家庭内暴力を起こす子どもについて
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家庭内暴力を起こす子どもについて

2018年03月15日(木)9:43 PM

不登校・ひきこもりの人々のうち、約60%は、一時期家庭内暴力をふるうと言われています。

 

 

 

 

 

また、登校している思春期前後の子供の約10%は、一時期、親、あるいは年下の同胞にのみ暴力をふるい、親や同胞を命令支配します。

 

 

 

 

 

その暴力には反抗期の反抗以上の激しさがあります。

 

 

 

 

 

社会参加している人々が、家庭内暴力を引きおこす割合についての統計はありません。

 

 

 

 

 

家庭以外の外部に家庭内暴力の状態が知られることはほとんどありません。

 

 

 

 

 

親や家庭が極秘で児童相談所や保健所や精神保健福祉関係や警察関係に電話で相談する場合が多く、実態はなかなか把握できません。

 

 

 

 

 

その暴力は周囲の人が想像する以上に激しく、暴力をふるわれた、特に母親を萎縮させます。

 

 

 

 

 

激しい暴力の恐怖を味わい、思い余って暴力をふるうわが子を殺してしまう親さえいます。

 

 

 

 

 

思春期の家庭内暴力児の多くは、家の外では「素直でまじめでとてもよい子」で通っています。

 

 

 

 

 

自分にとってはかなりの負担であってもがんばり、他人からほめられるほどの無理をして、困難なことでもやり遂げます。

 

 

 

 

 

自分から積極的に自己主張的な意見を言うようなことはしません。

 

 

 

 

 

自己主張はせず、周囲の人々、とりわけ権力者の主張に忠実に従います。

 

 

 

 

 

権力者や影響力が強い人の言うことなら、最大限の努力をして要求を実現します。

 

 

 

 

 

そのためには「大切にしたい自分自身」をも犠牲にしなければなりません。多くの場合、心の中では不満をもっていますが、外部には絶対に悟られないように振る舞います。

 

 

 

 

 

そのような子供が自宅に帰り、母親の顔を見たとたんに、不機嫌になり、言いがかりをつけては暴力を振るいます。

 

 

 

 

 

親がどんな言い方をしても収まらない怒りを心の中に抱え込んでいるからです。

 

 

 

 

 

「お疲れ様。部活は大変だったでしょう」と、同情的に言ったところで、「うるせー、お前に何がわかるんだよ!」ということになり、暴れ始めます。

 

 

 

 

 

家庭外で、相手が先輩や教師であっても、できないことはできない、無理なことは無理、で通せばいいのですが、「よい子」評価を失いたくない子供は、相手から認められることだけを求めて、「何でもできる」ような立場に身を置いて主体性を失います。

 

 

 

 

 

本来なら主体的な言語表現で可否を応答すればいいのですが、家庭内暴力をふるう子供の多くは自己主張をした場合の相手からの嫌な振る舞いの予感が拭いきれません。

 

 

 

 

 

相手から嫌な思いをさせられるくらいなら「我慢したほうがよい」と考えてしまうタイプです。

 

 

 

 

 

そのような態度からは2つの心の中核的自己感(心の中心機能)ができてしまった可能性が考えられます。家庭内用と家庭外用です。

 

 

 

 

 

この2つの中核的自己感が自己の内部で矛盾を生じ相容れることができず、折り合いをつけにくくなり混乱しているのです。

 

 

 

 

 

今起こっていることに現実感を感じないという解離でも起こしていれば、本人は苦しまなくても済みますが・・・・・・・。

 

 

 

 

 

家庭内暴力を引きおこす人々の多くが解離的な状態に一時的に陥るわけは、この辺りの2つの中核的自己感の問題にありそうです。

 

 

 

 

 

どうしてそのような2つの中核的自己感ができるかを説明します。

 

 

 

 

 

私が出会ってきた家庭内暴力をふるう人もその家族も、たいがいは世間の評価で言えば「できがよい人(よくできた人)」たちです。

 

 

 

 

 

