コミュニケーションが苦手な引きこもりの事例
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コミュニケーションが苦手な引きこもりの事例

2017年12月04日(月)10:08 AM

私は引きこもりの若者の支援活動を約20年行っていますが、その活動を通して感じていることは、引きこもりのコミュニケーションに関する特徴を一元的に述べることはできないということです。

 

 

 

 

 

もし、一元的に述べるとするならば、それを間違いを伝えることになってしまうでしょう。そこには様々な行動様式や特徴があります。

 

 

 

 

 

引きこもりというのは現象であり、状態であるということを忘れてはいけないと思います。

 

 

 

 

 

1 引きこもりの行動様式

 

 

 

 

 

引きこもりの行動様式はおよそ次のように分類できます。

 

 

 

 

 

①部屋からほぼ出ることがない。家族ともほぼ顔を合わせない。

 

 

 

 

 

②家からほぼ出ない。家族や特定の人々とは顔を合わせるときがある。

 

 

 

 

 

③学校や会社などの社会組織や社会関係に溶け込めない。いわゆる社会的引きこもり。

 

 

 

 

 

①の行動様式では相互作用を行うことをほぼ回避しています。予測不能な世界である相互作用を伴う対人状況を回避しているということです。

 

 

 

 

 

②の行動様式では特定の人々との相互作用を行います。ここでは自分自身の判断でその相互作用をいつでも中断あるいは終了することができることが必要です。

 

 

 

 

 

つまり、甘えが許される場合に、相互作用が可能です。③の行動様式では、他者に対する興味・関心がありますが、特に相手に否定的印象を与えたくないということから緊張感を持ち、疲れ果ててしまうというパターンをとります。

 

 

 

 

 

2 病気および障害

 

 

 

 

 

病気および障害には、次のようなものが経験上見られます。

 

 

 

 

 

①強迫

 

 

 

 

 

②発達障害(軽度・中度・重度の知的遅れ、自閉症周辺の障害)

 

 

 

 

 

③統合失調症

 

 

 

 

 

④人格障害

 

 

 

 

 

⑤うつ

 

 

 

 

 

強迫的行動を示すケースはかなり多いです。また、発達障害をもち社会関係の中で傷つけられてしまったケースも多いです。

 

 

 

 

 

統合失調症による外界への不安や妄想・幻覚による恐れの場合もあります。あるいは社会的引きこもりでは、人格障害により社会関係の中での適応に困難をきたしている場合もあります。

 

 

 

 

 

うつに関してはうつ病の場合もありますが、①から④と並行するかたちでうつ状態を呈することは多いです。

 

 

 

 

 

3 コミュニケーション上の問題

 

 

 

 

 

わたしが代表を務めている関東自立就労支援センターで扱った相談事例をここで紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

A君 14歳  男子

 

 

 

 

 

①発達障害が疑われるA君のケースでは、初回訪問の際、A君が部屋から出てきませんでした。こちらから入っていっても、別の部屋へと逃げてしまいました。

 

 

 

 

 

②A君は「うん」という以外、全く発話しませんでした。そのため、特に遊び・勉強・外出などを導入する際、こちらが言語的に誘ってみてもA君が固まってしまうだけの事がよくありました。

 

 

 

 

 

③A君の発話がないので、勉強内容が限られてしまいました。

 

 

 

 

 

①に関しては、手紙を渡すことでA君に対して自分のメッセージを伝えることができました。A君に直接「手紙(モノ)を渡す」というコミュニケーションが取れました。

 

 

 

 

 

手紙を渡した直後に(挨拶の意味で)握手をすることができました。

 

 

 

 

 

②に関しては、言語的に誘わずに勉強であれば机の上に教科書類をこちらが率先して置き、「勉強するよ」というメッセージを伝えるとA君は座って勉強しました。

 

 

 

 

 

また、遊びでは将棋盤を置き、こちらが駒を並べ始めるとA君も駒を並べはじめ、将棋をすることができました。将棋に関してはその後、A君から率先して将棋盤を置き駒を並べるという行動が見られるようにもなりました。

 

 

 

 

 

外出に関しては、当初抵抗があり私もA 君の母親もともに難しいと話していました。私が母親に提案し、私があらかじめ外で待ち、母親からA君に促すということを実行すると、A君はすんなりと外に出てきて一緒に外出しました。

 

 

 

 

 

 

その後もA君と外出する時は私が先に家を出て待ち、A君が家から出てくるというパターンで外出することができました。

 

 

 

 

 

③に関しては特に「改善した」というわけではないかもしれません。「対処した」という方が適切かと思います。例えば教科書やこちらが出す問題に対する答えを発話によってではなく、紙に書かせて勉強を進めました。

 

 

 

 

 

英語や国語などの音読も試みましたが、できなかったのでA君との関係でできることをつづけました。

 

 

 

 

 

C君 28歳  男子

 

 

 

 

 

①C君が親と折り合いが悪いので、C君と話をするときに親のことを話題にすると機嫌が悪くなります。ですから、C君が親のことをどう思うかについての話がほとんどできませんでした。

 

 

 

 

 

②母親が外に出ていて帰って来るときに必ずあめとコーラを買ってきてくれとC君が言います。買ってこないとパニックになることもありました。

 

 

 

 

 

③C君が飲みたいものを母親に買ってこさせます。

 

 

 

 

 

④C君が一方的に話します。

 

 

 

 

 

⑤ひきこもっているので、生活リズムが完全に崩れています。

 

 

 

 

 

⑥いま何がしたいのか、したくないのか意思表示がないのでわかりませんでした。

 

 

 

 

 

②に関しては、「あなたに言われてから買ってくるのは嫌だから、前もって買ってくるから」と言って、前もって買っておくことにしました。

 

 

 

 

 

③ に関しては、母親がC君に言われてから買ってくるのではなく、前もって買っておくようにしました。以前なら飲まなかった野菜ジュースを飲んでいました。

 

 

 

 

 

母親が「あなた野菜ジュース嫌いじゃなかったの?」とC君に言うと、「これは僕が好きだから、飲んでいい」と答えました。

 

 

 

 

 

彼らとかかわって感じたこと

 

 

 

 

 

引きこもり状態の彼らとかかわるときに、どの年代でも場が沈黙してしまうことがありますが、年齢が高くなるほど場が沈黙することにこちらが不安を感じました。

 

 

 

 

 

年齢が低いとモノ(本、ゲーム、漫画、TV、室内で飼われているペット、部屋にあるアニメのポスターなど)を媒介にしたコミュニケーションが多く、比較的やりやすいのですが、年齢が高いと言語的なやりとりが多くなります。

 

 

 

 

 

モノを媒介にしているとある程度行き詰ったと感じた時に、媒介にするモノを次々と変えることでやりとりがスムーズにできることが多いです。

 

 

 

 

 

年齢が高く言語的なやりとりが多いと、沈黙になった時にお互い話題が浮かばなくなり、重い空気を感じてしまうことがよくあります。

 

 

 

 

 

 

 

 



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