引きこもりの面接は有効なのか
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引きこもりの面接は有効なのか

ここではまず、関東自立就労支援センターで面接を継続的に続けているケースを紹介したいと思います。

 

 

 

 

Aさんは、現在22歳の女性です。商社に勤務する父親と専業主婦の母親、2人兄妹で兄がいます。

 

 

 

 

兄もひきこもりの状態で、関東自立就労支援センターでAさんとは別のカウンセラーに週に一回カウンセリングを受けています。

 

 

 

 

Aさんは高校までは特に大きな問題はなく、どちらかといえば、おとなしいタイプで従順に地元の大学へ進学しました。

 

 

 

 

しかし、大学がはじまってまもなく友人ができない、大学で何をすればよいのかわからないと悩み始め、大学へ登校しないようになりました。

 

 

 

 

その後、徐々にひきこもり始め、登校しなくなって3ヵ月後には自宅からまったく外に出ることができなくなりました。

 

 

 

 

さらに、しだいに家族とも話をしなくなり、食事も自室でとるようになりました。

 

 

 

 

このような状態が継続し、家族も声かけをしたり、強引に外に連れ出そうとしたりしましたが、Aさんのひきこもりの状態はまったく変化しませんでした。

 

 

 

 

Aさんの兄も、Aさんがひきこもり始める1年ほど前からひきこもりはじめ、Aさんと同じ状態であったために、両親が心配して関東自立就労支援センターに相談に訪れました。

 

 

 

 

その後、母親だけがわたしの面接に週に1回訪れていました。2ヶ月に1回ほどは、父親も来所していました。

 

 

 

 

母親は面接を受けることによって、それまでの困惑した気持ちからしだいに平静を取り戻し、とりあえずひきこもりが今ここにあることを受け入れ始めました。

 

 

 

 

父親も母親と同様に、ひきこもりに対応できるようになっていきました。そして、母親が面接を受けるようになってから4ヵ月後に、まず兄がそれまでの家庭の雰囲気の変化を敏感に感じ取ったのか、自分も面接を受けたいと言うようになり、来所しました。

 

 

 

 

兄は週に1回面接を受けるようになり、少しずつ外出するようになりました。兄が面接を受け始めてさらに3ヵ月後、Aさんも兄と同じように面接を受けてみたいといい、関東自立就労支援センターで兄とは別のカウンセラーによる面接が始まりました。

 

 

 

 

面接は週に1回の約束で始まりましたが、当初は毎週来ることは困難で、だいたい隔週のペースでした。

 

 

 

 

それでも自宅での様子は確実に変化してきて、食事は毎回ではないものの家族で食べるようになったり、母親といっしょならば、近所に買い物に出かけることができるようになりました。

 

 

 

 

現在、Aさんはほぼ毎週定期的に面接に訪れています。

 

 

 

 

かなり頻繁に外出ができるようになっていますが、まだ、たくさん人がいるところへ行くと気分が悪くなるという症状は残っています。

 

 

 

 

Aさん兄妹は、面接が非常に有効だったケースだと考えられます。最初に両親が面接を受け、両親の気持ちが少しずつほぐれていき、両親がゆとりをもって同じ気持ちでひきこもりに向かうことができるようになりました。

 

 

 

 

そこから、兄がまず面接に来られるようになり、ついでAさん自身も面接を受けることができるようになりました。

 

 

 

 

Aさんとわたしは、共通の趣味(サッカー・野球観戦)があったことも幸いして、短期間で打ち解けた関係が築けるようになりました。

 

 

 

 

面接は特にひきこもりに関しては、2人の関係性が重要だと思います。開始当初に安定した関係を築けるかどうかであり、それに予後はかかっているといっても過言ではありません。

 

 

 

 

安定して打ち解けた関係がカウンセラーとの間に築ければ、その後はカウンセラーがいわゆるひきこもりの人の鏡となって、その人の姿を映すようにして、ひきこもりの人の話を聞いていけばいいのです。

 

 

 

 

ひきこもりの人は、安心して自分の話をすればいいのです。必ずひきこもりの人は、自分自身のあり方や問題性に気づいていくはずです。

 

 

 

 

面接はあくまでも鏡となって相手の話を聞きだしていくものであって、アドバイスをするものではありません。

 

 

 

 

積極的に話したり、アドバイスをするものは、面接ではないのです。だからこそ、面接の効果が出るまでには時間がかかるのです。

 

 

 

 

しかし、時間がかかるぶんだけ、いったん回復してくれば、再び逆戻りすることも少ないのです。

 

 

 

 

以上のように、面接はひきこもりの人との円滑な関係性が築け、定期的に継続できるならば、ひきこもりの人にとっては有効に機能するものです。

 

 

 

 

面接を大いに活用することをお勧めします。

 

 

 

 

ひきこもりは一つの状態像

 

 

 

 

ひきこもりはひきこもっているという一つの状態を示しているものです。つまり、それ自体は精神疾患を表す用語ではありません。

 

 

 

 

また、ひきこもりの人数があまりにも多いということが、最近になってわかってきました。

 

 

 

 

正確な数字ははっきりしていませんが、30万人とも50万人ともそれ以上ともいわれています。

 

 

 

 

すなわち、これほど多くの若者たちが自分はどうしてこんなふうになってしまったのかもわからず日々苦しんでいるのです。

 

 

 

 

これは、現代日本における未曾有の事態といわねばなりません。にもかかわらず、世間のひきこもりに対する風当たりは非常に強く、「ひきこもりは、ぜいたくだ」「怠けているだけだ」といわれることが多いのです。

 

 

 

 

しかし、親が養える能力があるからこそひきこもりでいられるのだという意見には、わたしは賛同できません。

 

 

 

 

ひきこもりの状態になっている人は、けっして自分がそうしたいからひきこもっているわけではないのです。

 

 

 

 

主体的にひきこもっているのではないのです。ひきこもりから脱出したいと願っているのです。

 

 

 

 

それなのに世間の目は冷たく、その原因はまったくわかっていません。しかし、ひきこもりには社会的な背景が関わっていると考えられます。

 

 

 

 

ですから、ひきこもりについて考えるときは、その背景を考慮に入れなければなりません。

 

 

 

 

ひきこもりは確かに一つの状態像にすぎません。しかし、ひきこもりに対しては必ず何かをしなければ、本人も家族も不幸になる可能性が高いとわたしは考えています。

 

 

 

 

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