不登校と病理性
ホーム > 不登校と病理性

不登校と病理性

2018年03月22日(木)4:50 PM

ここでは病気や非行や怠けを除く長期欠席の子供たちのうち、登校したくてもできない、あるいはできにくい状態を不登校と呼ぶことにします。

 

 

 

 

 

表現の問題で異存のある方もいるかもしれませんが、一応そのように区別します。

 

 

 

 

 

対人関係が途絶え、孤立し、日常生活が不安定になり、睡眠相が後退します。

 

 

 

 

 

それまでできていたこともできなくなります。無気力な状態になり、自発性はほとんど見られなくなります。

 

 

 

 

 

子供は自分にとって大切な社会(友達社会や学校社会)には参加できにくくなります。

 

 

 

 

 

母親への依存が強くなり、父親を回避します。

 

 

 

 

 

教師やクラスメートをも回避する場合が多く、問題解決に取り組もうとする人を避けます。

 

 

 

 

 

これらの現象を見て心の病気ではないかと疑う人も現れます。

 

 

 

 

 

そこで、以下に神経症や精神障害と不登校の違いや類似性について述べます。

 

 

 

 

 

日常生活において~うつ的な状態・消極的な生活

 

 

 

 

 

不登校の子供の場合、日常生活において「明日は登校するつもりでいる日の夜は眠れない」「登校するべき日の朝は起きられない」「朝、登校するための支度には手間取る」「登校準備中に腹痛や頭痛に襲われる」という現象がしばしば起こります。

 

 

 

 

 

しばらくの間はぐずぐずしているだけで周囲の人々に助けを求めることはしません。

 

 

 

 

 

身体反応などに関する感情を明確に言語表現することはまれです。全体的な様子が「うつ的」に見えます。

 

 

 

 

 

「うつ」という視点で子供の様子を見ると納得できる現象が多いために、「うつ病ではないか」と疑問を抱く家族も中にはいます。

 

 

 

 

 

何しろ「いつも気分がすぐれない」状態を訴えることが多いし、「たまに気分がよいと、やりたいことをとことんやっている」状態もあるので、あるいは気分障害ではないかと疑うわけです。

 

 

 

 

 

「何をやってもむなしい」「時々いらいらする」「焦る」「いつもうとうとと眠たい」「食欲がない」「体重が極端に減少した」「なにもやりたくない」「集中力がなくなった」「決断力がなくなった」「考えているうちにまとまりがつかなくなる」「疲れる」「緊張する」「死にたい」「死ぬのは怖い」といった表現は、「うつ」の人々にもしばしば見られます。

 

 

 

 

 

しかし、不登校の子供たちは、このような状態の二つか三つくらいを一時期同時に訴える程度です。

 

 

 

 

 

全期間の流れの中ではこれらの状態を次々に訴えるかもしれませんが、せいぜい多くても同時に三~四つ程度です。

 

 

 

 

 

「うつ」の人たちは、たいがい同時に五つ以上の訴えをほとんど毎回しています。

 

 

 

 

 

不登校の症状も似てはいますが、うつ病としての治療をしてもうまく解決しない場合が多いようです。

 

 

 

 

 

不登校そのものはうつ的ではあっても、うつそのものではないということでしょう。

 

 

 

 

 

対人不安の強い対人関係

 

 

 

 

 

不登校の子供たちの特徴の一つは「対人不安」が強いことです。

 

 

 

 

 

対人不安の関連性で社会不安もあります。多数の同年齢の子供たちがいる学校での対人関係が苦手です。

 

 

 

 

 

学校というフォーマルな社会そのものに対しても不安や緊張を感じています。

 

 

 

 

 

特にクラス替えがあったり、担任が変わった直後や進級した後などにその不安緊張は高まります。

 

 

 

 

 

十分に知らない人たちの前では、相手からどのように自分が注目されるか見当がつかず、不安や恐れをいだきます。

 

 

 

 

 

恥をかくことや恥ずかしい思いをすることに対しての怖れです。

 

 

 

 

 

性成長とともにやがて羞恥心が強くなります。

 

 

 

 

 

それまでの体験から、どちらかというと自己否定感や低い自己評価が先行しています。

 

 

 

 

 

不登校の当初は、学校や同級生の話題などには拒否的で否定的な強い反応を示します。

 

 

 

 

 

本人は自分が表出しているそのような拒否が否定の反応が、通常の範囲を超えているとは思ってもいません。

 

 

 

 

 

自己内部でつくるイメージによる予期不安も強く、同級生や担任などを完全に避け、生活そのものも通常に登校している人たちとは違った時間設定で過ごします。

 

 

 

 

 