比較する相手は世間一般としか言えませんが、高学歴、高収入、何不自由ない生活、揉め事や心配事がないかのように見える家族、物静かで物分かりがよさそうな親、いつも冷静で外目には穏やかな家族・・・・・・・・そんな家族が多いようです。

 

 

 

 

 

別の言い方をすれば、本来議論をして検討しなければならないことでも問題として取り上げず、後回しにしてきた家族です。

 

 

 

 

 

高学歴ではあっても、近所づきあいが苦手だったり、できない家族かもしれません。

 

 

 

 

 

高収入ではあっても、心のゆとりを持ち得なかった可能性もあります。

 

 

 

 

 

物は十分にあったとしても、それぞれの心は満たされていなかったかもしれません。

 

 

 

 

 

臭いものには蓋をしてきた可能性もあります。

 

 

 

 

 

その場合、家庭内暴力を起こす人は「ずっと世間体を気にする」生活(圧迫)を余儀なくされ続けます。

 

 

 

 

 

または、父や母の世間的な評価を落とさないために、自己欲望(主体性)を外部の目からは覆い隠さなければなりません。

 

 

 

 

 

自己欲望を人目にさらさないように、強引に抑圧(自制)していた可能性があります。

 

 

 

 

 

さらに、世間的には出来のよい親たちに褒められるためには、親たちの高いレベルに合わせた良い出来を見せなければなりません。

 

 

 

 

 

親たちの高いレベルで認めてもらうためには、子供はかなりの無理をしなければなりません。

 

 

 

 

 

普通の努力で、ふつうの出来ではほめられません。関東自立就労支援センターの相談室では「僕は(私は)親からほめられたことはない」と言う人が多くいます。

 

 

 

 

 

親から「そんなことはできて当たり前だ、自慢するな」と言われたことはよくあったと言います。

 

 

 

 

 

誰でもほめられればうれしいものです。けなされればつらくなり悲しくなります。

 

 

 

 

 

親たちからの言葉がいつも批判や否定や皮肉ばかりではつらくなります。

 

 

 

 

 

いくら頑張ってもほめられることがなく、否定や批判や皮肉ばかりの反応がある関係や環境では、子供はゆがんだ自尊感情をいだきます。

 

 

 

 

 

「生きていくためには親は必要だ。しかし、親は自分を憎んでいるようだ(敵らしい)。まだ未熟なのに自分の力だけで生きてゆくのは怖いし自信がない。

 

 

 

 

 

今のうちにあいつらを何とかしなければ安心して生きていけない」と悪い方向に自尊感情はゆがみます。

 

 

 

 

 

隠蔽されていた「敵意」や「悪意」も徐々に露出してきます。

 

 

 

 

 

幼児期、小児期に悪意や敵意は生成されるといわれています。

 

 

 

 

 

しかし、悪意や敵意が親にわかってしまうとまずいことになるから自分の心の底に隠し持ちます。

 

 

 

 

 

それが性成長期・思春期の生理的混乱や自尊感情が否定されるようなゆがんだ状況において表面化します。

 

 

 

 

 

それまでは心の構造の奥底に沈めていた敵意や悪意が、自尊感情のゆがみや崩れにより、衝動的に暴力として噴出してきます。

 

 

 

 

 

家庭内暴力を起こす人々の積み重ねられてきた自己感の中には、否定的自己感もあります。

 

 

 

 

 

「プライドは高いけれどダメな自分」という葛藤が強い負の要因として心に構成されます。

 

 

 

 

 

人間が生きているうえで持ち続けているはずの自尊感と、心の奥底にしまいこまれた敵意や悪意が強い葛藤を繰り返します。

 

 

 

 

 

本来ならその場限りの怒りの表出で収まるのに悪意や敵意を隠し持つことにより、心の構造の基礎部分が不安定になり、わずかな環境の変化や関係の変化で動揺し、獲得してきた自己感が崩れ、自尊感がゆがみ、悪意等が噴出してきます。

 

 

 

 

 

最悪の場合には、親を殺してしまうような事態にまでなります。

 

 

 

 

 

積み重ねられてきた自己感が崩れるのは、環境や関係が本人にとって苦痛を感じるほどの不利益であったり、あまりにも不都合な状況が起こる場合です。

 

