大学生のひきこもり
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大学生のひきこもり

大学生や専門学校の学生のひきこもりについて

 

 

 

 

専門学校・短期大学・大学・大学院などに通う人にも不登校・つまり思春期型ひきこもりが見られることがあります。

 

 

 

 

予備校生でも、特に2浪や3浪になると「自宅で勉強する」といって予備校に行かなくなり、ひきこもることがあります。

 

 

 

 

予備校へ行くことがしんどくなっているのです。「自宅で勉強する」といいながらも、勉強意欲はすでに低下しており、勉強が手につかない状態にあります。

 

 

 

 

大学生のひきこもりには、合格したものの初めから登校できない場合や、1年か2年くらいは何とか行くことができても、やがて行けなくなる場合、ずっと行っていたのに就職活動のころからいけなくなる「就職拒否」の場合などがあります。

 

 

 

 

さらに就職拒否には、就職活動自体ができない場合や、就職試験の面接に行けない場合、内定はもらったものの、職場に行けない場合などがあります。

 

 

 

 

それをきっかけにひきこもったり、卒業はしたものの進路がなくそのままひきこもったりします。

 

 

 

 

このような状態になる人のなかには、学校に行っていた時期でも、対人緊張のために食堂で食事をすることが怖くて外食ができない人や、同じく対人緊張のため教室でノートもとれない人がかなり含まれています。

 

 

 

 

その学校で、ひとりも友だちができなかった人もかなりいます。また、これらのひきこもりのなかには、高校以前に不登校を経験した人や、不登校になったものの大学入学資格検定(現高等学校卒業程度認定試験)で受験資格をとって大学に進学した人もたくさんいます。

 

 

 

 

これは「一度不登校になるような人は何度でもなる」ということではなく、ひきこもりの原因になっている根本的な要因が解消されないまま無理をしているので、繰り返してしまうということです。

 

 

 

 

むしろ、しんどさをかかえながら、精一杯社会に適応しようとしてよくやってきた姿です。

 

 

 

 

 

しかし、本人は「よくやった」と自分を認めることができず、「まだこれでは物足りない」と自分を否定的に評価するなど、しんどい状態が続いています。

 

 

 

 

そこに、たとえば就職という課題が重なり、本当に社会に出て行く覚悟を迫られると、「社会のなかでちゃんとやっていけるだろうか。社会は自分なんか受け入れてくれないのではないか」などと考えて続けてしまい、そのことで恐怖心も強くなり、心も体もダウンしてしまいます。

 

 

 

 

この年齢になると、非典型タイプはあまり見られません。高校生の時に非典型タイプのひきこもりだった場合は、親も子もあまり進学にはこだわらないことが多いのがその一因かもしれません。

 

 

 

 

大学生のひきこもりは、ほぼすべてが典型タイプです。最近では、大学院生の不登校の増加が目につきます。

 

 

 

 

就職しにくい状況も重なり、就職問題からひきこもりになることが多いようです。

 

 

 

 

 

引きこもりやニート・スネップ・不登校状態の子どもの中には、発達障害によって社会に適応できずに苦しんでいる人がたくさんいます。

 

 

 

 

特に就職活動で苦戦する姿が目につきます。発達障害の人が適職につくにはどうしたらいいのでしょうか。

 

 

 

 

発達障害者が適職につくには、その分野の専門的な知識や技能、資格などを身につけるために専門学校や大学(場合によっては大学院)を終了する必要があります。

 

 

 

 

しかし彼らは、授業に集中できないなどさまざまなハンディキャップがあるため、せっかくそうした高等専門機関に進学しても、中途退学してしまうことが少なくありません。

 

 

 

 

発達障害のある学生が抱える問題としては、主に次の4つの点が指摘できます。

 

 

 

 

1、対人関係や大学での生活上のトラブル

 

 

 

 

友人とうまく付き合えない、約束を守れない、借りたものを紛失する、孤立している、サークルでトラブルを起こすことが多いなど。

 

 

 

 

2、学業上の問題

 

 

 

 

講義についていけない、ノートがとれない、レポートなどの提出期限を守れない、科目履修の管理が困難、授業中に的外れな質問をして授業を中断させるなど。

 

 

 

 

3、行動、情緒面の問題

 

 

 

 

物事が思い通りにいかないとパニックになる、自己主張が強く自制心に欠ける、気持ちが落ち込みやすい、自尊心が低く、自分はだめな人間だと訴える、感情の起伏が激しい、かっとなって暴言を吐いたり暴力を振るうなど。

