引きこもりとPTSD
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引きこもりとPTSD

多くの引きこもりの人たちは、10年以上も前の出来事(多くの親がすでに忘れているような出来事)を今でもくどくど言い募ります。

 

 

 

 

「僕がいじめられて帰ってきたとき、お母さんは『でも、あんたも悪いんじゃない』って叱った」「俺があの時、どんなに悔しかったか、分かるか」などと怒りを爆発させます。

 

 

 

 

39歳を過ぎた引きこもりが繰り返し訴えるとき、親も最初は謝るのですが、何度も何度も昔のことを聞かされるので、つい「もっと前向きに考えたらどうか」「もう過ぎたことではないか」と言ってしまいます。

 

 

 

 

ただ、親も引きこもりの当事者もこのような感情の発露がPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状とは気づいていないようです。

 

 

 

 

過去の事件を何度も話したり、感情を突然爆発させたり、前向きの生活をしないのはPTSDの症状です。

 

 

 

 

以下は、PTSDに関連する症状ですが、引きこもり当事者も親も、当てはまる症状があることに気づくと思います。

 

 

 

 

1、過去のトラウマの中で生きている。(過去の事件や裏切りをくどくど話す。過去のトラウマの悪夢を見る。過去にとらわれて、前向きに生きられない。)

 

 

 

 

2、心因性の身体症状(下痢、吐き気、腹痛など)、体の緊張(首、肩のこり、体の痛み、手の汗など)、体が思うように動かない。

 

 

 

 

3、過去のトラウマに関する人や事柄を避ける。

 

 

 

 

4、勉強、仕事など重要な活動をしない、あるいは興味を失う。

 

 

 

 

5、結婚、仕事、家族を持つなど、ふつうの生活をできないと感じる。

 

 

 

 

6、人間との絆が切れている(孤立感、引きこもるなど)。

 

 

 

 

7、感情が麻痺している。

 

 

 

 

8、不眠、昼夜逆転の生活をしている。

 

 

 

 

9、慢性的な興奮状態、感情の爆発など。

 

 

 

 

10、集中力の低下。

 

 

 

 

PTSDは、アメリカのベトナム帰還兵から広く知られるようになった心理障害です。

 

 

 

 

PTSD研究で知られるアメリカの精神科医バン・デル・コルク博士は戦闘によるPTSD症状について次のように述べています。

 

 

 

 

「戦闘によるPTSDの身体的および感情的症状としては、冷淡さ、イライラしやすい、身体の動きが鈍くなること、無気力、心理的引きこもり、交感神経の活動、驚きやすいこと、不安と抑うつ状態、感情の乏しさ、混乱、腹部の痛み、吐き気と嘔吐、攻撃的行動と敵対的な態度、強迫行動、疑り深さなどがある。

 

 

 

 

こうした症状は普遍的なものであり、文化の違いに関わらず、どの時代の戦場の兵士たちにも観察される。」

 

 

 

 

べトナム帰還兵は、社会参加を忌避することでも知られています。

 

 

 

 

アメリカ社会のホームレス男性の3分の2はベトナム帰還兵だといわれています。

 

 

 

 

精神科医のジョナサン・シャイ博士は、ベトナム帰還兵の社会的孤立についてこう述べています。

 

 

 

 

「ベトナム帰還兵は、一般市民よりも3倍も高い確率で、ホームレスや放浪生活に入りやすい。

 

 

 

 

全国ホームレス連合の調査によると、ホームレス男性の3分の2はベトナム帰還兵であり、一晩に15万から25万人の割合で帰還兵はホームレスの一夜を過ごすか、その2倍以上が年間のある時期にホームレス生活をしている。

 

 

 

 

ベトナム帰還兵は一般市民よりも3.5倍も高い比率で同棲生活をしており、彼らは正式な結婚生活から遠ざかる傾向がある。」

 

 

 

 

ホームレスになる恐怖は、多くの引きこもりに見られます。

 

 

 

 

まともな結婚生活を考えられない彼らは、ホームレスにならなくても、人とあまり会わなくてすむ夜勤の工員や警備員のような仕事で一生を終えると思っています。

 

 

 

 

こうしてみると、引きこもりにはかなりのPTSD症状があります。

 

 

 

 

しかし、引きこもりには、原因としてベトナム帰還兵のような生命の危険を感じたストレスが見当たりません。

 

 

 

 

では、戦場体験もない引きこもりになぜPTSD症状があるのでしょうか。

 

 

 

 

 

引きこもりのストレスは、ベトナム帰還兵のような短時間の戦場ストレスではなく、長期間の感情的ネグレクト(無視)、感情的虐待、裏切りなどが原因となっています。

 

 

 

 

こうした長期間積み重なったストレスは「複合的トラウマ」と呼ばれています。もともと弱い親子関係にいじめが加わると、かなり強いストレスになります。

 

 

 

 

これが長期間にわたって続く場合、複合的トラウマが発生し、PTSDを発病させるほどのトラウマになります。

 

 

 

 

引きこもりの家庭では、多くの親が子どもをいじめから守ることに失敗して、子どもとの感情的つながりを失っています。

 

 

 

 

引きこもりは根底に怒りを抱えていますが、それは自分を裏切った親に対する怒りでもあります。

 

 

 

 

この状態になるまでには、子どもは何十回も親への失望や裏切りを体験しています。

 

 

 

 

いじめ被害者の多くが対人恐怖になっていますが、「対人恐怖」は日本特有の病気です。

 

 

 

 

アメリカの精神障害マニュアルDSM-IVは「Taijin Kyofu」という名称を与えています。DSM-IVの記述を見てみましょう。

 

 

 

 

「日本特有の恐怖症。DSM-IVの社会恐怖症に似ているところがある。この症候群では、当事者は自分の印象、匂い、顔の表情、動作が他人を不快にしたり、困惑させたり、怒らせることに強い恐怖心を抱く特徴がある。

 

 

 

 

対人恐怖症は、日本の精神障害マニュアルに公式に記載されている。(精神障害マニュアルDSM-IV)」

 

 

 

 

対人恐怖の背後には報復の恐怖があります。いじめ被害者は一人でも怒らせると集団で報復されると恐れています。

 

 

 

 

引きこもりに限らず、いじめから人間が怖くなった人は、人間すべてが不気味な怪物のように見えます。

 

 

 

 

人間は自分を侮辱し、嘲笑し、傷つける狼の群れのようなものです。被害者の声を聞いていきましょう。

 

 

 

 

彼らが訴えるのは、「対人恐怖の深淵」といった内容です。

 

 

 

 

○ 友人がある日怖くなる。友達がひとつの集団に見えて、個人の顔が見えない。(24歳・女性)

 

 

 

 

○ 相手が何を考えているのかわからず緊張する。自分を出すと傷つけられる。集団が怖い。(19歳・男性)

 

 

 

 

○ 友人が突然恐ろしくなる。学校は安心できる場ではなかった。学校生活に疲れる。(31歳・女性)

 

 

 

 

関東自立就労支援センターに相談に来るいじめ被害者は「結婚できない問題」を抱えています。

 

 

 

 

人を信用できないために異性と親しくなれないのです。結婚しない若者が増えて、日本の人口が減少しています。

 

 

 

 

誰も議論しませんが、人口減少の背後にはいじめで結婚できなくなった若者がかなりいるはずです。

 

 

 

 

彼らは世の中を危険なもの、自分に敵対するものに満ちたものと考えており、異性とかかわれなくなっています。

 

 

 

 

いじめは、PTSDを発症させるほどのトラウマ体験なのです。

 

 

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