはじめ思春期危機につまずく多くの子どもたちの願いであると考えています。

 

 

 

 

 

そして、子どもたちは、親との絆を命綱として社会に出ることを試み、一方親たちは、この絆を頼りに自分がこの世に足跡を残し得たことを実感しながら、子どもたちを手放した後の老いの孤独を迎える準備を整えることができるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

これが「ひと」という種が、何千年かの歳月をかけて作り上げた「生殖」の姿であるというのが、E・H・エリクソン(アメリカの有名な精神分析学者)の自我同一性理論の私なりの理解です。

 

 



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