ひきこもりの病理性
ひきこもりになると日常生活の中で、外出の機会がほとんどなくなり、家の中で時間的な区切りがない生活を送ります。
家族にかろうじて会えたり会えなかったりで、電話にもほとんど出ません。
昼夜逆転といわれる生活を送るひきこもりの人は多くいます。
部屋の中で何をしているのかわからないという場合も多く、家族は心配します。
数カ月間、あるいは数年間誰とも口をきかないとか、食事もいつ摂っているのかわからないという状態が続く場合もあります。
そんな時、家族はひきこもっている部屋からテレビの音声や音楽が聞えてきただけでも安心します。
トイレに出てきたとき、偶然にすれ違い、そのときチラッとかいま見た顔色があまりにも白く、「病気ではないか」と心配する親もいます。
ガリガリに痩せた姿や、反対にぶくぶく太った姿を見て心配する家族もいます。
突然に本人の姿を見た家族は何も話ができずに、ただすれ違うだけということもよくあります。
仮に、言葉のやりとりができる人でも、まとまった話ができなくなる場合が多く、家族を心配させます。
話をしてる途中で、「もういいや」といった具合に、話を中断したり、途中から話の内容が別の方向にいったりします。
時間に区切りがつけられない生活や、狭い空間にいて単純反復刺激だけの生活に明け暮れていたら、現実検討機能は著しく低下してきます。
ほとんどの人たちは対人関係とは無関係なパソコン、テレビ、ゲーム、マンガなどに没頭しています。
ゴキブリを部屋の中で発見しただけで、大きな悲鳴をあげて自分の部屋から飛び出して来て、その部屋に戻ることができなくなった人もいます。
言い訳として両手をひろげ、「部屋に怪獣のようなこんなに大きな虫がいた」と言い張ります。
本当はあり得ないのですが、その人にはそのように見えてしまうのです。
ゴキブリに限らず、ネズミ、アリ、蛾、ヤモリなどさまざまなものが怪獣とされてしまいます。
異形に対する警戒心は特別強いものがあります。
「誰かが窓の外からいつも自分の部屋を見ているような気がする」「家の前を通りかかった人が、いつも自分のことを噂してるような気がする」「物音がしたから外を見たら、隣のおばさんがいつもこちらを見ていた」など、家族の側は「もしかしたら病気かもしれない」と疑う場合もあります。
それらの環境や関係から起こる反応の数々は、病気のような状態に見えます。
床をドスンとけったり、部屋の壁をドンドンたたいたり、部屋の中を本や新聞などで散乱させたりする姿は病気を疑わせます。
以下に、ひきこもり状態に陥っている人たちが示す反応で、気になるものを取り上げます。
解離とひきこもり
実際に起こっている出来事の現実感を感じられない状態や、その出来事が自分の意識に上がってこない状態を解離といいます。
これは、心的外傷後のストレス反応として起こります。
重要なことでも、そのときに起こったことについては心に構成せずに、回避して嫌な気分を心に残したままになっている場合に解離的な反応は起こりやすくなります。
心に構成するということは、自分の体験を心の体験として自分の心の機能のなかに取り入れて、自分の心として働かせることができるようになることです。
相手の主張の一部分に気になることがあると、全体を検討することができず、気になる部分だけを心に残してしまうのです。
そのために嫌な気分を経験した子供たちの多くは、本人にとって重要な日常的な経験の範囲を、十分な検討なしで狭めてしまいます。
このような状態を解離と類似に見る人たちもいます。
事実、ひきこもりの人たちの多くは解離的状態に悩みます。
過去の記憶で嫌な気分を経験してきた人たちの生活範囲や経験の範囲は、本人の狭い感受性の中に制限されて表面化します。
しかし、本人には自分がなぜそのように反応しているのか自覚できません。まさに解離的です。
つじつまの合う理由が不鮮明で、本人は周囲からの反応で自分の言動に危惧だけを抱きます。
ひきこもりのすべての人が、解離的になるわけではありません。
一般的に言わせていただければ、性成長とひきこもりと解離の関係は切り離せないくらい密接につながっているということです。
私がひきこもりの人たちと話をすることができるようになって最初に感じたのは、彼らにはモヤモヤ感、スッキリしない感覚、浮遊感があるということです。
ひきこもりの人たちとの面接は、「そんなに調子よくカウンセリングは進まない」ことを何回も体験してきました。
ひきこもりと解離的な状態との関係は複雑ですが、対象関係や対人関係で回復可能です。
もともと対象関係や対人関係から生じたことだから当然です。
ひきこもっていた人たちに、親の会などで体験談を話してもらうと、「あの頃のことはほとんど覚えていません」という場合が多く、「まるでモヤののなかにいたような気分です」と言います。
あるいは、「自分が自分ではなく、自分の中にもう一人別の人がいるような気分でした」とも言います。
「何か特別な役割を演じているような気がして、自分が本心で行っているような気がしませんでした」と言う人もいます。
これらの発言は、当時解離的だったことを物語っているのです。
しかし、解離性人格障害ほどひどい反応は見られません。
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