 

 

 

 

4、就労の問題

 

 

 

 

進路が決められず就職活動がうまくいかない、面接で断られる、やりたい仕事が見つからない、将来に対して漠然とした不安がある、高い対人スキルを要求される職種を選ぼうとして失敗を繰り返すなど。

 

 

 

某大学で、喫煙とADHD傾向の調査を約400人にしたところ、興味深い結果がでました。

 

 

 

 

調査では411人中93名(22、6%)の大学生がWURSで46点以上を示し、ADHDの傾向がありました。

 

 

 

 

男女差を見ると男子学生は不注意優勢型が多く、女子学生は多動・衝動性優勢型が多いというこれまでの米国などの報告とは異なっていました。

 

 

 

 

症状を見ると、ADHD傾向を有する学生はそうでない学生と比べて喫煙者が多い傾向にあり、易怒性(怒りっぽい傾向)、衝動性傾向や学業不振の傾向が強く、自尊感情(自己評価)が低く出ました。

 

 

 

 

これらはいずれも女子学生のほうが男子学生より顕著に見られました。

 

 

 

 

以上の結果は、本邦においてもADHD傾向を有する大学生は、そうではない学生に比べて不適応を起こすリスクが高いことを示唆しています。

 

 

 

 

これらの問題を抱えたまま学生生活を送ることはきわめて困難であり、発達障害のある学生には教育上の特別な配慮がどうしても必要になります。

 

 

 

 

そこで、たとえば大学では、発達障害のある大学生への支援策として、

 

 

 

 

○カウンセリングをおこなう。

 

 

 

 

○必要な単位や履修科目、時間割などを一緒に考える。

 

 

 

 

○別室で補修を行い、講義に代える。

 

 

 

 

○定期試験に別室を用意する。

 

 

 

 

○講義中の一時退出を認める。

 

 

 

 

○クールダウンのための部屋を用意する。

 

 

 

 

○ワイヤレスヘッドホンを着用し、マイクを通した教員の声だけを聞こえるようにする。

 

 

 

 

○講義を録音し繰り返し聞けるようにする。

 

 

 

 

○文字を読み上げるパソコンソフトを利用する。

 

 

 

 

○デジタルカメラで板書を撮影する。

 

 

 

 

○口頭試問などに解答方法を変更する。

 

 

 

 

○試験をレポートで代替する。

 

 

 

 

○レポートの提出期限の延長を認める。

 

 

 

 

などの学習支援をおこなっているほか、日常生活の支援として自己管理や社会的スキルを指導したり、就職支援として履歴書の書き方や職業適性の指導、ハローワークなどの外部リソースやキャリアカウンセラーとの提携、障害者手帳の取得指導や地域の障害者職業センターの紹介などがおこなわれています。

 

 

 

 

発達障害のある学生にとってもっとも望ましいのは、

 

 

 

 

1、まず本人が自分の抱えている問題に気づくこと。

 

 

 

 

2、専門医の診断を仰ぎ、医学的、心理学的治療がなされること。

 

 

 

 

3、その上で、大学側と支援のための密な連携がなされること。

 

 

 

 

です。

 

 

 

 

発達障害のある子どもを大学などに進学させる場合は、特に3は大事なポイントになります。

 

 

 

 

大学はどのようなサポートをしてくれるのか、どれだけ密な連携をとってくれるのか、どこまで要望をきいてくれるのか、親としても十分に確認する必要があります。

 

 

 

 

広がるコミュニケーション不全

 

 

 

 

大学生のひきこもりは、これまではバーンアウトや五月病として論じられてきました。

 

 

 

 

しかし、受験勉強で燃え尽きたり、緊張の糸が切れてこころに隙間が生じる五月病や、近年の「十月病」(セメスター制の導入による後期型「五月病」現象とは、明らかに異質なこころの異変が今、キャンパスに広がっています。

 

 

 

 

この一つの遠因は、コミュニケーション不全です。入学式には出席したものの、その熱烈な歓迎や喧騒ぶりにとまどい、都会のマンションの一室に閉じこもったまま、履修登録さえできない新入生がけっして少なくありません。

 

 

 

 

このような心象風景をある学生は、次のように綴っています。「入学直後のサークル勧誘がうっとうしくて、避け続けていました。

 

 

 

 

コンパの誘いも断っていました。新しい生活に慣れることに頭がいっぱいでした。

 

 

 

 

