距離をとりたい気持ちが引きこもりへ
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距離をとりたい気持ちが引きこもりへ

引きこもりとは、学校、社会、知人、友人、そして親とのコミュニケーションさえも拒絶し、人間関係に「お休み」をとることです。

 

 

 

 

 

それは、他人との関わりや付きあいを苦手とする段階がさらに進み、怖いと感じるところまで追いつめられてしまったものです。

 

 

 

 

 

しかし、欲求としては人を求めているわけで、そこで苦悩します。だから拒絶されているのを悲しんでほしくないのです。

 

 

 

 

 

今は誰からも触れて欲しくないときで、嫌いというわけではありません。声をかけられても、どう返事をしたらいいのかわからないので、子どもたちは引きこもってしまうのです。

 

 

 

 

 

非行に走り、その後、引きこもりになったA君という少年がいました。

 

 

 

 

 

A君の場合は、カツアゲを黙認する学校に対する不信、家族とのコミュニケーションの不足、そして仲間によるいじめなどのために対人不安を起こして引きこもりになりました。

 

 

 

 

 

そうしたなかで、不良グループに自分の存在を認めてもらえるので、そこが帰属先になったようです。

 

 

 

 

 

ところが、グループにおける差別的扱いに耐えきれなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

A君の場合は、グループから離れたい気持ちが先にあって、それがそのまま引きこもる状況に入ってしまったと思えます。

 

 

 

 

 

そして、その長い期間、親を中心として周りの関わりが「大人しくなった」ということでなくなり、社会に踏み出すきっかけを見落としてしまったのでしょう。

 

 

 

 

 

「個性」が「孤性」になる人間関係

 

 

 

 

 

現在、引きこもりは増加の一途にあります。そのひとつの原因として、引きこもりを若者のライフスタイルとして「容認」する環境があります。

 

 

 

 

 

希薄な人間関係の中で生きている子どもたちが、不登校、高校中退等をきっかけに「わずらわしさ」を伴う人間関係から逃避し、自己保存の世界に入り込んでしまうことを、なぜか親をはじめとして周りの人たちが「その子らしさ」として見過ごしてしまう傾向があります。

 

 

 

 

 

どうして、引きこもりを見逃してしまう環境ができてしまったのでしょうか。

 

 

 

 

 

あえて言えば、戦後に子育てを担った親世代の価値観、ライフスタイルにも関係があると思います。

 

 

 

 

 

彼らの中心層は戦後のベビーブームに誕生した団塊の世代です。この世代は、親の引きずってきたわずらわしい人間関係を否定し、親子の関係や近所づきあいにしても、「合理的人間関係」「個性尊重」を求める傾向が強かったのです。

 

 

 

 

 

実際、この世代は地縁・血縁の人間関係を好まず、さばさばしたライフスタイルを好み、ドライなつながりを作り上げてきました。

 

 

 

 

 

核家族化や密集化した新興住宅地の中で、他人との関係を最小限にして互いに干渉しないで生活してきた世代です。

 

 

 

 

 

その結果、この世代は建て前、しきたりを重んじる田舎の親戚づきあい等をわずらわしく思う傾向が強いです。

 

 

 

 

 

したがって、そんな田舎に帰るのも面倒くさいと感じているくらいです。

 

 

 

 

 

このように、親自体が人間関係を合理的に消化しようとする土台を持っているので、当然、自分の子どもが人間関係を拒絶しても、それなりの理屈があれば物わかりがいいのです。

 

 

 

 

 

たとえば、子どもが部屋にこもって、ひとりでインターネット、ゲームに熱中していても、「自分の好きなこと(個性)をやっているんだから、無理して集団で遊ばせなくてもいいよ」ということになります。

 

 

 

 

 

父親もゲームが好きということになると、高得点をマークする自分の子どもを見て、「うちの子どもは集中力があって頭がいいんじゃないか」と思ったりもします。

 

 

 

 

 

ですが、このバーチャルな遊びに過度に慣れさせることが、引きこもりの世界へ導いてしまうことに気づいてほしいのです。

 

 

 

 

 

インターネットなどのひとり遊びが当たり前のようになっている現在、「面倒な話はしたくない」と、人との交流をとかくうっとうしく言うようになったら、注意しなければなりません。

 

 

 

 

 

引きこもりの「初期症状」を子どもが示しても、親や周囲の人が「あの子のスタイルだから」と思って、見過ごしてしまいがちになります。

 

