子育てと暴力の連鎖
ホーム > 子育てと暴力の連鎖

子育てと暴力の連鎖

2018年04月07日(土)10:15 AM

ある子育て中のお母さん、A子さんの話です。

 

 

 

 

 

A子さんは一人娘に暴力をふるうことがあります。話を聞くと、A子さん自身も育つ過程で母親の暴力に傷ついていました。

 

 

 

 

 

母親は気性が激しく気分屋で、A子さんはよく他の兄妹と比較され、いかに自分は出来の悪い子であるかを教えられたといいます。

 

 

 

 

 

父親はおとなしい人で、彼女をかばってはくれませんでした。

 

 

 

 

 

そんな両親から、高校卒業と同時に独立したA子さんは、結婚をし、子供も生まれました。

 

 

 

 

 

ところが、子供が一歳を過ぎるころから精神的に不安定になり、子供に暴力をふるうようになりました。

 

 

 

 

 

いけないとわかっていながら、自分を止めることができません。

 

 

 

 

 

それほど激しい暴力ではないので、このぐらいどこの親でもやっていると言い訳をすることもあります。

 

 

 

 

 

A子さんは自分の暴力が、自分が受けてきた暴力と関係があると考えていました。

 

 

 

 

 

娘に対する暴力を終わりにするためにも、母親に対して自分がどんなにつらい思いをしてきたかを伝えたいと言いました。

 

 

 

 

 

「母は自分が私に何をしてきたかわかっていないんです」A子さんはそう言います。

 

 

 

 

 

「あなたのつらかった思いをお母さんに伝えて、あなたは何を得たいの?」と質問すると、A子さんは「謝ってもらいたい。自分のやったことをしっかり認識してほしい。

 

 

 

 

 

私の苦しみの根源があの人にあることをわかってほしい。あの人に変わってほしい」と言います。

 

 

 

 

 

「もし、お母さんにその思いを伝えたら何が起きるかな?」と聞くと、しばらく考え、「理解しないかもしれない。反対に傷ついて私の被害者になるかもしれない。あんなに一生懸命育てたのにって・・・・・・」。

 

 

 

 

 

しばらくしてから、A子さんはお団子を持って母親を訪ねました。

 

 

 

 

 

目的は母親とゆっくりお茶を飲むことでした。帰ってきた彼女は言いました。

 

 

 

 

 

「きっと母は変わらないでしょうね」

 

 

 

 

 

夢中になって旅行の写真を見せる母親は、まるで子供のようだったとA子さんは言います。

 

 

 

 

 

「あの人は無知なだけだったんですね。自分の暴力や一言一言の言葉が娘にどんな影響を与えていたかなんて、考えもしなかったんでしょう」

 

 

 

 

 

A子さんは母親を変える代わりに、自分を変えることを選びました。

 

 

 

 

 

今の自分を母親のせいにするのをやめて、もっと幸せになると決心したのです。

 

 

 

 

 

そのために彼女が決めたことの一つは、母親に近づくことでした。

 

 

 

 

 

親からの自立

 

 

 

 

 

親の無知によって親から傷つけられてきた子供は、親のぬくもりを求めながらも、なるべく親と距離をおく努力をしてきています。

 

 

 

 

 

A子さんもそうでした。高校を卒業すると、親から逃げるために家から通えないところに就職したといいます。

 

 

 

 

 

小さいころから母親と親密な関係にあったのは、彼女の妹でした。

 

 

 

 

 

母親は妹をかわいがり、A子さんは妹が愛情のすべてを独占していると感じていたようです。

 

 

 

 

 

母親とは距離をおいて生きてきたので、母親が本当はどんな人か、彼女がどんな人生を生きてきたかをあまり知らないとA子さんは言います。

 

 

 

 

 

A子さんはどんなに困ったことがあっても、絶対に母親にだけは相談しないと決めて生きてきました。

 

 

 

 

 

そんな彼女が今取り組んでいるのは、一~二ヶ月に一回は、二時間かけて実家にいる母親に会いに行くことです。

 

 

 

 

 

母親のことをもっとよく知るために、A子さんは母親の好物のお団子を持って会いに行きます。

 

 

 

 

 

A子さんが母親と本当に率直なコミュニケーションをとるということは、昔、母親がA子さんに対して何をしたか、何をしなかったかということを一つ一つ教えていくことではありません。

 

 

 

 

 

それについて話し合うことでもありません。

 

 

 

 

 

大切なのは今という時に、自分の気持ちを正直に話すことです。

 

 

 

 

 

それは子供のときにはできなかったことです。

 

 

 

 

 

でも、今のA子さんにはその冒険が必要なのです。

 

 

 

 

 

母親の言葉に誠意を持って耳を傾け、自分を正直に語り、母親の言葉に率直に異議を唱えます。

 

 

 

 

 

母親は、これまでと違うA子さんの様子に戸惑うかもしれません。腹を立てるかもしれません。

 

 

 

 

 

でも、A子さんの目的は母親を変えることではありません。過去を変えることでもありません。

 

 

 

 

 

母親との付き合い方を変え、母親から受けた言葉の暴力の結果を変えることにあるのです。

 

 

 

 

 

母親は、A子さんの気持ちを知ってか知らずか、これまで以上に訪ねてくれたA子さんに対して、喜びを隠さないそうです。

 

 

 

 

 

そのくせ、言葉の暴力も変わらないようです。

 

 

 

 

 

「子供のころに、このぐらい私の存在を喜んでくれていたら・・・・・」でも、A子さんと母親の関係は今始まりました。

 

 

 

 

 

そして、A子さん自身も、娘との関係を変えています。

 

 

 

 

 

娘に暴力をふるいそうになると、その前に気づき、自分をコントロールできるようになってきたと言います。

 

 

 

 

 

A子さんのように、自分と子供の関係がうまくいかないことや、自分が自分を愛せないことを親から受けた影響のせいにし、親を責める人がいます。

 

 

 

 

 

確かに、親の影響は大きいと思います。

 

 

 

 

 

でも、過去は変えられないのです。

 

 

 

 

 

過去に戻って何をしてくれなかったかを言ったところで何も起こりません。

 

 

 

 

 

それでも、どうしても伝えたいという人がいます。そんな人には私は質問をします。

 

 

 

 

 

「あなたはどうしてほしかったの?」

 

 

 

 

 

最後に出てくる言葉は、「かわいいって言ってほしかった。好かれていることを知りたかった。愛されたかった」。

 

 

 

 

 

親は、彼らの知ってる方法で子供を育てたのです。

 

 

 

 

 

それは子供を幸せにはしませんでした。

 

 

 

 

 

でも、彼らは、それ以外の方法は知らなかったのです。

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援