生きづらさを抱える若者たち
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生きづらさを抱える若者たち

 

 

 

大学生の声

 

 

 

 

「携帯電話やスマートフォンはとっても怖いです。表面的には仲良くなさそうにしているのに、実は仲がいいとか。携帯やスマホで誰がつながっているのか考えて怖くなるときがあります。大学に来てから、こころから相談していない、笑えていない自分が多いと思います。なかなか腹を割って話せないです」

 

 

 

 

 

「インターネット等で簡単になったぶん、人と人との対面のコミュニケーションが下手な人が多いと思います。言葉足らず、説明足らずが多いと思います」

 

 

 

 

 

「喜怒哀楽の怒の感情表現がうまくできません。事件を起こすような人も似ているような気がします。だから爆発したときに人を殺せてしまうのだと思います。自分も殴ったり、人を傷つける行為をしたりしてしまうかもしれません」

 

 

 

 

「チャットや2ちゃんねるでは自分を出せるのに、実際の人とのふれあいのなかでは、自己表現ができません。そんな状況は、僕が小学校のころはありませんでした。現代特有の問題だと思います」

 

 

 

 

「メールやチャットの世界に頼りすぎていると思います。それにはそれの良さがあるかもしれませんが、あくまでバーチャルだから、実際の人対人のコミュニケーションを避けがちになってしまうと思います」

 

 

 

 

これらの嘆きは、次のような場面を通して、学生に人間への不信感を植え付けていきます。

 

 

 

 

「友だちと一緒にいる際に、その子が携帯のメールをしていると、わたしはこの子にとって何なのだろうと思ってしまいます(深く考えることではないかもしれませんが)。

 

 

 

 

目の前にいる人を大事にしてほしいなと思います。だからわたしは友だちといるときに、携帯をあまり使わないようにしています。

 

 

 

 

携帯で支えられるときと、そのように淋しくなるときがあります」以上のような大学生の新たな苦悩に対して大学では、試行錯誤しつつも人とつながるための多様な取り組みを開始しています。

 

 

 

 

多くの大学では、四月のガイダンスに関して科目登録から、サークル案内、講義の概要説明にいたるまで、上級生にサポートさせています。

 

 

 

 

「ヘルパー」などと名づけられた学生がマンツーマンで新入生の支援体制をとる大学もあります。

 

 

 

 

学生相談室も、一定のスリースペースをひきこもり傾向の学生用に確保する大学も登場しました。

 

 

 

 

運営・企画も学生にまかせ、当事者が活用しやすい工夫がなされているようです。

 

 

 

 

学生相談室が高いる利用率を誇る大学では、上級生がロールプレイまでして、どんなにささやかな悩みや迷いに関しても、相談室は応じるのだという姿勢をアピールしています。

 

 

 

 

つまり、四月の実務的不安をそのまま放置すると、ひとりひとりが孤立し、大学生活にこぎ出せないのです。

 

 

 

 

ほんのちょっとしたつまずきがきっかけになってひきこもりにつながりかねないのです。

 

 

 

 

このように大学の入門期指導において、「不安への対処」法を具体的に提示する取り組みは、生活、学習、精神など領域を問わず、重要となってきています。

 

 

 

 

四月に入門合宿を実施する大学や学部が増加しています。四月の入学直後に、一泊二日の全日程でレクを行ったり、一週間にも及ぶ合宿を行うなど多様です。

 

 

 

 

これらの合宿の重点目標は、学生に友だちを作らせること、他者への過度な緊張を解かせること、大学の教員とも顔なじみになること、ノートテイクやヒアリングスキルを教え、授業に入りやすくすること等です。

 

 

 

 

合宿中に講義を組み込んでいる大学も、あくまでも授業を通した仲間づくり、相互信頼の確立を意識しています。

 

 

 

 

したがって、一方通行の講義ではなく、ワークショップやグループワーク形式を採用しています。

 

 

 

 

