親子関係と不登校
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親子関係と不登校

2018年05月12日(土)1:00 PM

もうかなり長い間、不登校状態が続いている娘さんを持つお父さんがいました。

 

 

 

 

 

娘さんの不登校の生活にはじめはかなりガックリきていたそうです。

 

 

 

 

 

そのお父さんは、情報処理関係のお仕事をなさっている方で、その娘さんの育児プログラムもまるでコンピューターのソフト作りのように、これをやったら次はああしてこうしてというようにすべての人生計画までをプログラミングしていたのです。

 

 

 

 

 

だからそのお父さんのプログラムにない不登校という事態が起きてしまったので、さあどうしたらいいかと困ってしまいました。

 

 

 

 

 

それで不登校の相談をするために、関東自立就労支援センターに相談に来られました。

 

 

 

 

 

要するにその娘さんの日々のブラブラ、ゴロゴロの怠惰な生活が許せないのです。

 

 

 

 

 

一見ブラブラ、ゴロゴロに見えても、当人にとってはその背景にはすさまじい苦悩と葛藤があります。

 

 

 

 

 

でもそのお父さんからすれば、自分の作った子育てのプログラムにないことをやっているので、目障りで許せないわけです。

 

 

 

 

 

その状態を何とかするのにどうすればいいのか、というお気持ちが最初はあったのです。

 

 

 

 

 

四回ばかり面接に来られたのだけれど、五回目のときにお父さんもいろいろ勉強されたようで、「娘の生活ぶりを目にしたら、自分はムンクの『叫び』の絵を思い出すことにしました」とおっしゃるのです。

 

 

 

 

 

それで私もムンクの『思春期』という絵を思い出して考えたのですが、ムンクの『思春期』は前世紀末に描かれた絵ですが、二十世紀の思春期の子供たちの苦悩をはからずも予言する絵になったのではないだろうかという気もするのです。

 

 

 

 

 

ご覧になられた方もいらっしゃるかも知れませんが、少女の後ろにその姿にふさわしくない黒い影がまるで背後霊のように描かれています。

 

 

 

 

 

お父さんは、『叫び』の絵に表現されている不安こそ娘の姿なのだと、そういうふうに感性でとらえようとされるようになったのです。

 

 

 

 

 

どうすればいいのかとか、それがいいか悪いかとかいう理屈や論理を越えて、娘さんの状態をムンクの絵を通じて感性でとらえようとされるようになりました。

 

 

 

 

 

親と子がそうした関係となる中で、その後も多少反抗的になったり暴力的になるとかあったようですが、だんだん変化してきて穏やかになり、やがては少し表にも出るようになってずいぶん変わってきたとおっしゃっていました。

 

 

 

 

 

そうだろうと思います。つまり、不安に苦悩する人とのつき合いは、感性の問題であって決して理屈で片づけたり”ハウツー”の問題ではないのです。

 

 

 

 

 

私はそのお父さんに最初にお会いしたころに、「人の子育ても猫と暮らすのもあまり変わらない」と言ったら、後でおっしゃっていたことですけれど、はじめは怒りを感じたそうです。

 

 

 

 

 

でも、あとでわかってくださったのですが、猫と暮らしている場合に、猫に理屈を言ったり言葉で建前を言っても猫には通じませんし、馴れもしません。

 

 

 

 

 

要するにこちらが猫に、先ほど言ったようになじむ気持ちがありさえすれば猫は馴れてきます。

 

 

 

 

 

なじんでくれば、不思議なことにどうしてかわからないけれど互いに分かり合えます。

 

 

 

 

 

うちの猫は特にしつけてはいないのですが深いなじみができますと、私たちがもう寝ようとするとその前になると必ず排尿のために外へ行きます。

 

 

 

 

 

特に仕込んだわけでもないのですが、寝る前には必ず自分で行って来てくれます。だから私たちは夜中に起こされなくてすむのです。

 

 

 

 

 

要するに感性のやり取りの中で、私たちの生活に結びつく生き方を猫の方が身につけていくのです。

 

 

 

 

 

家庭での子育てというか、子供が成長するのを援助するというか、子供とつき合うのも、私はそういうところにあると思うのです。

 

 

 

 

 

決して理屈を言ったり、建前をもとにプログラムを作ったりしてしつけることではないと思います。

 

 

 

 

 

だから初めに猫を例えにしてそういうようなことを言ったのですが、その時はあまりわかっていただけませんでした。

 

 

 

 

 

後でそのお父さんは自分でムンクの『叫び』を通じてお子さんの苦悩が見えてきたと言いました。

 

 

 

 

 

最初のうちはいつもそのお子さんのブラブラ、ゴロゴロの生活を見るたびにムンクの『叫び』だ、ムンクの『叫び』だと、心に念じるようにしていたと言っていました。

 

 

 

 

 

そうしているうちにそのお父さんは、お子さんの苦悩が 見えるというか感じるようになったのだと言っていました。

 

 

 

 

 

非常識のすすめ

 

 

 

 

 

そういう意味で私は、この不登校の問題というのは、視野の狭い価値観で決めつけたり、理屈や「常識」で片づけてはいけないし、とにかく周りの大人たちが非常識にならなかったら、この問題は決して解決しないと思うのです。

 

 

 

 

 

病む社会は非常に視野の狭い常識のなかで人間を規定してしまうし、枠づけしようとしていると思います。

 

 

 

 

 

日常的な当たり前のこと、つまり型にはまった「常識」からとにかく一度離れて考えてみることが大切だろうと思います。

 

 

 

 

 

非常識な行動をとるということは、なかなか勇気が要ります。

 

 

 

 

 

私も少しはやってみましたが、苦悩する人と本当に付き合おうと思ったらやっぱり難しいし、苦しいことです。

 

 

 

 

 

病む社会の中で苦悩する子供につき合っていこうと思ったら、社会を病ませている枠の中の自分から一歩出ない限り、その苦悩する子供とはつき合うことなどできはしないのだと思います。

 

 



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