不登校と登校拒否の二次的反応
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不登校と登校拒否の二次的反応

2018年05月14日(月)11:02 AM

A君は中学二年生頃から不登校状態になりました。

 

 

 

 

 

ここで不登校という言葉について少し説明しておかなければいけないのですが、不登校という用語を学校に「行かない」「行けない」の両方の意味で用いたいと思います。

 

 

 

 

 

「行かない」というのは自分の意志で行こうとしない場合だし、「行けない」というのは自分の意志にかかわらず行こうにも行けない状態のことです。

 

 

 

 

 

その「行かない」「行けない」両方を含めた状態を「不登校」として表現したいと思います。

 

 

 

 

 

例えば病気になって熱が出たり、あるいは大けがをしたりしますと、その子供の意思に関係なく行こうにも行けずに不登校状態になります。

 

 

 

 

 

それは、学校から見れば欠席状態ということです。

 

 

 

 

 

それから、自分の考えや意思で行こうとしない場合もあります。これもやはり「不登校」ということになります。

 

 

 

 

 

話をA君に戻しますと、A君はもともと学業成績はあまり良くない子であったようですが、とにかく不登校状態になりました。

 

 

 

 

 

体の病気や精神的な病気でも行こうとしても行けなくなることもあるのですが、でもA君の場合は体や精神の病気で行けなくなったのではなく、つまり病気による不登校ではなかったのです。

 

 

 

 

 

するとご両親は、一人っ子のA君の先々が心配で何とか学校に行かせようとしました。

 

 

 

 

 

子供が学校に行けなくなりますと、どこのお宅でもその状態をすんなりと受け入れられなくて、何とか学校に行かせようとするのが一般的です。

 

 

 

 

 

A君の家でも例にもれず、最初は何とか学校に行かせようとして、叱ったり、言って聞かせたりしていわゆる登校刺激をしました。

 

 

 

 

 

両親はいろいろやったのですが、A君はどうしても学校に行くことができません。

 

 

 

 

 

そのうち反抗する、暴れる、という事態が起きてきました。

 

 

 

 

 

このA君のような状態が登校拒否であると考えています。

 

 

 

 

 

そこで、「登校拒否」をどう定義するかというと、登校拒否といわれる状態はかつては学校恐怖症という言葉で呼ばれた状態とほぼ同義的(同じような意味)なものと考えています。

 

 

 

 

 

アメリカでジョンソンという人によって「学校恐怖症」が初めて記載されたわけですが、それによりますと学校恐怖症というのは心や体の病気によった、いわゆる非行や怠学による不登校ではありません。

 

 

 

 

 

また、家族が教育に無関心ではないし、本人も無関心ではないのですが、学校には行かれない状態を指していました。

 

 

 

 

 

その後、いろいろな理由から、「登校拒否」という言いあらわし方に変わりましたが、やはり心の病気でも体の病気でもありません。

 

 

 

 

 

それからもちろん「怠けたい」といって、自分から意図して学校に行こうとしないのでもないという点に変わりはありませんでした。

 

 

 

 

 

自分が意図して行かない場合は従来から「怠学」という言葉で呼ばれていたのですから、それを用いればよいのであえて登校拒否ということはありません。

 

 

 

 

 

もし、心身の病気や怠学による不登校まで、ひっくるめて登校拒否というとどういうものが登校拒否かわからなくなってしまいます。

 

 

 

 

 

だからそういう言い方をしたくないので、当面は心身の病気によるものでも自分の意志で怠けることによるものでもなくて、本人も学校というものに対して大いに関心があるにもかかわらず学校に行けなくなる、そういう状態で起きてくる場合に限って登校拒否といいたいです。

 

 

 

 

 

ところで、この登校拒否という状態は、プラスアルファが加わってできているのです。

 

 

 

 

 

つまり、不登校にプラスアルファがある状態を「登校拒否」と考えたいのです。

 

 

 

 

 

A君の場合、プラスアルファというのはほとんど外に出ることも友達関係を持つこともなく、家の中に閉じこもりがちな生活をしていることと、家族に対する暴力です。

 

 

 

 

 

つまり、登校拒否はただ不登校状態というだけではない、それにいろいろな状態とか症状が加わっている、それを「登校拒否」としたいのです。

 

 

 

 

 