多忙な時期ゆえに、大学にとっては、合宿を行うことの負担は大きいはずです。しかし、実施大学では、学生の学習へのモチベーションが高まり、学生参加型の講義や企画が成功する例が多いといいます。

 

 

 

 

一人ひとりのセルフエスティ-ムが高まり、学生生活を乗り切るたくましさが芽生えるのです。

 

 

 

 

ただし、こまかな配慮は欠かせません。たとえば、合宿先に向かうバスのなかでも、学生の好きに任せて座席に着かせると、必ず空席が生じ、そこからコミュニケーションが分断させてしまいます。

 

 

 

 

そのため、空席を生じさせないように詰めて座らせるなどの配慮が肝要となってきます。

 

 

 

 

小学生並みの気配りが求められるのです。これが今日の大学生の一面なのです。

 

 

 

 

以上のように、現代における大学生のコミュニケーション不全は、想像以上に深刻です。

 

 

 

 

学生相談室に学生同士のけんかやトラブルの仲裁があまりにも多数持ち込まれ、「今や大学は、小・中・高校で発達しそびれた者たちのふきだまりです」と嘆いた大学もあるほどです。

 

 

 

 

これに加えて、インターネットやケータイのメールを中心とした日常生活におけるITの進行は、バーチャリズムを加速させ、学生の対人恐怖傾向を強めています。

 

 

 

 

コミュニケーション不全の深刻化という今日の歴史的、社会的要因とともに、ひきこもり問題をていねいに見ていくと、その奥には実は、一見恵まれているように見える家庭環境がひきこもりを生み、彼らを生きづらくさせているという側面がうきぼりになってきます。

 

 

 

 

これは矛盾しているだけに、ある意味で、ひきこもり問題の本質にかかわっています。

 

 

 

 

2004年に起きた事件(これ以外にもひきこもり関連の事件は多数起きています)を例に考えてみましょう。

 

 

 

 

2004年11月下旬に、19歳の少年と28歳の青年が、両親や姉を惨殺する事件が相次ぎました。

 

 

 

 

水戸で19歳の少年が教員である両親(母親は2年前に退職)を殺害して逮捕され、その12時間後に、今度は土浦で28歳の青年が両親と姉の3人を包丁と金槌で殺害しました。

 

 

 

 

わずか12時間を隔て、同じ県内で連続しただけに、関係者の衝撃には大きいものがありました。

 

 

 

 

これらの事件の背後には、今日の少年や青年の生きづらさと家族のありかた、家庭教育の問題が潜んでいます。

 

 

 

 

水戸の事件を中心にくわしく見ていきましょう。19歳の少年の家庭環境をみて見ますと、家族構成は、両親(父は中学校社会科教諭、進路指導主任、教務主任の51歳です。

 

 

 

 

母は48歳で、2年前まで小学校教諭でした)と祖父(76歳)、東京の大学に通う2人の姉(いわゆる一流国立大学を含む)と中学時代から不登校になり、当時は無職の妹(16歳)の7人家族でした。

 

 

 

 

この少年は、成績は優秀で中学・高校では学年で5番以内だったといいます。高校は、地元の中堅私立の進学コースに在籍していました。

 

 

 

 

しかし、在学中に重い病気にかかり、高2では30日、高3では50日も休まざるを得なくなります。

 

 

 

 

四年制大学への進学を断念し、コンピュータ関係の専門学校に合格するものの、手続きはとりませんでした。

 

 

 

 

その後は特に何もしないで、自宅で過ごしていました。もともと性格的におとなしい生徒でしたが、生活態度はしっかりしていました。

 

 

 

 

学校行事では積極的に何かを提案するのではなく、決まったことをきちんとやるタイプでした。(高校時代の担任)

 

 

 

 

しかし、同級生の話ですと、友だちとしゃべっているのをほとんどみたことがなく、ひとりでぽつんとしていることが多かったようです。

 

 

 

 

