引きこもりの協調性の欠如と病理性
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引きこもりの協調性の欠如と病理性

引きこもりをしている人をいくつかのタイプに分けて、そこに病理性を見出そうとする考えがあります。

 

 

 

 

これまでも、人間関係の発達を阻害するものとして、自閉症障害が強く指摘されてきました。

 

 

 

 

小児自閉症や幼児自閉症などの自閉症障害は、知的障害とは異なった発達障害であり、国際疾病分類第10版(ICD-10)では広汎性発達障害に位置づけられていますが、これらの自閉症障害では、必ずしも引きこもりは起こりません。

 

 

 

 

ところが最近では、広汎性発達障害の中でも症状が軽いとされるアスペルガー症候群がクローズアップされてきています。

 

 

 

 

このアスペルガー症候群には、脳の微細な器質的な障害があるのではないかと疑われていますし、知的な障害はあまり見られないものの、行動面からは落ち着きのない子であって、集団生活になじめない子であることが多いようです。

 

 

 

 

そのアスペルガー症候群の子に引きこもりが見られると言われるようになってきました。

 

 

 

 

さらには、引きこもりを示す子供たちの中には周囲に対する関心の幅が狭く、自分と周囲とがどのような関係になっているかとか、今、自分は何をしなければならないのかという社会的関係の認知が悪い子がいることや、その中には非行や犯罪に関わる子がいることから、これらをアスペルガー症候群と結びつけて考える向きもあるようです。

 

 

 

 

広汎性発達障害は、相互的な社会関係とコミュニケーションパターンに質的障害があると言われていますが、その背景には、医学的な病態としての脳の機能的あるいは器質的な障害があると言われてもいますから、そのあたりもこれからはさらに究明される必要があるでしょう。

 

 

 

 

その一方で、引きこもりの中には激しい家庭内暴力をする子供たちもいます。こうした家庭内暴力も、引きこもりに始まったものは、心の育ちが進むにつれてしだいに治まっていきます。

 

 

 

 

したがって、引きこもりが犯罪や非行に直接つながるわけではないのです。

 

 

 

 

ただ、どうしても引きこもりをするようになると、家族は落ち着いて対処できなくなりがちなので、引きこもりをしている子供に対して、なかなか一貫した態度をとれなくなり、子供の引きこもりを、より強化してしまったり家庭内暴力をさらに強めてしまったりしがちです。

 

 

 

 

特にコミュニケーションパターンの質的障害が見られるようになると、他の人と協調的な生活がしにくくなりますから、家庭においても交流が乏しくなりますし、家庭の中での引きこもりを起こすようにもなってしまうでしょう。

 

 

 

 

そこまできますと、社会的経験不足を伴うことになるのは必定ですから、人格発達の未熟さにも深く関係することになるでしょうし、二次的にも人格発達の障害を起こす危険があります。

 

 

 

 

また、こうした引きこもり状態が長く続けば、当然のことながら、周囲からの非難や中傷が渦巻くでしょうから、それによる引きこもりの強化が起こることもまた必定です。

 

 

 

 

ここで統合失調症に伴う引きこもりについても触れておく必要があるように思います。

 

 

 

 

なぜなら、統合失調症そのものが、コミュニケーションパターンの障害を持つからです。

 

 

 

 

いうまでもなく、引きこもりはあくまでも一つの行動の表れであり、それ自体が病気というわけではないのですが、統合失調症の発病初期には、症状としての引きこもりー自閉がよく見られます。

 

 

 

 

自閉という言葉は、もともとは精神医学者であるブロイラーが使い始めた言葉ですが、他者との関係を一切絶って自己の世界に閉じこもる状態を指しています。

 

 

 

 

それは、まさにコミュニケーションパターンの障害と言うべきもので、統合失調症の自閉状態では、部屋の中に閉じこもるというような行動を示すこともありますが、時には外に飛び出たり、独り言をのべつまくなしに言っていたりします。

 

 

 

 

自閉とは、自分の殻の中に閉じこもるということがもとの意味ですから、騒いでいても自分の心を閉じた状態なので、結果として引きこもりの状態にあるとしても、異なった切り口で考えなければいけないと言えるでしょう。

 

 

 

 

もちろん、引きこもりにも自分の殻に閉じこもっているものもあるわけで、そこに違いはないように見えますが、統合失調症に見られる自閉には冷たさがつきまといます。

 

 

 

 

同じように引きこもっているようでも、引きこもりのほうが何となく柔らかです。

 

 

 

 

統合失調症の自閉といわゆる引きこもりとは、協調性の欠如という面から見るとかなり近似しているのですが、病理性、つまり心の崩れ方とでも言えるところで見ると、現実感に乏しく妄想の世界をもっているなどの違いもありますから、統合失調症の自閉のほうに病理性が高いといえます。

 

 

 

 

自信のなさと引きこもり

 

 

 

 

ごくごく一般的には、「引きこもりをする子は、自分に自信がないからだ」という考えがあります。

 

 

 

 

それも正当な見方ではあります。というのも、自信がないということは、何かを行うときに失敗するかもしれないという不安を常に抱えているということですし、その心の底には傷つきたくない心理が隠れているともいえるからです。

 

 

 

 

自信がなければ、何事をやるにも不安がつきまとうでしょう。その物事を進めるときにいつも先行する不安が、人間関係から人を退かせてしまいがちだからです。

 

 

 

 

こうして貧困な「自分らしさ」しかもてない自分になり、ますます自信のなさが強化されていきます。

 

 

 

 

自信のなさは人格の熟成を妨げるわけですが、それは「自分らしさ」を育てなかったツケとも言えるもので、その限りにおいて言えば、自損行為と言ってもよいはずです。

 

 

 

 

でも、私は「自分らしさ」を作るのは自分だが、自分らしさを作るためには、心に欲求がたまらなければならないと考えています。

 

 

 

 

心に欲求をためさせない育て方がなされていれば、「規範押し込み型」の子が育ってしまうとも考えています。

 

 

 

 

つまり、そこで考えなければならないのは、こうして育てられた子は、私の造語で言えば、「育児障害」を負った子であるし、社会的加害による被害者であるとも言えるということです。

 

 

 

 

引きこもりには、こうした社会的加害による被害を被った「育児障害」の面があることも知っておかなければなりません。

 

 

 

 

さらに、「引きこもり状態」が続けば、社会的経験不足が起こるばかりでなく、日々の生活における情報過疎が起こることも十分考えなければいけません。

 

 

 

 

これは引きこもりによる二次的問題と言えますが、情報過疎状態に生きるものが短絡的思考に陥りかねないことも、また十分に考慮すべきところでしょう。

 

 

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