ひきこもりが長引く理由
最近のひきこもりは長引く傾向にあるように感じます。
ひきこもると外部との接触が希薄になります。
人は他人との接触なしには生きていけません。だから本来的に言えば、ひきこもりはそう長くは続かないはずなのです。
長引く理由ははっきりしています。
1980年代にひきこもりを増やしたのはテレビゲームです。
学校へ行かないで、終始部屋に閉じこもってテレビゲームに没頭します。
そういう子どもがたくさん出現しました。
ですが、テレビゲームは機械相手の対話です。
人間との接触はできません。
それで物足りなくなって、多くの子どもが学校へ復帰しました。
当時のひきこもりは、とくに小中学生にとっては、長く続きませんでした。
いまのひきこもり環境は以前よりも整っています。
パソコンが普及したからです。
パソコンはインターネットを使って外部と接触ができます。
また、携帯電話の普及もそれに拍車をかけました。
自分の部屋に一日中閉じこもって一歩も外へ出なくても、友達と対話できるし、社会へ向かって自分の意見を発表することもできます。
ひきこもっていても、コミュニケーションは可能なのです。
もちろん、そのあり方は健全とは言えません。
ゲーム機で遊ぶ時間の長い子ほど、現実と非現実の入り混じった世界へ誘われやすいといいます。
この傾向はパソコン、携帯電話、スマホで拍車がかかったはずです。
80年代のひきこもりの増加を第一次引きこりブームとすれば、インターネットと携帯電話が普及した現在は第二次ブームと表現してもよいでしよう。
第一次よりも第二次のほうがやっかいなのは、前にも申し上げたように、閉じこもっていることにほとんど痛痒を感じなくてすむようになったからです。
この変化で唯一好ましい兆候と言えば、家庭内暴力が減ったきたことです。
しかし、現実と非現実の区別が曖昧になることは恐ろしいことです。
なぜなら、生身の人間の喜怒哀楽が理解できなくなるからです。
といって、親がパソコンや携帯電話を取り上げるのは得策ではありません。
それを通じて、人間関係で得られる喜びや楽しみ、感動をなんとか経験させてあげたいと思います。
パソコンはそれもできるからです。
誰でもひきこもり願望がある
長い間、一人でいると、無性に他人の中へ入っていきたくなります。他人と会うことで、自分が癒されるということがあるからです。
しかし、ずっと人といっしょだと、今度は逆に「一人になりたい」と思うようになります。
「孤独はこの世でもっとも恐ろしい苦しみだ」
「孤独は知恵の最善の乳母である」
よりよく生きるためには、両方が必要だということでしょう。
誰もが一人になりたいときがあります。
だから、子どもが自分の部屋に閉じこもって、家族とろくに会話をしなくなったからといって、あわてる必要はありません。
むしろ、精神的な成長を遂げる時期には、孤独癖が出てきます。そういう時期がきたのだと思えばいいのです。
最近はひきこもりが社会的な現象になり、マスコミの話題になることが多いため、親のほうが過剰に気にして騒いでしまうことがよくあります。
しかし、へたに騒ぐことは得策ではありません。
問題のあるひきこもりか、たんに「孤独な時間」をほしがっているのか、それがはっきりするまで、一定の猶予を与えてあげてください。
その間は、親にとっては不安かもしれません。
でも人との関わりを、一時期であれ完全に遮断することで、心の充電をして元気を取り戻すのであれば、それは明らかにプラスになることではないでしょうか。
ひきこもりの子どもは寂しがり屋である傾向が強いように思います。
ひきこもりの子は、好んで対人関係を避けているわけではありません。
何らかの理由で、対人関係を避けざるを得ない状況に追い込まれているのです。
本当は、ひきこもりたくなんかないのです。みんなといっしょにおしゃべりしたり、楽しんで過ごしたいのです。
そういう思いが強いということを、周囲の人間は理解してあげることが対応を誤らないためには大切なことです。
では、自分の思いと裏腹な行動を取るのはなぜでしょうか。
それは、彼らの心の扉が閉じられてしまったからです。
何か問題を抱え、それを誰かに話したり支援してもらいたいと思ったときに、誰も応じてくれなかった、あるいはバカにされたり、非難されるなど、自分にとっては不本意な対応をされてしまった。
そういうことがたび重なって、「自分を分かってくれる人間が一人もいない」との思いを強く抱いてしまっているのが特徴です。
ひきこもりを取り上げたNHKのトーク番組に、20代後半のひきこもり中の若者が出演してこう述べていたのが印象的でした。
「参加すれば何かが得られると思っていたのに、みんなきれいごとばかりで、少しも参考にならない。出てきて損した感じだ」
この番組には教育評論家をはじめ何人かの識者が出演していて、思い思いの意見を述べていました。
ですがせっかくの識者の意見も、引きこもり中の若者の心を少しも動かせなかったのです。
それはなぜでしょうか。それは、彼らの心の苦しさがよく理解できないまま、処方箋を出しているからです。
彼らは必ずしも処方箋を求めていません。どうすればひきこもりから脱出できるかを、彼らは求めてはいないのです。
それよりも、自分たちの苦しい胸中を理解してもらいたいと思っているのです。
理解さえしてもらえれば彼らは満足し、そこから次への第一歩が踏み出せるような気持ちなのです。
その意味でひきこもりの子は共感してくれる人をひたすら求めている寂しがり屋といってもよいのかもしれません。
といって「君の気持ちはわかるよ」と単純に言葉に出して言えば、彼らは「わかってもらえた」と思うほど、単純ではありません。
こちらが裸の心で、偽らない自分の気持ちを相手にぶつけながら、なおかつ相手の胸中を察する、そういう理解のしかたでなければなかなか通用しません。
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