ようやく大学生活に慣れてきたころ、講義の教室に入ると親しそうに話すグループがいくつかできあがっていて、自分は輪の外にいるような感覚に襲われました。

 

 

 

 

みんないつの間に仲良くなったんだろうと、疎外感を感じながら講義を終え、教室の外に出ると、あれほどにぎやかだったサークルの勧誘の時期も終わっていて、上級生から声をかけられる機会もなくなっていました。

 

 

 

 

学食に行き、あいている席を見つけてランチをひとりで食べていると、隣の席で楽しそうにしゃべっている学生の声が耳に入ってきます。

 

 

 

 

自分以外の全員が、楽しそうに会話をしているような気がして、恐怖が募ってきました。

 

 

 

 

こころのなかに喪失感が広がってゆくような、妙な気持ちになりました。大学に通っても、誰とも会話をすることもないまま、何日か経過しました。

 

 

 

 

だんだん朝、起きるのが辛くなってきて講義を休むようになりました。昼になって起きてきて、何となくテレビゲームをしていたら、夜になっていました。

 

 

 

 

そうやって何日か過ごしていたら、ある日まったく大学に行かなくなってしまっていた自分に気がついて、ひどくおびえるようになりました。

 

 

 

 

大学に通わない自分、いったい自分は何をしているのか、このまま社会から逸脱してしまうんだろうか、部屋の真ん中でひざを抱えて体育すわりをして、静かに涙を流すことしかできなくなってしまいました」

 

 

 

 

このような姿が、今日の大学では相当数に上るのではないでしょうか。「ひきこもり」青年が抱えている発達上の課題は、実は今日のすべての学生に共通した問題です。

 

 

 

 

したがって、「ひきこもり」の予備軍は大量に控えているといえます。

 

 

 

 

大学生の声

 

 

 

 

「携帯電話やスマートフォンはとっても怖いです。表面的には仲良くなさそうにしているのに、実は仲がいいとか。

 

 

 

 

携帯やスマホで誰がつながっているのか考えて怖くなるときがあります。大学に来てから、こころから相談していない、笑えていない自分が多いと思います。

 

 

 

 

なかなか腹を割って話せないです」

 

 

 

 

 

「インターネット等で簡単になったぶん、人と人との対面のコミュニケーションが下手な人が多いと思います。

 

 

 

 

言葉足らず、説明足らずが多いと思います」「喜怒哀楽の怒の感情表現がうまくできません。

 

 

 

 

事件を起こすような人も似ているような気がします。だから爆発したときに人を殺せてしまうのだと思います。

 

 

 

 

自分も殴ったり、人を傷つける行為をしたりしてしまうかもしれません」

 

 

 

 

「チャットや2ちゃんねるでは自分を出せるのに、実際の人とのふれあいのなかでは、自己表現ができません。

 

 

 

 

そんな状況は、僕が小学校のころはありませんでした。現代特有の問題だと思います」

 

 

 

 

「メールやチャットの世界に頼りすぎていると思います。それにはそれの良さがあるかもしれませんが、あくまでバーチャルだから、実際の人対人のコミュニケーションを避けがちになってしまうと思います」

 

 

 

 

これらの嘆きは、次のような場面を通して、学生に人間への不信感を植え付けていきます。

 

 

 

 

「友だちと一緒にいる際に、その子が携帯のメールをしていると、わたしはこの子にとって何なのだろうと思ってしまいます(深く考えることではないかもしれませんが)。

 

 

 

 

目の前にいる人を大事にしてほしいなと思います。だからわたしは友だちといるときに、携帯をあまり使わないようにしています。

 

 

 

 

携帯で支えられるときと、そのように淋しくなるときがあります」以上のような大学生の新たな苦悩に対して大学では、試行錯誤しつつも人とつながるための多様な取り組みを開始しています。

 

 

 

 

多くの大学では、四月のガイダンスに関して科目登録から、サークル案内、講義の概要説明にいたるまで、上級生にサポートさせています。

 

 

 

 

「ヘルパー」などと名づけられた学生がマンツーマンで新入生の支援体制をとる大学もあります。

 

 

 

 

学生相談室も、一定のスリースペースをひきこもり傾向の学生用に確保する大学も登場しました。

 

 

 

 

運営・企画も学生にまかせ、当事者が活用しやすい工夫がなされているようです。

 

 

 

 

学生相談室が高いる利用率を誇る大学では、上級生がロールプレイまでして、どんなにささやかな悩みや迷いに関しても、相談室は応じるのだという姿勢をアピールしています。

 

 

 

 

