関係性の障害としてのひきこもり
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関係性の障害としてのひきこもり

2017年12月25日(月)8:56 AM

人との関わりがわからない苦悩

 

 

 

 

 

「ひきこもり」という言葉が登場してから、まだそれほどの年月がたったわけではありません。

 

 

 

 

 

しかし私自身かなり以前から、「かつて自分は不登校をしていた」と名乗り、その当時からの問題を持ち越して、あちこちの相談機関を訪ね歩きながら、どのようにして自分を社会の中に戻していくかを模索している若者に出会うようになっています。

 

 

 

 

 

彼らの多くはすでに高校を卒業していたり、20歳を過ぎていたり、あるいは30代だったりといわゆる義務教育の範囲をすでに越えています。

 

 

 

 

 

しかし、その相談の中心的な部分は、「人づき合いがうまくいかない」という内容である場合が多いです。

 

 

 

 

 

彼らの話しを聞いていくと、いくつかの共通した要因が見えてきます。小さいころから周囲になじめない感じを持ち、中学や高校のころから無気力感や眠れなさ、頭痛や胃の調子の悪さ、あるいは漠然とした不安感や不全感というような、身体的・精神的不調感を持っています。

 

 

 

 

 

心の隅に深い挫折感や劣等感があり、自分のことを好きになれないでいます。

 

 

 

 

 

生きることへの希求性がないわけではありませんが、元気というにはほど遠いです。「人に溶け込めない」「人とどこか違う」というような、人との違和感に苦しんでいることが多いです。

 

 

 

 

 

これは、対人恐怖症の人の訴えに似ています。しかし簡単にいうと、対人恐怖症は自分が対人場面で緊張や不安を感じ、その結果として、人から嫌がられるのではないかと恐れて苦悩し、人との関係を避けようとする神経症であるのに対して、ひきこもっている若者は、それ以前の、「人とのかかわりが持てない」という苦悩であるように私には感じられます。

 

 

 

 

 

同じように人を避けるのでも、人とのかかわり方そのものが「わからない」のです。この点で、ひきこもりは対人恐怖症よりもいっそう、重篤な関係性の障害と言えるように私は感じています。

 

 

 

 

 

日本的な病理としての「ひきこもり」

 

 

 

 

 

もちろん、ひきこもりに入ってからそれほど時間を経ずに問題を解決し、社会に適応していくことのできた子供もたくさんいるにちがいありません。

 

 

 

 

 

私自身が携わった支援を振り返ってみても、児童期から思春期にかけてひきこもりをしていた子供たちが時間をかけて問題を解決し、青年期から成人期以降も不適応を起こしていないケースもあります。

 

 

 

 

 

これまでは、子供時代における社会が「学校」に代表されていることから、大ざっぱに「子供のひきこもりイコール不登校」と、ひとくくりに扱われていたように思います。

 

 

 

 

 

不登校の中には、学校でのいじめや先生との関係をめぐる問題など、何かしら心が傷ついた事件なり出来事を機に生じたひきこもりもあるでしょう。

 

 

 

 

 

外的要因に加え、家庭のなかに、家族関係の中にも何かしらうまくいっていない要因があり、その問題を解決するためにひきこもりという形をとる場合もあるでしょう。

 

 

 

 

 

自分の生き方についてどこか、本来の自分らしい生き方と違う、間違った自分育てをしてきたのではないか、されてきたのではないかと自分の過去を振り返り、見つめようとしてしまった子供もまた、エネルギーが内向し、ひきこもりの世界に入らざるを得なくなります。

 

 

 

 

 

この場合には、親との関係性まで立ち戻って考えていくことが多いです。

 

 

 

 

 

「ひきこもり」という問題のなかには、学校という場から離れてもなおその後もその人の生き方を狭め、そこに足止めをさせるほどに深刻な問題が含まれています。

 

 

 

 

 

この現実に対して、私たちはいま一度向き合い、突き詰めて考えていかなければいけない時が来ているのではないかという気がします。

 

 

 

 

 

ちなみに、このような心の危機を表す意味としての「ひきこもり」という言葉は、現在のところ専門用語として確立しているとは言い難いです。

 

 

 

 

 

諸外国にも、今日の日本の社会で起こっているこの言葉にぴったりと当てはまる語彙は見当たりません。

 

 

 

 

 

「ひきこもり」は「不登校」と同様、こよなく今日的な日本の病理を表している状態像なのかもしれません。

 

 



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