事件を起こしたころには、母と妹といっしょに、三ヶ月ほどニュージーランドに転地しました。

 

 

 

 

環境を変えようとしていたようです。一ヶ月後には、再訪問する予定がありました。

 

 

 

 

事件の内容としては、夫婦が就寝中の別々の部屋で、まず父親から、頭部を鉄アレイで十数回殴りつけ殺害しました。

 

 

 

 

次いで、隣室に休む母親を、同様の手口で殺害しました。計画では、一階で休む祖父を殺し、皆殺しの予定でした。

 

 

 

 

しかし、両親を殺害した段階で、力を使い果たし、気力が失せて妹としばらくテレビを見たり、近くのコンビ二へ買い物に行ったり、夜中の公園のべンチに座っていたり、ブランコをこいだりして3時間ほど費やしたあと、みずから110番通報しました。

 

 

 

 

前述の通り、この家族は熱心な教育一家です。母親は退職した後、二人の子どもとともにニュージーランドまで出かけて、ひきこもりや不登校からの立ち直りの支援をしていました。

 

 

 

 

父親の評判もよかったようです。では、この少年が殺害にいたった動機は何でしょうか。

 

 

 

 

供述によると、「祖父や両親から、仕事も進学もしないで家にいるのなら習い事をするように、うるさく言われた。

 

 

 

 

皆殺しにしようと思ったが、両親を殺してやる気が失せた」と言っています。少年を家族皆殺しにまで思いつめさせたものはなんだったのか。

 

 

 

 

一つは、供述どおり家族からの進路へのプレッシャーではないでしょうか。無条件の愛情を注ぐことが一番可能なポジションにいた祖父からも、仕事をしろとか、進学しろとか口うるさくされたのではたまりません。

 

 

 

 

いちばん悩んでいたのは本人であるにもかかわらず、その苦しみを受け止めようとしてくれないのです。

 

 

 

 

憎悪の感情が渦巻いた少年の胸の内を、想像することは難しくありません。自分の心が安住できる「居場所」を確保するためにも、まず目前の障害物としての祖父の存在を排除しようとしたのではないでしょうか。

 

 

 

 

それが殺害というかたちにいたったのです。二人の姉の存在は、優秀であっただけに、自分にも期待をかけられることが、男ひとりの少年にとっては大きな負担でもあったと思います。

 

 

 

 

何よりも、きわめて優秀な教員と評判であった母親を退職せざるを得なくさせたことは、少年の心に深い傷と重荷を負わせたに違いありません。

 

 

 

 

土浦の28歳の青年についても同様で、このような惨劇に至った両者の共通項は、第一には、教育一家であったり、町の名士であったりと、経済力や知力が豊かであった点です。

 

 

 

 

こうした家庭は、力があるからこそ、他者や地域には頼らずに、自力で解決にしようとする傾向があります。

 

 

 

 

こうして結果的には本人だけでなく、家族ぐるみでひきこもる状態に追い詰められてしまいます。

 

 

 

 

このような閉塞状態にしないためにも、ひきこもり脱出のカギは、実は本人よりも、まず家族への支援なのです。

 

 

 

 

カウンセラーなどの第三者に相談すること、親自身がボランティアなど外の世界と積極的につながること、何よりも親自身の生活を楽しみ、すべてを子どもの犠牲にせず、周囲の人々のパワーをもらいながら生活することが重要です。

 

 

 

 

「あせらず、あわてず、あきらめず」というのが家族対応の三原則です。そうしていくなかで、ひきこもりの子どもたちのこころも解放されていきます。

 

 

 

 

そして本人ができたこと、「今」やれていることに光を当てて、彼らの自己肯定の心情を育み、豊かにしてやることが肝心です。

 

 

 

 

こうした認識は、残念ながら、今日の学校にも家庭にもなかなか根づいていません。

 

 

 

 

現代は、子どもたちにとって大変生きづらい社会となっています。こうしたなかで、学校教育はどのように子どもたちを守り、育むべきでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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