ひきこもりと労働と他者の視線
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ひきこもりと労働と他者の視線

2017年01月03日(火)12:32 AM

社会哲学研究者の今村仁司氏は前近代と近代の違いとして、近代に入るまでは余暇がプラスの価値を持っていましたが、近代以降は逆転して多忙さ(ビジネス)がプラスの価値になってきたと述べています。「近代の労働観・岩波新書」。

 

 

 

 

古代であれ現代であれ労働は自由な行為ではなく、隷属的な行為だとしたうえで氏は、それでも人が働き続ける背景としておおむね次のような指摘をしました。

 

 

 

 

労働するものはこころの奥で、「労働の隷属性」を感じていますが、それをなだめているのがモラルであり、他人による承認行為です。

 

 

 

 

他人による承認とは、他者からほめられたり尊敬されたりすることであり、おのおのがそれを求めることが近代的な労働の推進力になっています。

 

 

 

 

つまり近代の人間は他人からほめられるために労働しているのであり、他者との競争の中で高く評価されるためには自ずと禁欲的にならざるをえません。

 

 

 

 

労働者を働かせるために「労働にこそ人生の喜びがある」という管理的なイデオロギーがふりまかれ、いまや人々はみな勤勉道徳にとらわれるまでになっていると言っています。

 

 

 

 

「他者の視線を熱望することは、社会的人間を構成する基本的土台なのである」と氏は記しました。

 

 

 

 

他者が自分にどういう視線を向けているかに過敏になってしまう傾向は、ひきこもりの人たちによく見られがちな一傾向としてときおり紹介されますが、氏の言葉によれば、禁欲的かつ勤勉に労働する「社会的人間」たちの行動も実は、「他者の視線」を強く意識するがゆえの行動だったことになります。

 

 

 

 

 

他者による評価を強く意識する点では、近代の労働とある種のひきこもり行動はコインの裏表の関係なのかもしれません。

 

 

 

 

どちらも他者から良い評価をもらえるか否かに最大の関心をむけており、それが行動選択の大きな基準になっていると見えるからです。

 

 

 

 

もちろん他者の承認を求める労働のほかに、生きるために必要な最低限の労働があることを氏は記しています。

 

 

 

 

氏はその労働は一日三時間程度で足りると想定し、自由な生活に向けて生産力主義と禁欲主義を否定すべきだと訴えています。

 

 

 

 

なお近年各地で、ひきこもる子どもを持つ親たちのグループが生まれていますが、それにははじめからひきこもりをテーマに集まる場合と、不登校の親の会を卒業した親たちが続けてひきこもりの会を立ち上げる場合とがあります。

 

 

 

 

孤立しがちな親たちにとって、グループに参加する意味は大きいです。孤立を免れたり、情報を共有できたり、問題を客観的に眺める機会を得られたりするなどの効用が指摘されています。

 

 

 

 

またそこは、人間関係への肯定的な見方を親自身が取り戻していく場にもなりうるでしょう。

 

 

 

 

ただしそこですべてが解決するとは考えにくく、ほかの援助の場との併用も考慮すべきでしょう。その点は青年たちの作る当事者グループと同様です。

 



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