つまり、四月の実務的不安をそのまま放置すると、ひとりひとりが孤立し、大学生活にこぎ出せないのです。

 

 

 

 

ほんのちょっとしたつまずきがきっかけになってひきこもりにつながりかねないのです。

 

 

 

 

このように大学の入門期指導において、「不安への対処」法を具体的に提示する取り組みは、生活、学習、精神など領域を問わず、重要となってきています。

 

 

 

 

四月に入門合宿を実施する大学や学部が増加しています。四月の入学直後に、一泊二日の全日程でレクを行ったり、一週間にも及ぶ合宿を行うなど多様です。

 

 

 

 

これらの合宿の重点目標は、学生に友だちを作らせること、他者への過度な緊張を解かせること、大学の教員とも顔なじみになること、ノートテイクやヒアリングスキルを教え、授業に入りやすくすること等です。

 

 

 

 

合宿中に講義を組み込んでいる大学も、あくまでも授業を通した仲間づくり、相互信頼の確立を意識しています。

 

 

 

 

したがって、一方通行の講義ではなく、ワークショップやグループワーク形式を採用しています。

 

 

 

 

多忙な時期ゆえに、大学にとっては、合宿を行うことの負担は大きいはずです。しかし、実施大学では、学生の学習へのモチベーションが高まり、学生参加型の講義や企画が成功する例が多いといいます。

 

 

 

 

一人ひとりのセルフエスティ-ムが高まり、学生生活を乗り切るたくましさが芽生えるのです。

 

 

 

 

ただし、こまかな配慮は欠かせません。たとえば、合宿先に向かうバスのなかでも、学生の好きに任せて座席に着かせると、必ず空席が生じ、そこからコミュニケーションが分断させてしまいます。

 

 

 

 

そのため、空席を生じさせないように詰めて座らせるなどの配慮が肝要となってきます。

 

 

 

 

小学生並みの気配りが求められるのです。これが今日の大学生の一面なのです。

 

 

 

 

以上のように、現代における大学生のコミュニケーション不全は、想像以上に深刻です。

 

 

 

 

学生相談室に学生同士のけんかやトラブルの仲裁があまりにも多数持ち込まれ、「今や大学は、小・中・高校で発達しそびれた者たちのふきだまりです」と嘆いた大学もあるほどです。

 

 

 

 

これに加えて、インターネットやケータイのメールを中心とした日常生活におけるITの進行は、バーチャリズムを加速させ、学生の対人恐怖傾向を強めています。

 

 

 

 

コミュニケーション不全の深刻化という今日の歴史的、社会的要因とともに、ひきこもり問題をていねいに見ていくと、その奥には実は、一見恵まれているように見える家庭環境がひきこもりを生み、彼らを生きづらくさせているという側面がうきぼりになってきます。

 

 

 

 

これは矛盾しているだけに、ある意味で、ひきこもり問題の本質にかかわっています。

 

 

 

 

2004年に起きた事件(これ以外にもひきこもり関連の事件は多数起きています)を例に考えてみましょう。

 

 

 

 

2004年11月下旬に、19歳の少年と28歳の青年が、両親や姉を惨殺する事件が相次ぎました。

 

 

 

 

水戸で19歳の少年が教員である両親(母親は2年前に退職)を殺害して逮捕され、その12時間後に、今度は土浦で28歳の青年が両親と姉の3人を包丁と金槌で殺害しました。

 

 

 

 

わずか12時間を隔て、同じ県内で連続しただけに、関係者の衝撃には大きいものがありました。

 

 

 

 

これらの事件の背後には、今日の少年や青年の生きづらさと家族のありかた、家庭教育の問題が潜んでいます。

 

 

 

 

水戸の事件を中心にくわしく見ていきましょう。19歳の少年の家庭環境をみて見ますと、家族構成は、両親(父は中学校社会科教諭、進路指導主任、教務主任の51歳です。

 

 

 

 

母は48歳で、2年前まで小学校教諭でした)と祖父(76歳)、東京の大学に通う2人の姉(いわゆる一流国立大学を含む)と中学時代から不登校になり、当時は無職の妹(16歳)の7人家族でした。

 

 

 

 

この少年は、成績は優秀で中学・高校では学年で5番以内だったといいます。高校は、地元の中堅私立の進学コースに在籍していました。

 

 

 

 

しかし、在学中に重い病気にかかり、高2では30日、高3では50日も休まざるを得なくなります。

 

 

 

 

四年制大学への進学を断念し、コンピュータ関係の専門学校に合格するものの、手続きはとりませんでした。

 

