思春期のひきこもり・不登校の心的葛藤
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思春期のひきこもり・不登校の心的葛藤

ひきこもりには、一般的に強い心的葛藤が認められます。思春期は、子どもから大人へと成長する、人生のなかできわめて大きな変化にされされる時期です。

 

 

 

 

身体面では大人に近づき、体力がついてきます。女子は生理が始まり、男子は射精を体験し、性的関心が強まります。

 

 

 

 

内面的にも「自我意識」がほぼできあがる時期です。ここでいう自我意識は、わたしたちがもつ「他人とは区別された自分という意識」のことだと理解してください。

 

 

 

 

乳児はまだ自我意識を持っていません。自分と他人の区別が明確でない「自他未分」の状態にあります。

 

 

 

 

その後、成長するにつれて自他が区別され、他人と線引きされた「自分」という意識が芽生えるようになります。

 

 

 

 

第一反抗期である2~3歳ころから、親(親がいないときは親代わりの人)の影響を受けて自我意識を形成し始めるようになり、思春期の始まる12~13歳ころに自我意識がほぼできあがります。

 

 

 

 

自我意識の枠組みがはっきりした状態になると、「自分」の存在が気になり、その自分を客観的に捉えようとする「自意識」の働きが活発になります。

 

 

 

 

自意識は、他人と接するときの自分の言動などを評価し、批判しますから、自意識によって自然な言動が妨害され、人間関係へのこだわりが強まります。

 

 

 

 

そこで、思春期に自意識が強くなると、自分のことにこだわりやすくなり、対人関係や対人恐怖も強まります。

 

 

 

 

大人に対しては、自分を一人の人間として扱うことを求め、また、自分のことを理解してくれることを強く求めます。

 

 

 

 

親のいいなりになることも、いやがるようになります。これが第二反抗期です。

 

 

 

 

ところが、子どものひきこもりの問題で、関東自立就労支援センターを訪れる親は、「うちの子には反抗期が見られなかった」ということがとても多いのです。

 

 

 

 

反抗期の反抗は、精神的な自立に向かおうとする自己主張の表れと見ることができます。

 

 

 

 

親の支配に対する反抗を通して親離れし、自立の方向に向かい始めるのが、自然な成長です。

 

 

 

 

しかし、親に不満があっても、反抗して親子関係がこじれることを子どもが恐れる場合は、反抗的な言動は出にくくなります。

 

 

 

 

このように考えると、むしろ反抗的な言動がない場合のほうが、実質的な親子関係はよくないと考えられます。

 

 

 

 

反抗を抑圧していると、不満は内向化してストレスとして溜まり、やがてストレス症状や非行として表れるようになります。

 

 

 

 

つまり、ひきこもりの状態や非行は、かたちを変えた反抗の表れであり、それが表れたときこそが反抗期と見ることができます。

 

 

 

 

したがって、20代や30代に初めてひきこもりになる場合は、思春期に見られるはずの反抗期の段階が遅れてやってきたと考えられます。

 

 

 

 

そう考えると、思春期の期間というのは、一般に思われているよりもかなり長い期間だといえるでしょう。

 

 

 

 

つまり、小学5年生くらいから、人によっては30代前半くらいまでが、思春期だと考えられるのです。

 

 

 

 

そこでわたしたちは、この長い思春期の間に始まったひきこもりのことを「思春期型ひきこもり」と呼んでいます。

 

 

 

 

思春期型ひきこもりの人の多くは強い心的葛藤があり、ひきこもりの諸特徴がはっきりしています。

 

 

 

 

そのようなケースを、わたしは「典型タイプ」としています。なぜ、わざわざ典型タイプと呼ぶかと言いますと、なかにはひきこもりの諸特徴がはっきりしないひきこもりのケースがあるからです。

 

 

 

 

わたしはこれを「非典型タイプ」としています。思春期型ひきこもりは、典型タイプであるのが普通で、非典型タイプのほうが例外的です。

 

 

 

 

特に長期間ひきこもっている人は、否定的思考、否定的感情に支配された否定的な生き方をしており、ほぼ典型タイプといえます。

 

 

 

 