ですから、学校にただ行かないで特にそれ以上何事もないだけの状態ならこれは単に「不登校」でいいと考えています。

 

 

 

 

 

閉じこもりと暴力と身体症状

 

 

 

 

 

登校拒否にはどんなプラスアルファがあるか改めて申しますと、たいていの場合は(全員ではない)自宅に閉じこもります。

 

 

 

 

 

しかも、非常に厳しい閉じこもりが起こることもよくあります。

 

 

 

 

 

私が経験したのでは、自分の部屋に閉じこもって家族と会わない状態が8年続いたというものがありました。

 

 

 

 

 

夜、家族が寝静まると部屋から出てきていたようですが、昼間、家族が起きている時は出てこないので、8年間両親と全く顔を合わすことがなかったのです。

 

 

 

 

 

そのほかにも自室に2年以上もこもってしまい、その間、トイレにさえ出てこようとしなかったという例もあります。

 

 

 

 

 

それから、家族全員を追い出してしまって、自分の家を一軒占領してそこへ閉じこもったまま 5年以上も過ごしたという例もあります。

 

 

 

 

 

これらはみな、やがては家族との関係が変わって外にも出るようになりましたが、このように一時期ですが極端な閉じこもりも起こるのです。

 

 

 

 

 

それから、A君のような家族に対する暴力です。「家庭内暴力」などという言葉で言われていますが、家族に向けられる激しい攻撃、乱暴です。

 

 

 

 

 

そのために、半殺しの目にあわされる両親もいます。

 

 

 

 

 

先ほど家を一軒占領してしまった例も、暴力があったので家族が住んでいられなくなり、その子供を一人置いて皆、家を出てしまったのです。

 

 

 

 

 

家庭内暴力といわれる状態の場合、暴力だけではなくて高価なものを次から次へと要求することもよくあることです。

 

 

 

 

 

真夜中に、今すぐ何かを買ってこいとか、それができなければ 一億円よこせとか言って家族を困らせます。

 

 

 

 

 

そのうえ隣近所に聞えるくらい大きな声で叫ぶものですから、家族もたまらないので言うことにしたがっていろいろやらないわけにはいかなくなります。

 

 

 

 

 

5年間家を占領した例も、高価なものをお母さんに次々とねだりました。

 

 

 

 

 

新しい機種のパソコンが出るたびに買いに行かされて、それに合ったソフトもいろいろ買わせるので、月に何十万円もかかったようでした。

 

 

 

 

 

必ずしも使うとは限らないのですが、高価なものを次々と要求します。

 

 

 

 

 

それに従わないとまた暴れるというようなことを繰り返します。

 

 

 

 

 

そうした生活を5年以上もやったのですから、大変だったに違いないのですが、お母さんはそれに黙々とつき合っていたわけです。

 

 

 

 

 

それから、身体についての訴えをするという例は少なくありません。

 

 

 

 

 

医師に診断してもらっても、どこもなんともありません。こうした訴えはたいてい不登校が始まる前後によくあって、おなかが痛いとか頭が痛いとか言います。

 

 

 

 

 

また、足腰が立たなくなり、歩けなくなってしまう場合もあります。

 

 

 

 

 

2年位寝たきりになってしまって、家族が食事から排泄の世話、その他いろいろな始末もしなくてはならなくなった 中学生の男の子や、4年くらい立って歩けなくなって、家の中では膝をついて歩いていた小学生の女の子もいました。

 

 

 

 

 

その女の子は、病院に入院した時はしゃがんだままで歩いていました。

 

 

 

 

 

神経症

 

 

 

 

 

そのほか、神経症を発症する場合もあります。

 

 

 

 

 

例えば強迫性障害の一つで、不潔恐怖といって手を何回も洗わないと気が済まないというものもあります。

 

 

 

 

 

それから何か一つのことをやるのに必ずしなくてはならないような儀式的な手順があって、手順通りやらないと事が進まない場合もあります。

 

 

 

 

 

ある男の子は DVDに関して強迫的になってしまって、1日中番組を時間ぴったりからぴったり終わるまで入れないと気が済まず、失敗するのが不安で、DVDの機械をたくさん購入して次から次へと録画していました。

 

 

 

 

 

少しでも時間がずれてしまうともう大変で大騒ぎになりました。

 

 

 

 

 

そのように、時間通り完全にきちっといかないと不安で仕方がないのです。

 

