引きこもりの家庭と人間不信
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引きこもりの家庭と人間不信

引きこもりには、人間不信、感情マヒ、対人恐怖、自殺願望など多彩な症状があります。

 

 

 

 

また、引きこもりにもっとも共通する症状は、人間不信です。人に安心できない、人といると緊張するなどの症状は、引きこもりが人間関係の病理であることを示しています。

 

 

 

 

さらに、感情マヒ、不眠、心因性の身体症状も見られます。身体症状というのは手に汗をかく、手が震える、腹痛、下痢、体が緊張するなどです。

 

 

 

 

これは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)によく見られる症状です。引きこもりの人には離人症の症状を訴える人も多くはありませんが存在します。

 

 

 

 

離人症とは自分を外から漠然と眺めるような症状のことで、極度のストレスで生じる解離性の症状として知られています。

 

 

 

 

さらに、うつや自殺願望まであるので、引きこもりはトラウマと関係する病気であることがわかります。

 

 

 

 

子供がこのような心の傷を持つに至る家庭環境にはどんなものがあるのでしょうか。

 

 

 

 

関東自立就労支援センターの相談者に限って言えば、引きこもりの家庭は中流以上、親は社会的地位が比較的高く、経済的に困窮している家庭はあまり見られません。

 

 

 

 

離婚は国民平均より少ないですが、夫婦仲が良くないのが特徴です。引きこもりは両親の冷たい夫婦関係についてよく語ります。

 

 

 

 

こうした家庭は子供が親に安心して甘えられる状況ではありません。親は何のために結婚しているのかわからない、親同士でもあまり会話がない、うちは仮面家族だったとは、相談者がよく口にする表現です。

 

 

 

 

一方で、持ち家が多く、子供には小さい頃から個室を与え、教育にも金と時間をかける家庭が多いのが特徴です。

 

 

 

 

親にはアルコール依存症の問題はありません。しかし、ほとんどの親がワーカホリック(仕事中毒)です。

 

 

 

 

大雑把に言えば、父親は仕事人間、母親は専業主婦で教育熱心という図式が浮かんできます。

 

 

 

 

一般的に言うと、引きこもりの親は世間体にこだわり、子供を甘やかすことを悪いと考えるまじめな親のイメージが浮かびます。

 

 

 

 

つまり、引きこもりの家庭はどこにでも見られる日本の中流以上の家庭です。

 

 

 

 

引きこもりの家庭の大きな特徴の一つでもあるのですが、極端に破綻した家庭環境と虐待の問題がありません。

 

 

 

 

そして、私の相談者である引きこもりには、性的虐待がまったく報告されていません。

 

 

 

 

日本の引きこもり家庭は、児童虐待の報告が多いアメリカの家庭とはあきらかに違います。

 

 

 

 

しかし、感情的ネグレクトが極端に多いという特徴があります。感情的ネグレクトとは、子供に関心を払わないこと、つまり、無視のことです。

 

 

 

 

多くの引きこもりは感情表現が乏しく、コミュニケーションの欠けた家庭で発生しています。

 

 

 

 

この環境に、さらに感情的虐待と学校のいじめが加わります。こうした家庭では衣食住は満たされているものの、親に子供の気持ちや考えを理解する習慣がなく、子供の愛されたい、理解して欲しい、認めてもらいたいなどの感情的要求が無視されてしまいます。

 

 

 

 

困ったときに親に相談しないのは、相談者に共通する特徴です。引きこもりの人は子供の頃から親をあまりあてにしない傾向があり、特に、いじめられた時に助けてもらえなかったために、ことさら親を信用しなくなったケースがかなりあります。

 

 

 

 

さらに、世間からは見えにくい巧妙なやり方で、子供に苦痛を与える親もいます。

 

 

 

 

こうした家庭環境がトラウマとなって、子供は親を信用しなくなり、次第に心を閉ざしていきます。

 

 

 

 

引きこもりの人は、成長期に自由な自己表現ができなかった人たちが多いように感じます。

 

 

 

 

具体的には、幼児期に親に甘えていない、親に本当の自分を隠したなどです。

 

 

 

 

つまり、子供らしさを表現できなかったと言っていいでしょう。子供の頃から大人に合わせていた、それが成長してからの対人関係の問題に発展しています。

 

