ひきこもりと家庭環境
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ひきこもりと家庭環境

 

 

 

 

 

好きなことを話題にしているとき、人は誰でも自然に雄弁になります。そして、相手に対してもよい感情を抱きます。自分の好きなことを話すのは楽しいからです。

 

 

 

 

嫌いなことを話題にしても楽しくないので、自然に口数は少なくなります。このようなことは言われなくてもみんな知っていることですが、親は子どもに対してこの事実を忘れがちです。

 

 

 

 

ひきこもりの子どもを持つ親御さんが「うちの子はいくら話しかけても、ろくにしゃべってくれません」と嘆きますが、そうなるまでに親はその子にとって嫌なことを話題にすることが多かったはずです。

 

 

 

 

子どもの顔を見れば、文句やお説教をする親がよくいます。特に父親に多いのです。子どもとはゆっくり話すチャンスがないし、たまにしか顔を合わさないので「よい機会だ」と思って、ついつい教育的な気持ちから文句が出るのでしょうが、残念ながらそういう「親心」は子どもにはなかなか通じません。

 

 

 

 

父親だったらむしろ、勉強のことはいっさい触れずに、子どもが目を輝かせるような事柄を話題にすべきです。たまに交わす会話だったらなおさらです。

 

 

 

 

ある父親は、自分がむかしオートバイ狂いをしていたことを話すことで、息子との良い関係を取り戻しました。一家団らんがなくなってから、子どもは親の真の姿を意外に知りません。

 

 

 

 

父親も母親も、自分の人生の歩みをもっと親子の会話を通して子どもに知らせるべきです。自分がかつて描いていた夢や希望、なりたかった職業、青春時代に打ち込んだ事柄などを子どもに伝えるのです。

 

 

 

 

親のそういう言葉に子どもは意外に敏感です。何気なく言った親の一言を、子どもはよく覚えているものなのです。相談室に来た子どもの中に、すごく将棋が好きな子がいました。

 

 

 

 

わたしはそのことに気づいて、将棋の話を積極的にすることで、かたくなだったその子の心を開くことに成功したことがあります。実は、その子のお父さんもかつては将棋狂いだったのです。でも、その事実を子どもはまったく知らなかったのです。

 

 

 

 

もし、もっと早い機会に父子が共通する趣味を持っていたことに気づいていれば、親子の関係はそんなに険悪にならなかっただろうし、子どももひきこもりにはならなかったに違いありません。

 

 

 

 

親子というのは言うまでもなく、遺伝子でつながっています。遺伝子でつながっていれば、親の好きなことはだいたい子どもも好きなはずです。親子の楽しい共通項を見つけることができれば、自然に親子関係はうまくいきます。

 

 

 

 

そのためにはお互い好きなことを話題に会話を交わすことがいちばん効果的なのです。わたしたちのようなカウンセラーの仕事の大半は、相談者の話に耳を傾けることです。

 

 

 

 

これを身につけることを傾聴訓練と呼んでいます。人から好かれるもっともよい方法は、相手の話をよく聞いてあげることです。「あの人は好い人だ」と言われたかったら、何はともあれ相手の話をよく聞くことです。

 

 

 

 

それだけで人はあなたに心を開くようになります。子どもは自信のあること、うまくいったこと、おもしろいこと、好きなことは聞いて欲しいと思っています。

 

 

 

 

親が子どもの話を聞いてあげるだけでうれしくなって、聞いてくれる人に信頼、愛情、尊敬の気持ちを抱くようになります。親も最初は子どもの話をよく聞いてあげていたはずです。

 

 

 

 

言葉がやっとしゃべれるようになった小さい子どもが何か言ってくると、たとえそれがどんなに些細なことでも、ちゃんと聞いてあげていたはずです。

 

 

 

 

ところが子どもが長じるにしたがって、だんだん聞いてあげなくなり、逆に親の考えや期待を言うようになり、やがてそれを押しつけるようになります。こういう話をすると「いいえ、わたしは子どもの話をちゃんと聞いてあげています」というお母さんがけっこう多いのです。

 

 

 

 

「じゃあ、一度録音して確認してみるといいですよ」録音して自分が何を言っているのかを確かめてみるといいでしょう。よく聞いてあげているという親ほど、一方的にしゃべっています。そのことに自分が気がついていないだけなのです。

 

 

 

 

今まで自分の話をよく聞いてくれていた人が、聞いてくれなくなったときのダメージは想像以上に大きいものです。子どもにとって、自分の話の最大の聞き手は親です。

 

 

 

 

そして、ほとんどの子どもが「自分の話を親が聞いてくれなくなった」という経験をしているものなのです。ただ、子どもはそのことを明確に意識しているわけではありません。何となく違和感を感じています。

 

 

 

 

そして、反発したり会話を避けたりするようになるのです。こうした好ましくない状態がずっと続いているとしたら、そのことに親が気づいても、急によい会話ができるとは限りません。

 

 

 

 

そういうとき、お子さんとする会話はとりあえず次の二点にしぼってみるとよいかもしれません。一つ、お子さんの「困っていること」を聞いてあげること、二つ、お子さんの「希望」をきいてあげること、この二つです。

 

 

 

 

家庭環境とは親の生き方である

 

 

 

 

子どもに変わってもらいたいと一生懸命な親がいます。でも、人を変えようとする努力はほとんど失敗します。このことは夫婦関係でも明らかなことです。

 

 

 

 

家事をしっかりとしてもらいたいと思っている夫が、家事の嫌いな妻をどう導いたらいいのでしょうか。「妻なんだから家事をやるべきだ」などと理屈で攻めてもたいていうまくいきません。

 

 

 

 

それよりも「夫のためにおいしい料理を作りたい」とか「夫の喜ぶ顔が見たい」と思わせたほうが、はるかに早道です。子どもの教育も同じです。勉強好きな子どもにしたかったら、親がまず勉強好きになることが大切です。

 

 

 

 

礼儀正しい子どもにしたかったら、まず親が率先して礼儀正しい態度を見せることです。親孝行の子どもになってもらいたかったら、自分がまず親孝行をすることです。

 

 

 

 

テレビでよく子沢山の家族の暮らしぶりを放映しています。子どもがそれぞれ役割分担をして両親の手伝いをしています。毎日親が一生懸命に生きている姿を見ているから、黙っていても子どもたちは親を見習うようになるのです。

 

 

 

 

「子どもは親の言うようにはしないが、するようにはする」といいます。本当にその通りだと思います。わたしのこれまでの経験では、不登校やひきこもりには必ず家庭環境がからんでいます。

 

 

 

 

家庭環境とは親の生き方といっても過言ではありません。だから子どもを良い方向に変えたいと思ったら、まずその前に自分の行き方を点検してみて、親自身が変わる必要があります。

 

 

 

 

親が変われば、子どもも変わるものです。

 

 

 

 

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