 

 

 

 

それから、お風呂に気の済むようにちゃんと入らないと何事も気がすまないという不潔恐怖の人もいました。

 

 

 

 

 

身を清めないと食事が摂れない、身を清めるためにお風呂に入りますが、自分で洗ったのでは手が汚いので家族に体を洗ってもらわなくてはいけません。

 

 

 

 

 

けれど、洗ってくれる家族が手伝うのにまず家族の方が 2度お風呂に入ってすっかり身を清めてからでないとその人のお風呂が手伝えません。

 

 

 

 

 

そのうえお風呂では、毎回体毛を全部剃らなければなりません。

 

 

 

 

 

それから伸びてもいない爪の間をつまようじで肉をはがしてカッターで削るということを毎日やります。

 

 

 

 

 

だから、お風呂に入るだけで 1日かかってしまいます。

 

 

 

 

 

お風呂からやっと出ると、今度は喉を清めないと食事が飲み込めません。そこで、うがいを30分も1時間もあるいはそれ以上やります。

 

 

 

 

 

しまいには喉から血がにじんでくるのですが、そこまでしないと安心できません。

 

 

 

 

 

それからやっと食事というので、食事をとるのが夜中の2時ごろになってしまいます。

 

 

 

 

 

それから寝て夜が明けるとまた食事をするためにその凄い儀式をやらなければなりません。

 

 

 

 

 

不潔恐怖でよくあるのは、テレビのチャンネルのつまみやドアの取っ手など、ほかの家族が触れたものを持つのにティッシュで持たないと気持ちが悪くて駄目だとか、自分の家なのに手袋をしたり、足も何か履いていないと家の中で生活できなくて、家族がさわったら汚いといって大騒ぎになったりします。

 

 

 

 

 

中には、家の中の空気まで汚く感じて家の中にもう一つカプセル状のものを作ってその中に入っていたという子供もいました。

 

 

 

 

 

そのほかにもいろいろな神経症症状が出てきます。

 

 

 

 

 

だから、閉じこもるとか暴れるとかという状態のほかに、一見、体の病気であるような症状やら、神経症的状態が出てくるのです。

 

 

 

 

 

また、昼夜逆転ということもよくおこります。夜昼の生活が逆になって、学校の時間帯である昼間は寝て過ごすのですが、夜には起きてきて何かをやるという状態です。

 

 

 

 

 

二次反応

 

 

 

 

 

これらの症状や状態を二次反応とよんでいます。不登校の結果、その反応として二次的に起きてくる反応だからです。

 

 

 

 

 

まず不登校が起こります。すると、その不登校に対する反応として今述べたような二次的な反応が起こってきます。

 

 

 

 

 

不登校状態になったことに対して、本人自身がまず反応を起こします。

 

 

 

 

 

たいていの場合、学校に行けなくなってしまって大変なことになったと自分でも思います。

 

 

 

 

 

だからどうにかしなくては、という不安が起こってくるのです。

 

 

 

 

 

こうして自分を責め、引け目や負い目を感じたりして落ち込んでいきます。ついには絶望的になって自殺さえ考えたりします。

 

 

 

 

 

ところが本人ばかりでなく、周辺がまた不登校に対して同じように反応するのです。

 

 

 

 

 

家族もそうだし、学校も自分のクラスの子が来ないとなると気になりますから、教師もまた反応します。

 

 

 

 

 

義務教育に従わなくてよいのかとか、このままでは将来の生活が成り立たないのではとか、みんなが普通にしていることができないのは異常なのではないかと考えて騒ぎになります。

 

 

 

 

 

日本の社会というのはみんな学校へ行っているのが当たり前のように思い込んでいる社会ですから、隣近所の人たちも「うちの子は学校へ行けないんですよ」と言うと、「大変ですね。御心配ですね」というような調子で隣近所も問題だといった反応をします。

 

 

 

 

 

このように、その子供の周辺までが反応し、その反応がまた本人に戻っていきますから、本人は自分自身の 不登校状態に対しておびえるとか不安になるばかりか自責の末、自分はだめな人間に違いないと自分で自分を否定し、不安が不安を呼ぶという悪循環が起こります。

 

 

 

 

 

そこでその不安から二次的な反応が起こります。つまり一次的な反応として 不登校が起こると、その不安のためにそれにつづいて二次的にまた反応がおこって、そこでいろいろな症状とか状態が生じてきます。