 

 

 

 

だれでも心の中には複数の矛盾する自己感を持っています。

 

 

 

 

 

この複数の自己感が、「今ここではこちらを選択した方が賢明である」という折り合いをつけて安定した日常生活(精神生活)を送ることができるのです。

 

 

 

 

 

その場合の条件は、

 

 

 

 

 

A 自分の心がそこそこ満足する程度の支えがある。

 

 

 

 

 

B ある程度の安全感があり大きな不満はない。

 

 

 

 

 

C 自分の言動に適切な正義感が確認されている。

 

 

 

 

 

ことなどです。さらに欲を言えば、

 

 

 

 

 

D 困った時には、頼りになる人が身近にいて心の支えになっている。

 

 

 

 

 

このような環境や関係があれば、心に混乱を起こすことはめったにありません。

 

 

 

 

 

これらの条件が満たされず、批判や否定や恥辱にさらされると、とりわけ他人の前でさらされると、自己感は大きく崩れて収拾がつかないほどに断片化します。

 

 

 

 

 

矛盾こそすれ二つの中核的自己感が折り合いをつけて、日常生活を繰り返し安定した形で送ることができていられるのは、心にその子供が希望するそこそこの満足感があるからなのです。

 

 

 

 

 

親たちの多くは自分の時代と比較して、子供の希望や欲望が強すぎるとか、わがままだなどと考えてしまいます。そこから混乱が始まります。

 

 

 

 

 

今、目の前にいて混乱している子供の真の姿を見てあげてください。

 

 

 

 

 

見えてくる子供の姿は「自己表現が十分にはできない子供」の姿です。

 

 

 

 

 

何か言いたいことがあっても明確には表出していない様子は、口ごもった後、だんまりを決め込んだりとか、その場で必要な回答を周囲を気にするあまり後回しにする態度からもわかってきます。

 

 

 

 

 

A 言いたいことを言っていないのか、

 

 

 

 

 

B うまくまとまった表現ができないのか、

 

 

 

 

 

C 親子関係で対話のやり取りができない状況があるのか、

 

 

 

 

 

はかかわっていく場合に見極める必要があります。 もう少し家庭内暴力に触れます。

 

 

 

 

 

不登校に伴う家庭内暴力の児童生徒は、かなり似た規則性を持って暴力をふるいます。

 

 

 

 

 

ほとんどの子供が学校を休み始めてから一~二週間目くらいから、親たちの登校刺激に誘発される形で暴力をふるいます。

 

 

 

 

 

その後は、親たちが自分の思い通りのままに動かないことをきっかけに暴力をふるう場合もあります。

 

 

 

 

 

暴力をふるう時間帯は、ほとんどが起床や登校時刻か夕刻で、母親が忙しく家事に没頭していて、子供の言うことに関心を向けにくい時間帯です。

 

 

 

 

 

暴力が収まるとしばらくして母親へのすり寄りを始める子供もいます。そのまま自分の部屋にこもって、翌日まで出てこない子供もいます。

 

 

 

 

 

激しい暴力の後の反応は、その子供の成長の度合いを示す場合もあります。もちろん、母子関係とかその子供の性質気質も考えられます。

 

 

 

 

 

反抗期にまで成長していれば、翌日まで部屋から出てこない場合もあります。

 

 

 

 

 

幼児返りしている場合には母親との関係修復のために、母親へのすり寄りや甘えがあります。

 

 

 

 

 

暴力の頻度はもちろん個人差はありますが、多くは週に一~二回ほどです。あまり頻度が高い場合には不登校・ひきこもりの中でも病理性が高いものではないかと疑った方がよいでしょう。

 

 

 

 

 

たとえば、一日に数回の激しい暴力があるとか、暴力を起こすパターンに法則性がないとか、刃物を持ち出したり、家具や犬や猫などのペットに火をつけたりする場合です。

 

 

 

 

 

暴力が継続する期間はその子供と親との関係性によって影響されますが、短い子供で数回程度、一~二週間で暴力は収まります。

 

