被害者意識は現実検討へのハードルになる
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被害者意識は現実検討へのハードルになる

たとえば、子どもが不登校になったときに、親は心配してなるべく側にいようと心がけるようになります。

 

 

 

 

それは大切なことですが、あまり極端になると子どもの生活スタイルに親自身も一体化してしまい、引きこもりの始まり、つまり人間関係がうっとうしく避けだしていることに気づかない場合もあります。

 

 

 

 

気がついたとしても一時的なものだと思い、いずれは自然に人を求めていくだろうと考えているうちに、引きこもりが長期化してしまいます。

 

 

 

 

そして、対人不安や対人緊張など、症状が悪化して初めてことの重大さに気づくケースをわたしは何度も見てきました。

 

 

 

 

親御さんには彼等がそうなる時期に出しているサインに、早めに気づいて子どもの本音に出会うきっかけをつくってほしいと思います。

 

 

 

 

では、そのサインとは何でしょうか。現実が意識されるほど、いわゆる「被害者意識」が目立つということです。

 

 

 

 

現在の自分の置かれている苦しい状況や、自分の「不幸と不運の連続」を他の誰かにあずけたいばかりに、たとえば、親、先生、友人を非難することがあります。

 

 

 

 

これはある面で現実逃避なのですが、本人はそれを必死で主張します。

 

 

 

 

「母親がこんな育て方をしなければ、今頃普通に生きていけていたのに」と。

 

 

 

 

現実が重くのしかかってきていることに、自分自身十分気づいている証拠なのです。

 

 

 

 

この傾向は自立を意識する20代くらいに目立ち始めます。

 

 

 

 

それでは親は、サインを見つけたら、まずは何をするべきでしょうか。

 

 

 

 

「そうかもしれないね」とその持ちこたえられない現実の苦痛を、子どものうめき声としてまず受けとめてほしいのです。

 

 

 

 

「被害者意識」が強いときほど、現実検討のハードルを越えようと孤独な心理的戦いをしているのです。

 

 

 

 

そして、子どもとじっくり癒されない部分を話し合ってほしいのです。

 

 

 

 

ただこのとき、気をつけなければならないことがいくつかあります。

 

 

 

 

まず、この被害者意識が確かに妄想にすぎなくても、本人にとっては被害を受けているという感じは事実であるということを知っておくべきです。

 

 

 

 

ところで、子育てを子どもから責められても、けっして「わたしの育て方の失敗で、あなたをこうさせてしまったのね」とは言わないでほしいのです。

 

 

 

 

これは言われた側に立ってみればわかりますが、その「失敗」の部分を背負うのは子ども自身なのです。

 

 

 

 

言った親は、それでどことなく「原罪」が許されたかのように思うかもしれませんが、子どもからすればたまったものではありません。

 

 

 

 

甘やかしも厳しさも、すべてはいまが順調であれば「あのときやさしく接したからよかったんだ」とか「厳しく育てたから、こんなに立派になったんだ」となります。

 

 

 

 

わが子に自分の時間の多くをかけて育ててきた過去を、けっして不登校とか引きこもりになってしまったから「失敗だった」と言わないでほしいのです。

 

 

 

 

子どもたちはそんな言葉は欲しがっていません。

 

 

 

 

子どもの本音は、「こんな情けない自分だけど、お母さん、見捨てないでもうしばらく付き合って」と願っていることを忘れないでほしいのです。

 

 

 

 

だから子どもにとってのよき理解者とは、「共に白髪の生えるまで生きよう」と安心感を与えることのできる人です。

 

 

 

 

引きこもっている子どもは、いつも孤独な中でいつ突き放されるかと恐れているのです。

 

 

 

 

十分「依存」という愛情(受容)を確認しないと子どもは母親から自立できません。

 

 

 

 

そのことを十分に理解して、被害者意識に寄り添う必要があるでしょう。

 

 

 

 

そうして、話を聞いていくと、その被害者意識がどこからきているのか見えてくるものです。

 

 

 

 

問い詰めるようなことをしても、その場で思いついた理由を適当に話すだけで、本当の原因を見つけることはできません。

 

 

 

 

子どもたちは、すべて自分の現実課題はお見通しなのです。

 

 

 

 

だからそのことを刺激すればするほど、頑なになってしまいます。

 

 

 

 

年長者の場合だと、言われなくてもわかりすぎている「仕事」「自立」「責任」といった言葉は重過ぎるもので、特に父親にとっては禁句です。

 

 

 

 

さらには年長者に限りませんが、「情けない」「弱虫」「心が弱い」とか、「気を強く持ちなさい」といったことを口に出すこともなるべく避けたいところです。

 

 

 

 

他にもたとえば、引きこもりから近所や親戚の人と挨拶ができない子どもであっても、「おはようと言いなさい!なぜそんなことが言えないの」といったことも、言わないほうがいいと思います。

 

 

 

 

そんなことを言ってみても仕方がないのです。本人がそのことをいちばん自覚しているからです。

 

 

 

 

それは親のストレス発散の効果にしかなりません。これは往々にして親が言いやすい言葉なのです。

 

 

 

 

子どもは自分の状況をよくわかっています。ですが、それを打破できないために引きこもっているのです。

 

 

 

 

引きこもり本人の精神的未熟さを指摘することは、マイナスにこそなれ、けっしてプラスにはなりません。

 

 

 

 

また、引きこもっているのは他人とのかかわりに対して一定の距離を保っているわけですから、極端に関わりを促すような、いわゆる励ましは避けたほうがよいでしょう。

 

 

 

 

具体的には、不登校をしている子どもに、「がんばって学校に行きなさい」とハッパをかけるようなことをするよりも、「大丈夫?行ける気がする?」といったさりげない言葉かけをするほうが、子どもの気持ちを楽にさせるものです。

 

 

 

 

それから、子どもが不登校の理由を話したからといって、それで解決すると考えても無理があります。

 

 

 

 

なぜなら、ほとんどの場合はその原因は本人もよくわからないからです。

 

 

 

 

原因がひとつだけということは、あまりないのです。

 

 

 

 

原因を問い詰められるので、思い浮かんだことを言ったにすぎないケースが多いです。

 

 

 

 

だから、それをもってして全面問題解決とはならないのです。

 

 

 

 

はじめ、子どもは理由の一つか二つぐらいしか言わないでしょうが、実際には、いろいろな原因があります。

 

 

 

 

子どもが理由にあげたものは、最初のきっかけにしか過ぎないのです。

 

 

 

 

いちばん気を使わなければならないのは、人間として引きこもっていくことに深い関心を持つことではないでしょうか。

 

 

 

 

引きこもっている子ども、あるいは神経質な子どもは、マイナスな人間というイメージを持たれてしまう傾向があります。

 

 

 

 

本人もそのように思いやすいです。だからこそ、関心を持ってあげなければなりません。

 

 

 

 

何を悩んでいるんだろう、何にこだわっているんだろう、というふうに深く掘り下げて聞き、語りかけることが必要なのです。

 

 

 

 

そうすれば、必ず子どもは少しずつ心を開くはずです。

 

 

 

 

なぜなら、引きこもる子どもは閉じこもると同時に、反対に出て行き、安心して受けとめてくれる人や場所を常に求めているからです。

 

 

 

 

そして引きこもっている状態では、出て行ける場所や伴走者を示してあげられるのは、親しかいないのです。

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