ひきこもりからの脱出~関係性の修復をあきらめない~
ホーム > ひきこもりからの脱出~関係性の修復をあきらめない~

ひきこもりからの脱出~関係性の修復をあきらめない~

2017年12月26日(火)9:52 AM

親があきらめない

 

 

 

 

 

ひきこもりに入ると、子供はそれまでとは様相を変えてきます。たいてい親のすることに一つひとつ文句をつけ、苦情を言います。

 

 

 

 

 

思い通りにならないと、怒鳴ることもあれば暴れることもあります。次第に親は、まるで腫れ物にでも触るような感じになっていきます。

 

 

 

 

 

時に子供の話につき合おうとすると、毎晩毎晩つき合わされます。言われることはこれまで親によってどれほど自分が苦しめられたかという内容であることが多く、結局はうまく受けとめることができません。

 

 

 

 

 

心身ともに疲れ果て、子供からの呼び出しをひそかに恐れ、逃げたいと願うようになります。

 

 

 

 

 

これほどまでに文句を言われるならば、できればもうかかわりたくない、自分があまりにも悲しくみじめで、情けなくなります。

 

 

 

 

 

これ以上は傷つきたくもない、できることならアパートにでも出てくれないか、バイトが無理ならば全面的に経済面を負担してもよいという気持ちになる親は多いです。

 

 

 

 

 

しかしここで大切なのは、その子供が自立を遂げるためにはどうしても人とのかかわりの原点を修復する必要があるということです。

 

 

 

 

 

そのためには、受け手・助け手が必要なのです。それが子供の場合、たいていは母親なのです。文句を言うには、聞いてくれる人が必要です。

 

 

 

 

 

相手がいなければ批判することもできないし、反面教師的なモデルも得られません。

 

 

 

 

 

だから本人の意思によるのではなく、親の独断で子供をアパートに出しても、たいていの場合、何にもならないのです。

 

 

 

 

 

結局のところ私たち大人は子供に批判されたりわかっていないと怒鳴られ、罵られながらも、自分をきめ細かく見つめ、何がそのようなことをひきおこしたのかを探りながらそこに居続け、わからないなりにわかろうとし、投げ出したい気持ちを持ちつつも、投げ出さずに自分と相手を抱えていくことがひきこもった子供の成熟を支えることにつながっていくのではないかと私は考えています。

 

 

 

 

 

人間はやり直しがきく

 

 

 

 

 

とはいえ、親が必ずしも受け手になってくれるとは限りません。私の支援場面にも 20代後半から 30代になってもなお社会に出ていくことができずに、家にひきこもり、模索を続けている青年たちが訪れます。

 

 

 

 

 

彼らの場合、たいていさまざまな支援機関を渡り歩いています。相談機関という特殊な時空間を用いて、支援者という特別な他者を相手として、対人関係の原点を修復していこうとしているのです。

 

 

 

 

 

しかし彼らはとても傷つきやすく、当然のことですがその傷つきをうまく支援者に伝えたり返して、関係育てをしていくことが難しいです。

 

 

 

 

 

一方支援者の方も、自分が傷ついてしまうためにその関係の質をより良い方向に変容させていくことが難しいです。

 

 

 

 

 

しかしそのような本人の模索もまた、彼らが自分で自分をに投げ出さずにいるからこそできることです。

 

 

 

 

 

人間がもし、ほかの動物たちよりも優れている点があるとしたら、一つは「やり直しがきく」ということではないでしょうか。

 

 

 

 

 

私たち支援者は、人間の修復可能性を信じてこの仕事に携わっています。私たちの仕事とは、私たち援助専門家が悩んでいる人を救うということではなく、その人のなかに秘められたままになっている自己治癒の力を活性化させ、その人らしく生きていくことを支えることではないかと思います。

 

 

 

 

 

そして自己治癒の力が活性化してくるまで、その時を待ち、それが育つ器を用意し、それがつぶれてしまわないように細心の注意をもって見守ることが私たちの仕事だと思います。

 

 

 

 

 

視点を移す

 

 

 

 

 

生きていくうえでの土台となるものが乳幼児期に育まれます。それはとくに母親との関係を中心に育ちます。母子の間の愛着がしっかりと形成され、基本的な信頼を確立できると、子供のなかに自分を愛する気持ちが育ち、それが他者への思いやりの心の発達へとつながっていきます。

 

 

 

 

 

母子の間に喜びや楽しみのような情緒的なかかわりが豊かにあると、それが子供の共感能力や探究心を育て、学習意欲や倫理観の育成をも動機づけるのに役立ちます。

 

 

 

 

 

情緒の発達が知的な発達を引っ張っていくといってもいいでしょう。

 

 

 

 

 

 

ところが現実には、知的な発達は勉強という路線で一本化され、たくさんの量を学習しなければなりません。学校側も、とにかく詰め込まなければなりません。

 

 

 

 

 

教えれば知識は身に着くと一般に思われがちです。しかし人が知識を身につける時には、それを学んだときに周囲に漂っていた情緒的な雰囲気もまた同時に吸収されます。

 

 

 

 

 

喜びや驚き、悲しみや憤りといった情緒とともに入ってきた知識だからこそ、子供の心に深く残り、それを取り出して使ったり、考えたりしてその子らしさを形成していくのに役立ちます。

 

 

 

 

 

それが実は、生きた知恵となっていきます。しかし現行の教育体制の下では、イメージの世界が手抜きされて知識だけを伝えようとします。

 

 

 

 

 

それは単なる個々バラバラの情報の塊でしかなく、心には響いていきません。知を高め、自分を育てるために情緒的な関わりは不可欠です。

 

 

 

 

 

教育の現場が情感やイメージの世界と切り離されてしまったこともまた、子供が心を豊かに育てたり、育て直しをしたりすることを難しくしてしまっているのかもしれません。

 

 

 

 

 

ひきこもりは確かに深刻な事態です。しかし今の日本の社会の中で、これだけ大勢の子供がひきこもらざるを得ないということの意味を、私たち大人は真剣に考えていかなければならないのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

「ひきこもり」とか「不登校」という現象面にとらわれ、どのようにしてひきこもりをやめさせるか、どのようにして学校に行かせるかというような次元で考えようとするのではなく、私たちが見ていかなければならないのは、今の子供たちをひきこもりに入らせている根っこの部分です。

 

 

 

 

 

そのためにも、学歴偏重主義に象徴される知的なもののみに価値をおく考えから、今一度、関係性を育む情緒の世界に視点を移してみてみたいものです。

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援