不登校の相談事例~対人不安~
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不登校の相談事例~対人不安~

2018年05月08日(火)1:20 PM

相談事例   対人不安を和らげる担任のかかわり

 

 

 

 

 

小学校6年生のW子さんの場合は、四年生の時のいじめが不登校のきっかけでした。

 

 

 

 

 

その後、精神的に不安定になり、一時期、医師から投薬を受けるほどに緊張や不安が強まってしまいました。

 

 

 

 

 

W子さんは、ガラス細工のような繊細な子供でした。

 

 

 

 

 

小学校5年生の時に、担任の先生が家庭訪問を続けたことが功を奏したようで、W子さんが学校に復帰したいという希望を言いだしたのは、小学校6年生になる春でした。

 

 

 

 

 

「学校に順調に通うことはできないかもしれないが、どうすればよいのでしょうか・・・・・・・」との相談が担任の先生からありました。

 

 

 

 

 

聞けば、人の気配すらも怖がり、学校では担任以外には誰にも会えませんでした。

 

 

 

 

 

そこで、誰にも見られないですむ別室を確保しました。

 

 

 

 

 

そして、最初は担任の空き時間だけ、学校でW子さんとかかわることにしました。

 

 

 

 

 

週に一度の登校でしたが、最初から休むことなくW子さんは別室を訪れました。

 

 

 

 

 

担任は、本人が望まない限り勉強はせず、もっぱらW子さんのしたいこと、例えば絵を描くことや、手遊びや、ちょっとしたゲームをして過ごしました。

 

 

 

 

 

ほどなく、担任がいない時間も、週に半日を過ごせるようになりました。

 

 

 

 

 

担任は女性だったので、私は簡便な動作法を教えました。担任は、機会あるごとに、身体接触を通してW子さんにダイレクトな安心を与えるようにしました。

 

 

 

 

 

その甲斐あってか、担任が時間を作れない曜日以外にも、別室に来るようになりました。

 

 

 

 

 

しかし、W子さんが学校関係者の気配を気にし、安心してその場にいられるような感じにはなかなかなりませんでした。

 

 

 

 

 

また、担任に対しても緊張感がみられ、家庭で見せていたリラックスした顔は見られませんでした。

 

 

 

 

 

W子さんは、毎回、担任と会うたびにお土産を持参してきました。このことにも、その不安や緊張が現れているようでした。

 

 

 

 

 

お土産は、「人に何かを与えないと、嫌われるのではないか」との恐れと不安を表していると私には思われました。

 

 

 

 

 

半年近く経過しても、お土産はなくならず、かえって自作のケーキなどの華美なお土産へとエスカレートしました。

 

 

 

 

 

そこで私は担任と話し合い、別室登校ができなくなる恐れがありますが、新しいステップを、W子さんがお土産なしに担任と会えるように考えました。

 

 

 

 

 

念入りにセリフを打ち合わせし、W子さんと保護者にお土産がない方が、担任の気持ちが楽だということを伝えました。

 

 

 

 

 

案の定、W子さんは別室登校ができない状態に戻ってしまいました。

 

 

 

 

 

私は担任に、それからもW子さんのための時間は、その別室で待機するように助言しました。

 

 

 

 

 

担任はその時間別室で待ち、別の時間に彼女が登校する場合を考えて置き手紙を残しました。

 

 

 

 

 

その置き手紙は、翌週になると、諸連絡と一緒に自宅に届けました。

 

 

 

 

 

その後、結局4カ月ほどはW子さんは現れませんでした。

 

 

 

 

 

年が変わった三学期の後半になってから、W子さんは再び別室に現れました。

 

 

 

 

 

そして、あたかも4ヶ月の空白がなかったかのように、前回の遊びの続きを楽しみました。

 

 

 

 

 

遊びの内容は変わりませんでしたが、担任の印象では、「肩の力がすっと抜けたようだ」とのことでした。

 

 

 

 

 

そして、3月末になってようやく他の教師と会うことができました。

 

 

 

 

 