 

 

 

 

現代の子どもたちは、こうした「引きこもりやすい」あるいは「引きこもれる」環境にいるのです。

 

 

 

 

 

たしかに現代では、パソコンなどでひとり遊びしている子どもに何の不自然さも感じません。

 

 

 

 

 

むしろ、外で元気に友達と遊んでいる子どもたちのほうが、不思議に思われてしまうかもしれません。

 

 

 

 

 

別に、家で遊んでいることが問題というつもりはないし、外にいてもいつも一人だけで何かをしているというわけでもなかったら、不安なものを抱いてしまいます。

 

 

 

 

 

要するに、人と群れて、交流していることが見えれば、パソコンでも楽しんでいると思えてきます。

 

 

 

 

 

パソコンとしか遊べないのでは、不安が残るのです。

 

 

 

 

 

すでに、ひとり遊びのスタイルや習慣が文化として出来上がっており、引きこもりやすく、また引きこもっていることが見えにくい社会になっています。

 

 

 

 

 

「個性」だと思っていたものが、「孤性」に変わっていく要因が、このあたりに隠されている気がします。

 

 

 

 

 

「訓練」なき人間関係の悲劇

 

 

 

 

 

さて、一人遊びのスタイルや習慣が確立する一方で、関わる親として、ひとり遊びの落とし穴に気がつかなかったことがあります。

 

 

 

 

 

それは、子どもが人間関係(コミュニケーションスキル)を身につけていくための経験、いやもう少し気軽に俗っぽく言えば「人慣れ」の訓練、積み重ねの必要性を見落としていた点です。

 

 

 

 

 

人間関係の基本である付き合いの第一歩は、遊び集団であり、特に家族以外の他人との間のとり方です。

 

 

 

 

 

それを軽視して育った子どもは、受け身の人間関係はできても、自分から相手との距離感をつかんで声をかけていくことがとてもおっくうになってしまいます。

 

 

 

 

 

その結果、人と「触れ合う」ことが希薄になります。

 

 

 

 

 

不登校が中1や高1で起こりやすいのは、幼なじみなどの特定な友達と別れて、新たな人間関係を求めていかなければならないからです。

 

 

 

 

 

人間関係の下地づくりが問われているのが、この時期です。

 

 

 

 

 

だから、大学生の就職拒否も人間関係からいえば、不登校の延長にあります。

 

 

 

 

 

「特定な子ども」としか関係を結ぼうとしないことは、引きこもりのサインともとれます。

 

 

 

 

 

ただ残念なことに、今の子どもたちは地域の中で人と触れ合う機会が圧倒的に少なすぎて、人間関係の基本を学び「訓練」することが、間を学べる友達との関係のなかでできません。

 

 

 

 

 

とくに同世代と触れ合うことが少ないです。

 

 

 

 

 

大人と触れ合うのは、受け身であるので楽なのです。生意気なことを言っても大人は「子どもの言うことだから」と、怒らずに受けとめてくれます。

 

 

 

 

 

だから、大人としか遊べない子にしてはいけません。また、大人もそのことに気をつけなければいけません。

 

 

 

 

 

すでに人間関係は「学ぶ」時代に入っていると思います。にもかかわらず、大人は「人間関係は当たり前に身につくもの」と思い込み、あまりにも合理化された人間関係を子どもたちに見せてはいないでしょうか。

 

 

 

 

 

たとえば、団塊の世代は幼い頃に「人間関係の基礎工事」が地縁・血縁の囲みのなかでなされているので、いくら合理化してもいざとなれば関係を作れますが、その子どもたちは団塊の親から教えられたり学んだりする機会を与えられてきませんでした。

 

 

 

 

 

あまりわずらわしさを体験することなく成長したために、うっとうしさに耐える基礎工事がされていないのです。

 

 

 

 

 

だから、いざ人間関係で踏ん張るときに関わりを拒絶してしまうことになります。

 

 

 

 

 

引きこもりを招く背景には、こういう時代にめぐりあった親のライフスタイルがあることが見逃せません。

 

 

 

 

 

わたしのこれまでの相談経験から言っても、対人関係が希薄で、集団関係におけるゴチャゴチャした空間から「間」を学ぶ機会を持たないで成長してしまった子どもほど、引きこもりの状態に入りやすいようです。

 

 

 

 

 

人の「間」が、子どもにとっては「魔」になってしまうのです。

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