 

 

 

「引きこもりには長男と長女が多い」とよく言われますが、これは長男や長女が他の兄弟よりも甘えたり、わがままを言う機会が少なかったからかもしれません。

 

 

 

 

親に甘えられなかったのは、引きこもりに比較的多く見られる体験です。

 

 

 

 

関東自立就労支援センターに相談に来た人たちは、次のようなコメントをしています。

 

 

 

 

〇 4歳の頃、子供らしさを押し殺していた。保育園にあがった時に、甘えたい気持ちはすでになかった。(28歳・男性)

 

 

 

 

〇 親に本当のことは言えなかった。それは親に気をつかっていたから。親が何を考えているのか今でも正直わからない。(17歳・女性)

 

 

 

 

〇 お姉ちゃんなんだから我慢しなさい。いつもそればかり。長女だから寂しくても泣けなかった。(28歳・女性)

 

 

 

 

〇 親に安心して甘えたことがなかった。親には今でも甘えられない。甘え方もわからない。(33歳・男)

 

 

 

 

こうしたコメントは親子のコミュニケーションの弱さを意味しています。多くの引きこもりの人は、親に本音を言えず、良い子として育っています。

 

 

 

 

「引きこもる前はとてもいい子だった」とは、多くの親の言葉です。

 

 

 

 

しかし、こうした親は、自分の子供が親を怖がり、本当の自分を見せなかった事実に気づいていないようです。

 

 

 

 

世間では引きこもりを甘やかしの結果と考えていますが、現実は逆です。

 

 

 

 

引きこもりは「親に甘えられないために起こる現象」なのです。では、子供らしさを表現できない家庭とは、どのような家庭なのでしょうか。

 

 

 

 

いくつかの親のタイプがあります。

 

 

 

 

感情表現しない親

 

 

 

 

引きこもり家庭で多いのは、感情表現しない父親が子育てに参加せず、夫婦仲が冷たい場合です。

 

 

 

 

こうした家庭では母親も感情を表現しなくなります。

 

 

 

 

多くの引きこもりは「親が何を考えているのかよくわからない」と言います。

 

 

 

 

彼らにとって、本音を言わない親とは、「感情のないロボット」「あやつり人形」「幽霊」なのだそうです。

 

 

 

 

ある引きこもりの男性は、親のことを「あの人たちは人間ではない。ゾンビだ」と言い切りました。

 

 

 

 

「親が不気味」とまで言い切るのは、親子の感情的なつながりが欠けた証拠です。いくつかコメントを紹介します。

 

 

 

 

〇 お父さんは何を考えているのかわからない。お父さんがそばにいると緊張する。(17歳・男性)

 

 

 

 

〇 父は怖い。何を考えているのかぜんぜんわからない。休みの日に父がいるのが苦痛だった。(29歳・女性)

 

 

 

 

〇 僕に何の感情表現もしない父親がずっと憎かった。(16歳・男性)

 

 

 

 

〇 母は何を考えているのかよくわからない。私は3、4歳の頃から母親の顔色を見てばかりいた。母はいつもイライラしていたが、なぜそうなのかは教えてくれなかった。会話がなくて怒るだけだった。(28歳・女性)

 

 

 

 

こうしたコメントは感情表現が乏しく、コミュニケーションの欠けた家庭の雰囲気をよく伝えています。

 

 

 

 

感情表現しない親は悪意からではなく、もともと感情を表に出す習慣がないか、あるいは結婚生活の不満やストレスの多い生活の中で感情を表すのを止めた人たちです。

 

 

 

 

しかし、親が感情表現をしない家庭環境の中では、子供たちも感情表現をしなくなります。

 

 

 

 

35歳の男性の相談者は、自己表現しなくなるプロセスをこう語っています。

 

 

 

 

〇 僕が怒ったり泣いたりしても、親は知らんぷりです。親が反応しないのに感情表現してもしようがないし、反応が返ってもがっかりすることばかり・・・・。それに、感情表現すると親が嫌がるので、自己表現を止めるのです。外部の人間に自分を表現する、たったそれだけだけど、それができないためにおかしくなるのです。(35歳・男性)

 

 

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