子どもたちが引きこもる理由
ホーム > 子どもたちが引きこもる理由

子どもたちが引きこもる理由

内気で、几帳面で、親の言うことをよく聞く「いい子」にしろ、積極的で、負けず嫌いのがんばり屋タイプの「いい子」にしても、その性格は「ストレスをためやすい」ということだけであって、すぐに、家庭内暴力、不登校、引きこもりなどの問題行動を起こすわけではありません。

 

 

 

 

 

もちろん、「いい子」たちがみんな「キレて」しまい、問題行動を引き起こすわけでもありません。

 

 

 

 

 

そこには、家庭内暴力、不登校、引きこもりなどの問題行動に出やすい理由があります。

 

 

 

 

 

その理由をつきとめることができれば「ストレスに負けない子ども」を育てるポイントが見えてきます。

 

 

 

 

 

関東自立就労支援センターの相談室にもっとも多く来所する「引きこもり」の子どもたちのケースを例にとって、この問題を考えてみることにしましょう。

 

 

 

 

 

引きこもるタイプには大きく分けて、「ひとり遊び嗜好型」と「燃え尽き息切れ型」の二つの傾向があります。

 

 

 

 

 

ひとり遊び嗜好型の子どもたちは、内気で、神経質で、鋭い感受性を持っている「いい子」タイプの子どもたちです。

 

 

 

 

 

このタイプの子どもは、不登校や高校中退をきっかけに、ひとりでいることが長期化すると、2、3ヶ月で引きこもりの生活に入ってしまうことが少なくありません。

 

 

 

 

 

学校へ行かなくなるだけでなく、あらゆる他者とのコミュニケーションからも身を引いてしまいます。

 

 

 

 

 

そして、孤独から仲間の輪に戻っていくコミュニケーション能力がこの後に問われてくるのです。

 

 

 

 

 

燃え尽き息切れ型のタイプは、目標の学校に入学したと同時に燃え尽きてしまったり、受験の挫折をきっかけに引きこもったりしてしまう子どもたちです。

 

 

 

 

 

小さいときから親や周りの大人の期待に応えようと、積極的にがんばってきた「いい子」たちです。

 

 

 

 

 

社交的で引きこもりそうにない活発な子どもでも、目標を失ってしまうと他者とのコミュニケーションから引きこもってしまうことがあります。

 

 

 

 

 

ただ、このタイプは次の新しい目標を見つけることができると、比較的早く立ち直ることができるようです。それは、人と関わるコミュニケーション能力が育っているからです。

 

 

 

 

 

誤解しないでほしいのですが、引きこもりはけっして病気ではありません。しかし、引きこもりが長期化すると精神的な病気になることもあります。

 

 

 

 

 

学校や職場といった人間関係が強制される場から一度身を引くことで、ひとまず精神的安定を維持している子どもたちのことを「引きこもり」と呼びます。

 

 

 

 

 

引きこもりは閉じこもりとは違います。状態としては、部屋にひとり閉じこもって一歩も外へ出ないこともあります。

 

 

 

 

 

でも、深夜であればコンビニに出かけたり、人通りの少ないところを選んでは散歩やジョギングにも出かけます。

 

 

 

 

 

自分の知らない人が集まる場所や、集団的要素の低い空間なら勇んで出かける子どもたちも多いのです。

 

 

 

 

 

つまり、状態としての自室への閉じこもりではなく、「人間関係から引きこもる」というのが引きこもりの本質です。

 

 

 

 

 

人間関係を取り結べずに、人と「触れ合いたいのに触れ合えない」で日々悶々と苦しんでいるのです。触れ合い方がつかめないで、孤立感にさいなまれているのが「引きこもり」の有り様なのです。

 

 

 

 

 

そして、そのような「引きこもりたい」気持ちは、みなさんもなんらかの形で抱いたことがあるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

引きこもりの子どもたちは、好きこのんで人間関係を遮断して引きこもったわけではありません。

 

 

 

 

 

コミュニケーションがとれず、心理的に傷つき、また再び絡み合う術を見出し得なかった事情があるのです。

 

 

 

 

 

相談室で出会う、「引きこもり」の子どもが共通につぶやく言葉があります。

 

 

 

 

 

「小さいころに、けんかして仲直りできるコミュニケーションを学んでいたら、たぶん不登校していなかったと思う」

 

 

 

 

 

引きこもりを何年も続けてきた子どもたちは、親や社会への悔しさをこのようにつぶやくのです。

 

 

 

 

 

子どもたちは、人とやりとりするチャンスにめぐりあえなかったことによって、人間関係を修復する能力が乏しくなっているのです。

 

 

 

 

 

つまり、自分の心を人との接触の中で”耕す”という手間暇のかかる人間関係づくりを怠ってきたため、「うっとうしさ」や「わずらわしさ」にもろいのです。

 

 

 

 

 

そのため、対人関係の距離感や親しさ、甘え方がわからないのです。

 

 

 

 

 

ひとり遊び嗜好型の子どもも、燃え尽き息切れ型の子どももどちらもその根拠にあるものは、「人とコミュニケーションをとる能力」が不しているということなのです。

 