そのことで、対人関係が途切れる問題や学業が遅れる不安や苦痛は、一時期ほとんど感じない状態にあります。

 

 

 

 

 

「感じない」というよりは「そのことは考えないようにしている」という方がふさわしいかもしれません。

 

 

 

 

 

そのために、子供自身はあまり焦りません。

 

 

 

 

 

むしろ周囲の親や教師の方が焦ります。

 

 

 

 

 

不登校の子供のこのような状況は、三~六ヶ月くらいで経過していきます。

 

 

 

 

 

やがて自分が親しみを覚える人となら会うことはできるようになります。

 

 

 

 

 

また、そのような人とは依存的に親密になる傾向もあります。

 

 

 

 

 

相互関係ができるようになるまでには、あと数カ月かかります。

 

 

 

 

 

一部の専門家の中には、これらの類似性がある状況から「回避性パーソナリティ障害」や「社会恐怖障害」などと同等に並べてしまう人もいます。

 

 

 

 

 

しかし、不登校の子供たちの場合、いくつかの状況は共通しているものの、同時に四つとか五つの障害の条件を満たすほどではありません。

 

 

 

 

 

母親への依存

 

 

 

 

 

不登校になってからの依存という点では、母親に対してのみ 一時期強く依存する傾向があります。

 

 

 

 

 

外部の人々との対人関係が途絶えてから、母親にまとわりつく傾向が現れます。

 

 

 

 

 

それはいわゆる依存症の人ほどではなく、従属的ばかりでもありません。母親へ世話焼き傾向も現すことがあります。

 

 

 

 

 

母親に対しては全能感をいだき、自分の生活の基本的な部分においても母親への全面依存が目立ちます。

 

 

 

 

 

自己責任は取りにくくなります。自発性は弱く、消極的で何かを決める場合、母親に決めてもらおうとします。

 

 

 

 

 

しかし、母親が決めると反発します。母親には、時間の共有をしてもらいたいだけだと思われます。

 

 

 

 

 

依存症の人のように、母親に嫌われたくないために母親のために何かをやりすぎるようなことはほとんどありません。

 

 

 

 

 

しかし、一人きりになると不安で母親にはずっと身近にいてもらいたいという気持ちはあります。

 

 

 

 

 

母親の外出を嫌います。他者からは孤立していても、母親からは離れられない状況が起きます。

 

 

 

 

 

不登校状態に陥る前に関して言えば、自分が気に入った人に対してのみの付き合いに固執する傾向はあります。

 

 

 

 

 

一方、その人に嫌われないために、その人のためによかれと思うことをやり過ぎる傾向はあります。そして疲れてしまう場合もあります。

 

 

 

 

 

不登校の子供は自分の言動に関して、強い自己責任を感じ、他者に責任をなすりつけることはほとんどありません。

 

 

 

 

 

買い物などで自分が欲しいものがあっても、自分一人で決断して買ってくることができないという場合もあります。

 

 

 

 

 

だからといって人が決めたものを買うかというと、そうでもない場合もあります。

 

 

 

 

 

何を買うにしても、その後の自分の気持ちの変化に自信が持てない状態で、決断しかねているようです。

 

 

 

 

 

不登校の子供は、学校を休み始める前から多少は母親依存的な部分はあるものの、決定的な障害といえるほどではありません。

 

 

 

 

 

それは母親の過干渉の影響も可能性として考えられます。

 

 

 

 

 

周囲の人たちから孤立した結果、母親以外に依存できる対象が発見できずに引き起こされる現象かもしれません。

 

 

 

 

 

対人関係で重圧を感じ苦痛を感じた子供は、母親からの慰めやいやしを強く求めます。

 

 

 

 

 

生活全般に不安を感じるために、常に母親が近くにいる状態を作っているのです。

 

 

 

 

 

母親が心理面で子供の要求を満たすというよりは、生活技術面で満たそうとする結果、子供は外部の人々からは隔離される結果になります。

 

 

 

 

 

不登校状態の子供は、母子という 二者関係なら安定した状態を築くことができます。

 

 

 

 

 

これは一種の幼児退行的な関係です。

 

 

 

 

 

特に父親の男性性とか父性とか社会性を回避する場合もあります。

 

 

 

 

 

家族ではあっても競争社会に参加している活動的な人は回避し、自分の縄張りである家庭において相手をしてくれる人に依存するのです。

 

 

 

 

 

この状態は病気というよりは、子供が住む社会からの圧迫や重圧や抑制により、心身に不安や緊張を感じ、疲労した子供たちの一時的な休養状態、一時的な休戦状態です。

 

 

 

 

 

いわゆる依存性パーソナリティ障害とは区別した方がよいし、病的な幼児退行とは区別した方がよいでしょう。

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援