学校のことはすべて忘れてしまった小学生
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学校のことはすべて忘れてしまった小学生

2018年05月03日(木)12:09 AM

解離性健忘と幼児返り

 

 

 

 

 

相談事例

 

 

 

 

 

関西に住んでいるS君は3人姉弟の末っ子で小学6年生です。

 

 

 

 

 

中学受験を目指していたS君は、6年生の12月に漢字も算数も学校の勉強に関することはすべて忘れてしまいました。

 

 

 

 

 

S君が友達から「少しおかしいのでは?」と言われ始めたのは、6年生の7月ごろからです。

 

 

 

 

 

それは、誰もいないのに「誰か、たたいた?」と友達に聞いたり、「あっ、かわいい子が通るわ!」と言ったりしたためです。

 

 

 

 

 

9月中ごろ、学校の授業中、突然泣き出し保健室に連れて行かれましたが、本人が気づいた時、なぜ自分が保健室にいるのかこの間の記憶がまったくありませんでした。

 

 

 

 

 

帰宅後も「怖い、怖い」と言って「お母さん僕のそばにいて!」と母親に頼んだというエピソードがあります。

 

 

 

 

 

10月末ごろから、急に地団駄を踏んで、「頭が痛い、頭が痛い」と訴えた後、幼児返りをときどきするようになりました。

 

 

 

 

 

母親から見ると、3歳くらいの幼児のような言動だったそうです。

 

 

 

 

 

そして、しきりにお母さんのおっぱいを触りにきたようです。その状態が1週間も続いたこともありました。

 

 

 

 

 

もとに戻ったときには自分の書いた絵を指して、「誰?こんなへたな絵書いたの!」と聞くなど、この間の記憶はまったくないようでした。

 

 

 

 

 

病院を受診したときも玄関を入るところで幼児返り、診察のときには名前も年齢も言えなかったようです。

 

 

 

 

 

12月初め、幼児返りの後、「頭が痛い、顔を洗ってくる」と言い「ああ、さっぱりした」と帰ってきてからは普通になりました。

 

 

 

 

 

しかし、漢字や算数など学校の勉強に関することはすべて忘れてしまい、「小学校1年生くらいのことしかわからない」と本人は言います。

 

 

 

 

 

このケースは精神的な病気かと思われるかもしれません。

 

 

 

 

 

特に、「怖い、怖い」という訴えは一応病気も念頭におかないといけないような訴えです。

 

 

 

 

 

病院では、S君は解離性健忘と診断されました。

 

 

 

 

 

幼児返り(赤ちゃん返り)は、親子の絆を再構築するチャンス

 

 

 

 

 

某新聞に里親探しの欄があります。

 

 

 

 

 

その里親探しの運動を主宰している方のお話では、子供が里親に引き取られた後、ほとんどの子供が幼児返り(赤ちゃん返り)をするそうです。

 

 

 

 

 

0歳からもう一度子育てをしてもらい、自分がほんとうに里親に受け入れられていることを確認してはじめて、ほんとうの親子になれると言われています。

 

 

 

 

 

そして、幼児返り(赤ちゃん返り)で困っている里親さんに、”今が大切なんだよ”と励ましています。

 

 

 

 

 

この話は、幼児返り(赤ちゃん返り)の意味をよく語っていると思います。

 

 

 

 

 

S君は、幼児返りを何回か繰り返しました。

 

 

 

 

 

S君の幼児返りは劇的でしたが、これほど劇的ではないにしても、不登校になった子供はほとんど幼児返りを示します。

 

 

 

 

 

S君は3歳ごろまでに戻りましたが、赤ちゃんの時期にまで戻り、ハイハイをし、哺乳ビンからチュウチュウとおっぱいを飲む中学生もいます。

 

 

 

 

 

幼児返りや赤ちゃん返りは、精神的危機の表現です。

 

 

 

 

 

”大きいなりして、何してるの”と突き放すのではなく、親も子供があたかもその時期であるように考えて、やさしく受けとめてあげることが大切です。

 

 

 

 

 

赤ちゃん返り・幼児返りこそ、親子の絆を再構築するチャンスなのです。

 

 

 

 

 

心の発達の積み残しを思春期に取り返そうとする

 

 

 

 

 

S君は2月以来ガラッと雰囲気が変わり、自己主張をするようになったそうです。

 

 

 

 

 

お母さんは私に、「子供が離れていくことはさみしいですね」としみじみとおっしゃいました。

 

 

 

 

 

今までは、お風呂にひとりで入ったこともなかったし、寝るときもひっついて寝ていました。

 

 

 

 

 

三度さんどきっちりと母親がやってしまってきました。

 

 

 

 

 

塾から帰ってくると膝の上に抱いて話を聞かないと母親の気がすまなかったようです。

 

 

 

 

 

S君は、母親のことを”きびしい人”と感じているようです。

 

 

 

 

 

母親に”あなたはいい子だから”とか”親思いの子ね”と言われ、そのように振る舞ってきました。

 

 

 

 

 

けれども、それがS君にとってはすごいプレッシャーでした。

 

 

 

 

 

勉強でも母親が自慢するので、近所の人たちに”S君はかしこい子だから、いい中学校に入ってね”と言われたりして重荷になったと本人は言います。

 

 

 

 

 

思春期での心の問題は、すべて思春期の心の発達課題「自我同一性の確立」をめぐる問題と考えて間違いないと思います。

 

 

 

 

 

S君は前述のような理由のために、心の発達が不十分であったため、解離性健忘という症状を出し、母親からの独立を勝ち取りました。

 

 

 

 

 

このように、思春期にはいろいろと心の問題を起こすことによって、子どもたちは今まで置き去りにされた心の発達課題を獲得していくのです。

 

 



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