 

 

 

その後は特に何もしないで、自宅で過ごしていました。もともと性格的におとなしい生徒でしたが、生活態度はしっかりしていました。

 

 

 

 

学校行事では積極的に何かを提案するのではなく、決まったことをきちんとやるタイプでした。(高校時代の担任)

 

 

 

 

しかし、同級生の話ですと、友だちとしゃべっているのをほとんどみたことがなく、ひとりでぽつんとしていることが多かったようです。

 

 

 

 

事件を起こしたころには、母と妹といっしょに、三ヶ月ほどニュージーランドに転地しました。

 

 

 

 

環境を変えようとしていたようです。一ヶ月後には、再訪問する予定がありました。

 

 

 

 

事件の内容としては、夫婦が就寝中の別々の部屋で、まず父親から、頭部を鉄アレイで十数回殴りつけ殺害しました。

 

 

 

 

次いで、隣室に休む母親を、同様の手口で殺害しました。計画では、一階で休む祖父を殺し、皆殺しの予定でした。

 

 

 

 

しかし、両親を殺害した段階で、力を使い果たし、気力が失せて妹としばらくテレビを見たり、近くのコンビ二へ買い物に行ったり、夜中の公園のべンチに座っていたり、ブランコをこいだりして3時間ほど費やしたあと、みずから110番通報しました。

 

 

 

 

前述の通り、この家族は熱心な教育一家です。母親は退職した後、二人の子どもとともにニュージーランドまで出かけて、ひきこもりや不登校からの立ち直りの支援をしていました。

 

 

 

 

父親の評判もよかったようです。では、この少年が殺害にいたった動機は何でしょうか。

 

 

 

 

供述によると、「祖父や両親から、仕事も進学もしないで家にいるのなら習い事をするように、うるさく言われた。

 

 

 

 

皆殺しにしようと思ったが、両親を殺してやる気が失せた」と言っています。少年を家族皆殺しにまで思いつめさせたものはなんだったのか。

 

 

 

 

一つは、供述どおり家族からの進路へのプレッシャーではないでしょうか。無条件の愛情を注ぐことが一番可能なポジションにいた祖父からも、仕事をしろとか、進学しろとか口うるさくされたのではたまりません。

 

 

 

 

いちばん悩んでいたのは本人であるにもかかわらず、その苦しみを受け止めようとしてくれないのです。

 

 

 

 

憎悪の感情が渦巻いた少年の胸の内を、想像することは難しくありません。自分の心が安住できる「居場所」を確保するためにも、まず目前の障害物としての祖父の存在を排除しようとしたのではないでしょうか。

 

 

 

 

それが殺害というかたちにいたったのです。二人の姉の存在は、優秀であっただけに、自分にも期待をかけられることが、男ひとりの少年にとっては大きな負担でもあったと思います。

 

 

 

 

何よりも、きわめて優秀な教員と評判であった母親を退職せざるを得なくさせたことは、少年の心に深い傷と重荷を負わせたに違いありません。

 

 

 

 

土浦の28歳の青年についても同様で、このような惨劇に至った両者の共通項は、第一には、教育一家であったり、町の名士であったりと、経済力や知力が豊かであった点です。

 

 

 

 

こうした家庭は、力があるからこそ、他者や地域には頼らずに、自力で解決にしようとする傾向があります。

 

 

 

 

こうして結果的には本人だけでなく、家族ぐるみでひきこもる状態に追い詰められてしまいます。

 

 

 

 

このような閉塞状態にしないためにも、ひきこもり脱出のカギは、実は本人よりも、まず家族への支援なのです。

 

 

 

 

カウンセラーなどの第三者に相談すること、親自身がボランティアなど外の世界と積極的につながること、何よりも親自身の生活を楽しみ、すべてを子どもの犠牲にせず、周囲の人々のパワーをもらいながら生活することが重要です。

 

 

 

 

「あせらず、あわてず、あきらめず」というのが家族対応の三原則です。そうしていくなかで、ひきこもりの子どもたちのこころも解放されていきます。

 

 

 

 

そして本人ができたこと、「今」やれていることに光を当てて、彼らの自己肯定の心情を育み、豊かにしてやることが肝心です。

 

 

 

 

こうした認識は、残念ながら、今日の学校にも家庭にもなかなか根づいていません。

 

 

 

 

現代は、子どもたちにとって大変生きづらい社会となっています。こうしたなかで、学校教育はどのように子どもたちを守り、育むべきでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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