典型タイプの人は、まじめに「良い子」としてがんばってきた人、つまりがんばって「良い子ロボット」を演じてきた人がほとんどです。

 

 

 

 

性格類型で分けますと、「従順型」と「勝気型」があります。従順型は、おとなしくて親からすれば「育てるのに手がかからなかった」タイプの人です。

 

 

 

 

勝気型は、目立ちたがりで、リーダー的にふるまうタイプです。親に文句を言うこともありますが、たいていの親は「子どものわがまま」くらいに見て、あまり耳を真剣に傾けません。

 

 

 

 

いずれにしても、典型タイプは交友関係が切れていることが多く、続いていたとしても1人か2人といった少人数とのつながりだけです。

 

 

 

 

非典型タイプは、思春期以降の年齢に達していてもひきこもりの諸特徴があまりはっきり見えず、特に生き方に対する悩みがはっきり感じられず、あまり苦しんでいるようには見えないケースです。

 

 

 

 

このタイプは親に対して攻撃的な場合と、親にとってあまり手のかからない場合があります。

 

 

 

 

このタイプは、低年齢の子どもほどではないにしても感性の発達が未熟で、精神的に幼いために「どう生きるか」という問題意識に出会えず、悩みを悩みとしてしっかりと受け止められない状態にあるといえます。

 

 

 

 

ですが、だからといって、ひきこもりの生活を「居心地がいい」と感じているわけではありません。

 

 

 

 

やはり、自分のなかの不安や恐怖が、「ちゃんとしよう」とするのを妨害している状態にあります。

 

 

 

 

それは苦しみであるはずですが、苦しみとして自覚できにくいぶん、本人へのカウンセリングで自己理解を深めにくい難しさがあります。

 

 

 

 

非典型タイプの人は、親に手をやかせることで自分に関心を向けてもらおうとしたり、消極的で自信がなかったり、情緒的に不安定だったりします。

 

 

 

 

親に対して攻撃的な場合は、不登校であっても、長期間のひきこもりにはならず、アルバイトをしたり、専門学校などへ行き始めたりすることが多くあります。

 

 

 

 

ひきこもっている間も外出をしたり、何人かの友人との続いているなど、しばしば典型タイプよりが少し元気な感じを受けます。

 

 

 

 

たとえば放課後、友人らが来宅したり、夜になると友人がたむろしているところに出かけて行ったりします。

 

 

 

 

 

友人らと一緒にゲームセンターなどに行くこともあります。その友人たちも、似通った問題を抱えていることがよくあります。

 

 

 

 

必ずしも心を開いた深いつながりがつくられているわけではないのですが、互いの存在に許容的であり、一緒にいることで自分たちの居場所があるように感じられるのです。

 

 

 

 

そのグループが、暴走族などの非行グループになっている場合もあります。明確な非行グループでなくても、うっぷん晴らしのようなかたちで非行行動に出たり、その日に合流した別のグループと非行に出ることもあります。

 

 

 

 

「親父狩り」やホームレス襲撃などの暴力事件になることもあります。非典型タイプのなかには、典型タイプに比べるとあまり手もかからず問題が小さいように見える場合もありますが、親が仕事をすることを勧めたりすると、そのときだけ強い反発を見せることがあります。

 

 

 

 

このなかには、消極的で自信のない人が含まれています。小学校低学年より不登校状態が続くなど、長期化することが多く、やがて典型タイプに合流します。

 

 

 

 

非典型タイプも、ストレスをためている状態にはかわりないので勉強意欲は低下しており、朝もなかなか起きられません。

 

 

 

 

また、自己否定感を持っている点も典型タイプと共通しています。非典型タイプに多いのは、典型タイプと同様に、親が「良い子」を期待して本人もそれに応えようとしたが、うまく演じられなかった子どもです。

 

 

 

 

幼いころからずっと消極的で無口だった場合、親を含めた周囲の人に心を閉ざしがちで、学校にも適応しにくくなります。

 

 

 

 

その場合も、気の合う友人や自分の世界が見つかれば、外部との交流が生まれやすくなります。

 

 

 

 

思春期型ひきこもりの非典型タイプは、10代にときどき見られます。

 

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