子どもに不登校の前兆が見られたら
ホーム > 子どもに不登校の前兆が見られたら

子どもに不登校の前兆が見られたら

不登校の始まり方には、大きく分けて2つのタイプがあります。一つは、遅刻や早退や断続的な欠席などの不登校傾向を前兆として示しながら、しだいに欠席日数が増加して、不登校となっていく場合です。

 

 

 

 

 

もう一つは、前兆がなくて、不登校が唐突に始まる場合です。前者の場合では、その不登校傾向などの前兆は、保護者をはじめとした周囲の人に、自分の辛さ、苦しさを伝える表現だと考えることができます。

 

 

 

 

 

その子どもの前兆に気づき、誰かが心理的に支えていた場合には、原則としてその人は不登校後も継続して関わったほうがよいと思われます。

 

 

 

 

 

なぜなら、不登校以前から子どもを支えていた人は、子どもから何らかの心理的な支えを期待されていた人だからです。

 

 

 

 

 

しかし、その努力にもかかわらず、不登校傾向が強まり、それが本格化したとすればその支えが十分ではなかったことが考えられます。

 

 

 

 

 

また、見当違いの支え方をしていた場合もあるかもしれません。たとえば、子どもを励まそうとして、かえって子どもを追いつめてしまうこともよくあります。

 

 

 

 

 

また、子どもの辛さに寄り添うつもりで、問題を悪化させてしまうこともあります。そこで、不登校傾向が悪化しつつある場合や、その結果、不登校に至った場合ではそれまでの関わり方、支え方を吟味し、見直す必要があります。

 

 

 

 

 

「事例」 小学2年生の登校しぶり

 

 

 

 

 

A君の登校しぶりが始まったのは、小学2年生の5月からでした。集団での登校班での登校を嫌がるようになり、母親との同伴登校となる日が増えました。

 

 

 

 

 

家庭では、この登校しぶりが始まってから、母親にしきりに甘えることが増えました。2歳年下の妹を押しのけて母親の膝に座ろうとしたり、母親の布団に入るようになったりして、年齢よりも幼い行動を示すようになりました。

 

 

 

 

 

困惑した母親は、スクールカウンセラーに相談しました。スクールカウンセラーは、「この子は甘えたりないようなので、十分に甘えさせるように」とアドバイスを与えました。

 

 

 

 

 

夏休みに入り、その間も母親はできるだけ本人の甘えを受け入れるようにしました。しかし、夏休み明けも登校しぶりはなくなりませんでした。

 

 

 

 

 

むしろ、母親と校門まで行かないと、登校することができなくなりました。自力で登校ができないために、母親に用事がある日には、登校することができませんでした。

 

 

 

 

 

相談を受けたわたしは、当面は、集団登校班の集合場まで母親が同伴し、そこで母親と別れることを提案しました。そして、その目標が達成できるたびに、母親が本人と妹の枕元で就寝時に30分間、本の読み聞かせを行うように言いました。

 

 

 

 

 

また、集団登校班での登校ができない場合には、枕元での本読みは、その半分の15分にすることにしました。この添い寝の本の読み聞かせは、本人がしてほしい活動として挙げたものです。

 

 

 

 

 

これは、幼稚園のときに行われ、最近は止めていた活動でした。また、1週間連続で目標が達成できた場合には、土、日のどちらかの曜日に、本読みとは別に30分間の「お母さん独占権」が子どもに得られるようにしました。

 

 

 

 

 

ただ、妹がそれを羨ましがることがないように、妹にも父親にも内緒でそれを行うように勧めました。その結果、2週間、母親と集団登校班の集合場所で母親と別れて元気に登校するようになりました。

 

 

 

 

 

次は、自宅と登校班の中間で母親と別れることを、さらに、自宅の前で別れることをそれぞれ2週間ずつ行い、完全登校となっていきました。

 

 

 

 

 

その後、順調な登校が続きましたが、この子どもが母親に甘えることでは、「お母さん独占権」は半月続きました。また、母親の添い寝の本読みは、その後数ヶ月継続しました。

 

 

 

 

 

でも自然にそれも要求しなくなりました。母親が「本読みは?」と問うと、子どもは「恥ずかしいから」と言い、子どものほうからこれらの活動は打ち切りとなりました。

 

 

 

 

 

この事例で、スクールカウンセラーが促した「甘えさせる」という方針は、本来は誤ったものではありません。スクールカウンセラーは、子どもに安心感を与え、ゆったりと子どもと関わり、その中で子どもの甘えを受け入れることを意味して言ったのだと思います。

 

 

 

 

 

