ひきこもりと混同 される病気~うつ病と統合失調症~
ホーム > ひきこもりと混同 される病気~うつ病と統合失調症~

ひきこもりと混同 される病気~うつ病と統合失調症~

2018年04月16日(月)9:44 AM

1、うつ病

 

 

 

 

 

うつ病は、2020年にはQOL(生活の質)損失の大きな要因になることが推測されており、うつ病の克服は世界的な急務となっています。

 

 

 

 

 

うつ病によるひきこもり状態と、私が想定するひきこもりとの 鑑別はそれほど難しくはありません。

 

 

 

 

 

A君は、厳格な家庭の二人兄弟の長男として素直に育ち、一流国立大学を卒業し、出版社に勤務するようになりました。

 

 

 

 

 

勤め始めて約半年後、出社するときに突然気分が悪くなり、その日は会社を休みました。

 

 

 

 

 

自分でも毎日仕事のことで頭がいっぱいで眠れなかったり、休日も体が重くて動けなかったりと疲れは自覚していましたが、みんな同じだろうと考え、無理して出社していました。

 

 

 

 

 

会社を休んだ翌日からも体が鉛のように重く、不安、食欲不振、人に会いたくないなどのため、少し休みをもらって親元に帰りました。

 

 

 

 

 

実家でも憂うつ感、自責感、考えがまとまらない、無気力、倦怠感などがあって、それ以後、結局会社には復帰できず自宅で療養していました。

 

 

 

 

 

3カ月経っても一向に症状が改善されないため、親に連れられて地元のクリニックを受診しました。

 

 

 

 

 

受診時、抑うつ気分、悲哀感、意欲低下を認め、仕事と対人関係のストレスでうつ状態になって、体が動かなくなり、そのために家から出られなくなったと自分で自覚していました。

 

 

 

 

 

その後、定期的に通院して薬を飲むようになってからは順調に回復しており、今後は医療関係の職業に就きたいと話し、作業療法士養成の専門学校へ入学する準備を整えています。

 

 

 

 

 

A君の場合は、うつ病に伴う意欲低下、全身倦怠感のためにひきこもり状態を呈していました。

 

 

 

 

 

ひきこもってはいましたが、この状態は、うつによるものであるとA君自身も両親も考えていました。

 

 

 

 

 

ひきこもりと、うつによるひきこもり状態との違いは、自分自身がひきこもっている原因を自覚しているか、少なくとも思い当たるふしがあるかということが鑑別の目安になると考えられます。

 

 

 

 

 

ひきこもりの人はどうして自分がひきこもって外の世界に出られないのか、自分自身でも理解できない傾向があります。

 

 

 

 

 

2、統合失調症

 

 

 

 

 

W子さんは24歳の女性です。

 

 

 

 

 

父親はエリートサラリーマンで母親は専業主婦です。二人姉妹で3歳年下の妹がいます。

 

 

 

 

 

短大を卒業するまで、特にクラスで目立つ存在ではなく、どちらかといえばおとなしい感じであったといいます。

 

 

 

 

 

短大を卒業してから、事務機器の会社に事務員として勤務することになり、そこでも地味で控えめな女性との印象が同僚にはありました。

 

 

 

 

 

勤めて2年ほど経ったとき、自宅で家族と食事をしているときに、「私は会社でみんなから悪口を言われている、みんなに嫌われていてもう会社には行けない」と話しはじめました。

 

 

 

 

 

その時は、家族に「あまり気にしないように」と説得されて、翌日からもいつも通り出勤しました。

 

 

 

 

 

しかし、その1週間後に、「会社にいる間中、ずっと悪口を言われ続けている。もうこれ以上耐えられない」と叫びだし、その晩は一睡もせず、ひたすら恐怖感を訴えました。

 

 

 

 

 

それ以降は会社には行けず、結局退社しました。

 

 

 

 

 

自宅にひきこもって、ぶつぶつと独り言を話したり、「会社の人が私の責任をとりに来る」「私を責める声が聞こえる」などの訴えが続き、家族が心配して近所のクリニックを受診しました。

 

 

 

 

 

「家族としては、W子はいつもおかしなことを話しているわけではないし、ご飯も普通に食べるし、夜も普通に寝ている。会社での人間関係に疲れてしまって、このような状態になったのではないか、W子はひきこもりではないのか」というものでした。

 

 

 

 

 

私が考えている(狭義の)ひきこもりにも、長期にわたってひきこもっているがゆえに周囲に対して被害的となったり、社会と隔絶していて、現実とはかけ離れた考え方をする人はたくさんいます。

 

 

 

 

 

しかし、その思考は私には彼らの状況からある程度は理解可能なものがほとんどです。

 

 

 

 

 

一方、W子さんの妄想は、彼女のおかれていた状況からは到底理解しがたいと私には思えました。

 

 

 

 

 

W子さんは通院しているクリニックで、妄想型統合失調症と診断されて治療を本格的に受け始めました。

 

 

 

 

 

治療を受け始めてから約2年経ちますが、彼女は現在クリニックのデイケアに参加し、安定した状態を維持しており、ひきこもりの状態はまったく見られません。

 

 

 

 

 

統合失調症の症状として、「ひきこもり」が出現することは、しばしばみられます。

 

 

 

 

 

これは、統合失調症の「自閉」と呼ばれる一症状のこともあるし、妄想に支配されて外出が不可能になっていることもあります。

 

 

 

 

 

しかし、ひきこもりとの区別は、その症状が私たちの感覚で理解できる範囲にあるかどうかという点にあります。

 

 

 

 

 

また、私の経験からひきこもりの人はひきこもっているときに、意外なほど身なりはきちんとしているという点があります。

 

 

 

 

 

統合失調症の人はひきこもり状態の時には身辺がだらしなくなり、自室は散らかり、まずお風呂に毎日入る人はほとんどいません。

 

 

 

 

 

それに対してひきこもりの人は、個人差はありますが、ひきこもっていても毎日お風呂に入ったりシャワーを浴びたりしますし、自室も片づいていることが多く(そうでない人もいます)、歯磨き、洗面も毎日行う人が珍しくありません。

 

 

 

 

 

統合失調症は、全人口の1.6 パーセントの有病率といわれています。

 

 

 

 

 

うつ病よりも有病率は低いのですが、その難治性から早期治療が大切な疾患です。

 

 

 

 

 

そして、ひきこもりとの鑑別が最も難しく、その一方、鑑別が非常に重要な意味をもっています。

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援