 

 

 

 

長い子供では二年程度です。一般的には四、五ヶ月です。永遠に続くことはあり得ません。

 

 

 

 

 

ただし、親が子供を見捨ててしまうような環境を作ると、関係修復までにはかなり長い期間が必要になります。

 

 

 

 

 

たとえば、親が家を出てしまい、子供一人を家に残してしまったような場合です。

 

 

 

 

 

親が再び家に戻り、日常生活を送ることは困難になります。

 

 

 

 

 

成人したひきこもりの人々の場合には、暴力の回数は不規則になり、荒々しさもその時の気分次第でひどい場合も、たいしたことはない場合もあります。

 

 

 

 

 

規則性が弱いぶん、かかわる人たちの不安は強くなります。一般的には抑うつ的な状態が続いた後に爆発するように暴力が起こります。

 

 

 

 

 

そのような見方をすると、不登校の子供たちと同様に、彼らも感情表出を抑制している可能性があります。

 

 

 

 

 

次に、家庭内暴力の多発年齢にも触れます。

 

 

 

 

 

思春期の家庭内暴力は性成長と深く関係しているように私には思えます。

 

 

 

 

 

性成長が最も激しい十四歳と十七歳の二つが多発のピークにある年齢です。性衝動の歪んだ形が攻撃性となっているように思えてなりません。

 

 

 

 

 

特に男子が母親に暴力を振るう様子と、その直後の甘え退行は、セルフコントロールしきれない激しい性衝動の混乱を如実に表しているように見えます。

 

 

 

 

 

子供の世界から決別したばかりで、はるかかなたに大人の世界が見える時期、それが十四歳の頃です。

 

 

 

 

 

十七歳は子供の世界からはもうとっくに決別し、異性に興味や関心が強くなり、感情表出についても十四歳も十七歳も大人と子供という分類の世界では、もっとも中途半端な時期に相当し、大人の表現も子供の表現も使える時期でもあります。

 

 

 

 

 

一般的には、背伸びして大人っぽい感情表出をしたがるのがこの年齢層の特徴です。

 

 

 

 

 

成人の家庭内暴力について

 

 

 

 

 

成人の家庭内暴力は、人格形成上のゆがみに関係しているようです。

 

 

 

 

 

成人以上なら社会性があるものと前提すると、ほとんどは自己中心的な暴力といえます。

 

 

 

 

 

自分を大切にしてくれない、自分の気持ちをわかってくれない、自分のほうに気持ちを向けてくれないなどが相手の暴力のきっかけになっています。

 

 

 

 

 

自尊心が強く、こだわりが強く、社会参加しそこなったことについては被害感も持っている人が、家庭内暴力をふるう傾向があります。

 

 

 

 

 

「親がうまく育てなかったから、自分はひきこもりになった」という認識のもとに、自分は被害者であると思い込んでしまう人もいます。

 

 

 

 

 

彼らが被害者であるという自覚を持っているからには、必ず加害者がいるはずです。

 

 

 

 

 

それが親だと家庭内暴力になるわけです。例えば、加害者が会社の誰かであっても、会社のその誰かとうまく交渉をしないで、いつまでも自分にひきこもり状態をつくらせるようにした家族のせいにしてしまう場合もあります。

 

 

 

 

 

家族も会社の悪者と同等に見て、代理に家庭内暴力をふるいます。屈折しているといえば屈折しているのですが、苦境に立たされた人ならそれくらいのことは考えてしまう可能性はあります。

 

 

 

 

 

普段の生活の中で、彼らが真に言いたいことをかかわりながら見つけてください。

 

 

 

 

 

そのためには常日ごろから先にもふれた無駄話に花を咲かせてください。そのような会話の中に、心のケアに関するヒントがたくさん出てきます。

 

 

 

 

 

本人を恐れて息をひそめるような生活は、問題を長引かせてしまいます。

 

 

 

 

 

本人が行う悪者探しにめげずに、親としての親切さは見せてください。「放っておいてくれ」とは言いますが、優しさや親切さは凍てついた心を溶かします。

 

 

 



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