仲間の卒業式は遠くから眺め、放課後に級友がいない教室で他の教職員たちといっしょにW子さんだけの卒業式が行われました。

 

 

 

 

 

W子さんは自分のことをいじめた仲間の進学する学校ではなく、別の中学校へ進みました。

 

 

 

 

 

進学先の中学校では、幸いなことに友人ができ、何事もなかったかのように学校生活を楽しめるようになりました。

 

 

 

 

W子さんの場合、いじめられた体験がありました。

 

 

 

 

 

そのために、対人不安や緊張がとても強く、それを和らげることを主眼としたかかわりを行いました。

 

 

 

 

 

学校はいじめを受けた環境だけに、別室登校とはいえ、W子さんが簡単に安心できる環境ではありませんでした。

 

 

 

 

 

そのために、担任以外の学校関係者と会うことを、頑なに拒んだのです。

 

 

 

 

 

そこで、だんだん学校に近づく過程の中で、「人と出会っても大丈夫」という体験を重ねることを主眼としました。

 

 

 

 

 

しかし、別室登校を続けても、W子さんの人への警戒心はあまり和らぎませんでした。

 

 

 

 

 

それが、W子さんの担任にお土産を渡すという行為に表れています。

 

 

 

 

 

これは、「自分を責めないでね」というメッセージのようでした。

 

 

 

 

 

当然、担任の先生は最初に軽く断っています。ただ、関係が進めば、お土産は影を潜めるだろうと期待し、お土産を禁止しないまま半年が過ぎたのです。

 

 

 

 

 

しかし、お土産がどんどんエスカレートするので、次のステップをお土産なしで会うことにおき、お土産の持参を断りました。

 

 

 

 

 

このときに大切にしたのは、「お土産の有無ではなく、無条件に本人と向き合う人が学校にいる」ことでした。

 

 

 

 

 

そのことを示すために、担任は空き時間を現れない本人のために使い、置き手紙を書き続けました。

 

 

 

 

 

このステップを越えたことが、本人の対人緊張を和らげるために大きな働きをしました。

 

 

 

 

 

遠くから仲間を眺め、他の教職員と教室に入っての卒業式というステップを経て、中学入学と順調な登校へとその後の展開は劇的なものになっていったのです。

 

 

 

 

 

不登校の子供を再登校に導こうとするときに大事にしたいことがあります。

 

 

 

 

 

それは、「無理をさせない」ことです。子供が先走りたがるのをストップさせるくらいがちょうどよいくらいです。

 

 

 

 

 

順調な場合でも、「急がなくてよい」「自分のペースで」「無理をしないで」と、少しだけ後ろに引っ張るのがほどよい関わり方です。

 

 

 

 

 

また、W子さんの事例で紹介したように、だんだん目標に近づきながら、ある時点から先に進まずに停滞してしまうこともよくあります。

 

 

 

 

 

このとき、周囲の関わる人たちが、「教室に入れれば成功で、先に進まないことは失敗である」かのように考えるのは慎みたいところです。

 

 

 

 

 

一度家庭まで後退し、そこからだんだん目標に近づいているような事例ならば、なおさら現状を打破したい気持ちが子供の中にあります。

 

 

 

 

 

そこから先に一歩進むためのコーピング・スキル(ストレスに対処する力)の何かが不足しているので、そこで停滞せざるをえないのです。

 

 

 

 

 

そこで一番苦しいのは周囲ではなく、子供自身なのです。

 

 

 

 

 

このような場合、「先に進もう」と促すのは得策ではありません。

 

 

 

 

 

「そのままでいいから、そこに留まっていよう・・・・・・」「君は十分にがんばっている。それでいい」と現状を強く肯定しましょう。

 

 

 

 

 

そして、その段階に留まって、その子に必要なコーピング・スキルを探し、それを育むようにするのです。

 

 

 

 

 

停滞している場が教室の近くであれば、教師など学校側が関われるチャンスも増えます。

 

 

 

 

 

W子さんのケースのように、その関わりの中でコーピング・スキルを育めるのです。

 

 

 

 

 

これは得がたい機会であると考えたいものです。

 

 



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