 

 

 

 

 

不登校というのは、周囲が否定的な反応をする、それが本人の不安を強めるので本人もそれに応じて反応を起こします。

 

 

 

 

 

こうして、不登校に引き続いて本人につくられてくる症状とか状態が引きおこされるのです。

 

 

 

 

 

前述のA君の場合も、学校に行かないということに家族が反応して、登校を督促したりしたものですから、二次的反応としての暴力が起きました。

 

 

 

 

 

困り果てた家族はあるところに相談に行きました。すると、学校に行けない子だから、それを無理に行かせるような督促はしない方がいいだろうという助言を受けたので、家族は「学校へ行け」と言うことはやめたのです。

 

 

 

 

 

でも毎日友達が迎えにきます。これは先生の指示によることもあれば、A君のクラスの子供たちの親切心による自主的行為のこともあったようです。

 

 

 

 

 

とにかく友達が毎日A君を迎えにきます。それが本人にはかなりつらかったようです。

 

 

 

 

 

でもお母さんは、「お前みたいに学校にも行けず、家にいる子供のことをいつまでも忘れないで毎日毎日お友達が迎えに来るのは、本当にありがたいことなんだよ。ありがたく思わなければだめだよ」と言って聞かせていたそうです。

 

 

 

 

 

家族は、「学校へ行け」と登校を催促こそしなかったのですが、本当にA君の気持ちがわかっていて行けと言わなかったわけではなかったのです。

 

 

 

 

 

それで、暴力はやむどころかますますひどくなっていったのです。

 

 

 

 

 

そういう状態で、初めは物を投げるくらいだったのが、3年、4年と経過して17歳になるころには、暴力もどんどんひどくなっていきました。

 

 

 

 

 

「友達は高校に行っているのに俺は高校にも行けない。俺はもう落ちこぼれなんだ。友達もいない。これからどうすればいいんだ」と言って親に迫ります。そして殴る蹴るの乱暴をするのです。

 

 

 

 

 

お母さんはあまりにひどい目にあわされるので、「暴力を受けたら誰だってつらいし痛いのに、この子は人の痛みがわからないのだろうか」と言います。

 

 

 

 

 

手に包帯をしていたから「どうしたんですか?」と聞くと「捻挫しちゃったんです」と言います。

 

 

 

 

 

子供に足を引っ張られたので前にひっくり返り、打ち所が悪くて捻挫したと言っていました。

 

 

 

 

 

でも、捻挫くらいは序の口で、包丁を投げつけられたりするお母さんも珍しくありません。「避けろ!」と言って投げつけます。

 

 

 

 

 

ひらりと体をかわせればいいのですが、避け損なうと大けがをします。それからチーズ切りの刃がギザギザのナイフで足を切られたとか、ガラスの食器を顔面にぶつけられて切れたとか、けとばされてろっ骨を2,3本折ったとかいうお母さんもいました。

 

 

 

 

 

それで子供が怖いしつらいので、家にはいられなくて逃げ出すとか、家庭中が大変なことになります。

 

 

 

 

 

A君のお母さんの場合は、竹の棒で殴られるとか靴で殴られると言っていました。お母さんは痛くてつらくてたまりません。

 

 

 

 

 

それで「三度三度の食事を親に作ってもらっているのに、その親に乱暴してもお前はそれを悪いとは思わないのか」などといろいろとA君を諭すのですが、いっこうに止めようとしてくれないと言っていました。

 

 

 

 

 

ここまで書いてきたように、A君のことを例にして登校拒否と不登校というものを解明してきました。

 

 

 

 

 

要するに、「登校拒否」と「不登校」とを私は別々に考えているのです。「不登校」とは、原因は何でもいいのですが、単に学校に「行けない」「行かない」の総称をいいます。

 

 

 

 

 

それから「登校拒否」とは、体の病気や心の病気や自分から行かないという怠けによるものは除いた不登校状態と、それに対して本人がおびえたり不安になったり悩んだりで起こしてきた反応が加わった状態です。

 

 

 

 

 

それに周りも不登校にこだわって反応を起こしますから、本人の反応ももっとあおられるということになるわけですが、そういうことで起きてくる二次的反応がプラスアルファされた全体を「登校拒否」というように整理して私は考えています。

 

 



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