 

 

 

 

つまり、コミュニケーション能力が不足している子どもたちが、不安や悩みを抱え、ストレスで行き詰ってしまったとき、「キレる」行動で、それまで抑えつけていた思いを吐き出すのです。

 

 

 

 

 

だから、キレる危機こそコミュニケーションの始まりと考えてもいいのです。

 

 

 

 

 

ひとり遊び嗜好型の「いい子」は、親の言うことに従い、消極的、依存的に行動する傾向が強いため、集団生活に対して苦手意識が強くなります。

 

 

 

 

 

親、それも多くの場合は母親以外との関わりをできるだけ避けて育ってきたため、人との争いごとや関わりがうまくできません。

 

 

 

 

 

友だち関係も限られていることから、十人十色の人との関わりをあまり体験していません。

 

 

 

 

 

そのうえ、こうした子どもが気質的にもっている豊かな感受性が、人間関係で傷つきたくないという気持ちをさらに強めていきます。

 

 

 

 

 

燃え尽き息切れ型の「いい子」は、積極的で自己主張が強いため、集団の中でリーダーシップを発揮することが多いようです。

 

 

 

 

 

でも、そこでのコミュニケーションは他者に命令するというワンウェイコミュニケーションであることが少なくありません。

 

 

 

 

 

また、学力やスポーツなどに優れた子どもは、周囲の大人からもてはやされてきたため、自分の思い通りに行動できるという気持ちが強くなります。

 

 

 

 

 

こうした子どもが、受験の挫折などがきっかけで孤独感を深めると、自分だけで孤立から抜け出すことが難しくなります。

 

 

 

 

 

わかりやすく言うと、頭を下げて「仲間に入れて」と周囲に近づいていくことができません。

 

 

 

 

 

今まで弱みを見せず、競争に打ち勝ってきただけに周囲と折り合っていくことがなかなかできないのです。

 

 

 

 

 

要するに、引きこもりという面から見ると、周りの大人や子どもとの関係で、自分自身の不満や弱音をはくことができない性格、コミュニケーション能力の低い子どもたちがさまざまな”問題行動”を起こしやすいタイプの子どもたちだと言えるのです。

 

 

 

 

 

一般に、”キレやすい”というと、気が短くて、怒りっぽい性格を連想しがちです。でも、キレることと怒りっぽいというのは別のことです。

 

 

 

 

 

かつて向田邦子さんが脚本を書いた「寺内貫太郎一家」に出てくるような”カミナリオヤジ”を想像してみてください。

 

 

 

 

 

気に入らないことがあると、ちゃぶ台をひっくり返して怒りを爆発させますが、実は人情に厚く、ガミガミ言いながらも周りに気をつかっているため、家族や周囲の人たちから恨まれたり憎まれたりすることがありません。

 

 

 

 

 

怒ったあとはカラッとしています。このタイプの性格は、自分の気持ちを怒りというかたちで表現しながら、ストレスを発散させているのです。

 

 

 

 

 

ですから、外から見ているほど不安や不満をためこまないことが多いのです。数年以上前のことですが、高校を中退して、約2年間自宅の居間に引きこもる青年を家庭訪問したことがあります。

 

 

 

 

 

そのとき、彼は「寅さんの映画が大好きなんです」と言って、何本も収録したビデオをわたしに見せてくれました。

 

 

 

 

 

好きな場面になると、何度も再生をしてくれるのですが、そのシーンは決まって寅さんと家族がけんかした後、お互いが疲れ果てて悲しんでいるとき、けんかで口汚くののしった言葉とは裏腹に寅さんを思いやるシーンでした。

 

 

 

 

 

「寅にあんなこと言っちゃったけど、どうしているのかなあ」と、おいちゃんがしみじみ語っていたり、「お兄ちゃん、大丈夫かしら」とさくらが心配したりするシーンでした。

 

 

 

 

 

そのシーンに続いて寅さんからさくら宛に旅先で書いたハガキが届きます。そのハガキにはけんかのことにはまったく触れられていません。

 

 

 

 

 

ただただ「おいちゃん、おばちゃん、ひろし、みつお」たちを心配する気持ちがつづられています。

 

 

 

 

 

引きこもる子どもたちは、「けんかしても仲直りできる」「互いを思いやれる」という体験をあまりしてきていません。

 

 

 

 

 

そのため、この青年のように寅さん映画の世界にあこがれを抱くのです。

 

 

 

 

 

内気で神経質な「いい子」は、「けんかしたら嫌われてしまう」「けんかをしたら自分が傷つく」と思っています。

 

 

 

 

 

また、がんばり屋タイプの「いい子」は、「けんか即決裂」「自分の意見を譲ることは敗北だ」と思い込んでいる傾向があります。

 

 

 

 

 

ですから、こうしたいい子たちが、コミュニケーション能力、つまり人間関係を修復できる能力を身につけずに大きくなって、あるきっかけでストレスが臨界点に達してしまうと弱音や愚痴が出せず、人間関係から引きこもってしまうことになるのです。

 

 

 

 

メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-439-4355
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援