それはそれでよかったと思います。しかし、この助言は、「母親自身が子どもを十分に甘えさせてこなかったので、登校しぶりの問題が起きた」かのように伝わってしまいました。

 

 

 

 

 

そのため、母親自身の子育てへの自信が揺らいでしまいました。母親は、より不安を感じながら子どもに関わるようになりました。

 

 

 

 

 

子どもが不安な表情になると、母親もそれに応じて不安になります。子どもが母親に甘えると、母親は余裕がなく、その子の甘えを許容しようと緊張しました。

 

 

 

 

 

その結果、子どもの不安と緊張は増幅され、登校場面は母子ともに緊張と不安をもたらす場になっていきました。

 

 

 

 

 

援助の見直し

 

 

 

 

 

このように、当初は不登校の前兆が見られ、その問題を援助しようとする母親の努力は、問題の解決に有効に働きませんでした。そこで、「甘えさせる」ことを、母親が具体的に行える明確な活動にしました。

 

 

 

 

 

それが、母親の枕元での本読みと、30分間の「お母さん独占権」という時間枠の設定でした。

 

 

 

 

 

母親は、兄を甘えさせることが、妹に及ぼす影響を懸念していました。そのために、「甘えさせなければ・・・・・」と思うものの、妹の視線のほうも気になっていました。

 

 

 

 

 

本読みは、妹も一緒に味わうものであり、「母親独占権」は、妹には知らされませんでした。それらはそのことへの配慮でした。

 

 

 

 

 

母親が四六時中、子どもの甘えに応じるのではなく、母親が確実に行えることを確実に移せばよくなりました。そのため、母親自身の緊張や不安は消え、限られた時間の中で、しっかりと子どもに向き合えばよいのです。

 

 

 

 

 

子どものほうは、自分の努力に報いる形で応分の甘える時間が確保されました。一方、うまく課題達成ができない場合には、枕元での本読みの時間は半減させました。

 

 

 

 

 

しかし、この時は、時間が半減する分、倍以上の気持ちで関わるように母親に促しました。その15分間を、A君の甘えたい気持ちに応える働きかけを工夫するように勧めました。

 

 

 

 

 

具体的には、時間が短いときは、子どもに意識して触ること、そして、「失敗をした日は、その努力をねぎらうつもりで、その時間内で目一杯優しく『今日はよくがんばったよ』『うまくいかなかったけど、がんばっていたのはちゃんと見ていたよ』との言葉をかけてほしい」と母親に伝えました。

 

 

 

 

 

このように、それまでの「甘えさせる」支え方を、問題解決との関連で見直したことで、登校しぶりは2ヶ月足らずで終息していきました。

 

 

 

 

 

不登校が突然始まった場合にまず行うこと

 

 

 

 

 

さて、前出の事例とは反対に、周囲に前兆を気取られず、まるで芯がポキリと折れたかのように、突然不登校になる場合があります。

 

 

 

 

 

この場合は、援助を求めることができなかった、あるいは、援助を求める気持ちになれなかったと理解できます。

 

 

 

 

 

もちろん、不登校の直前に強いストレスがいっきょに加わった場合もあるでしょう。しかし、これも周囲に援助を求める余裕がなかったわけで、援助を求めることができなかった場合に含めてよいでしょう。

 

 

 

 

 

そして、このような場合では、ぎりぎりまで我慢し、耐え続けてきた子どもが多いです。ぎりぎりまで我慢したがゆえに、不登校が唐突に始まるのです。

 

 

 

 

 

それだけ、学校で抱えてきたストレスが強く、傷つきも深いことが想定されます。にもかかわらず、限度になるまでに周囲に弱音が吐けず、弱い姿を見せることができなかったのです。

 

 

 

 

 

また、自分の気持ちを理解してもらえる相手がいないと感じていたことも考えられます。周囲から援助を受けられるものと感じていないのかもしれないし、それだけ外界を恐がっているのかもしれません。

 

 

 

 

 

このような、突然に不登校になった場合では、子どもから明確な拒絶がない限りは、原則としてできるだけすばやく対応します。

 

 

 

 

 

そのとき、周囲にいる人が行う対応で第一にしたいのは、辛い思いをしていたこと、苦しんでいたことに気づかなかったことを率直に謝罪することです。

 

 

 

 

 

「辛い気持ちでいたんでしょう?ごめんね、気がつかなくて」と、気がつかなかったことを謝るのです。そして、何か具体的にその子の感じていたストレスがありそうならば、それを探ります。

 

 

 

 

 

前兆の見られた場合なら、どこかに原因となることがあるか否かを探ることは、すでに行われているはずです。

 

 

 

 

 

ですが、突然の不登校の場合では、この確認もできていないからです。

 

 

 

メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-439-4355
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援