共依存社会と引きこもり
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共依存社会と引きこもり

共依存社会である日本は、感情の抑圧を美徳とします。引きこもりの家庭では、子どもが感情を表現できないまま成長する傾向があります。

 

 

 

 

しかし、それは個人だけの問題ではありません。引きこもりの背後には個人の感情を否定する日本社会があります。

 

 

 

 

共依存の親子関係は「支配する親」と「支配される子ども」で成立します。

 

 

 

 

1970年代に描かれた「巨人の星」という野球マンガをご存知でしょうか。

 

 

 

 

父親の星一徹と息子の飛雄馬が織り成すスポーツ根性物語です。

 

 

 

 

一徹は、息子を巨人のスターにすることを夢見て、幼少期の飛雄馬に「大リーグ養成ギブス」なる器具を体に装着させて、ひたすら野球の特訓をしました。

 

 

 

 

そこで生まれる親子のやり取りに「父の愛」を見た若者たちもたくさんいたのです。

 

 

 

 

しかし、これは父親が自分の野心のために息子を利用した共依存関係でした。

 

 

 

 

息子の飛雄馬は自分の意思で動いたのではなく、父親に動かされたのです。

 

 

 

 

一徹は、アルコール依存症の父親と同じく、自分の人生に不満だらけの機能不全の父親でしたが、多くの日本人はそのことに気づきませんでした。

 

 

 

 

日本人が共依存の親子関係を美化する傾向は、子どもを世界的な卓球選手にしたり、芸能人やオリンピックの選手にする親を「英才教育をする親」と呼び、そうしたしつけを手放しで賞賛するところに表れています。

 

 

 

 

英才教育をする親がすべて病的とは言いませんが、しかし、共依存の親は子どもの自由を抑制し、否定する傾向があります。

 

 

 

 

たとえば、飛雄馬が野球を嫌がって、公務員になりたいとか、医学の道に進みたいと言ったらどうなるでしょうか。

 

 

 

 

父親の一徹は「親に向かって、その態度は何だ!。親の言うことが聞けないのか!」と激怒してちゃぶ台をひっくり返していたことでしょう。

 

 

 

 

一徹は息子の飛雄馬が自分の人生を生きることを許しません。子どもの人生は親のためにあると考えているのです。

 

 

 

 

共依存の親は必ず子どもの自由な意思や人生を否定します。子どもが卓球を辞めたいプロ野球よりも別の道に進みたい、自分が愛する人と結婚したいと言ったら、共依存の親は許さないでしょう。

 

 

 

 

こうした親も、一徹と同じように、子どもを親の所有物と考えています。

 

 

 

 

このように機能不全であるのは、なにも父親だけではありません。愛していない夫と暮らす母親は普段から不満だらけです。

 

 

 

 

そんな母親もしばしば巨人の星の父親のように、子どもを成功させる夢を胸に抱きます。

 

 

 

 

彼女たちは子どもを医者にしたり、一流大学に入れるために、塾にテスト勉強にと子どもを毎日追い立てます。

 

 

 

 

このような母親は家庭的で献身的なように見えますが、彼女たちも自分の人生に不満だらけの機能不全の親で、子どもを健やかに育てるという母親本来の役割を果たすことができません。

 

 

 

 

共依存の親は、子どもを愛する親に見えますが、実際は自分のために子どもを利用しているだけなのです。

 

 

 

 

共依存の親子関係は、子どもに強いストレスを与えます。親に人生を奪われた子どもの心の叫びに耳を傾けてみましょう。

 

 

 

 

「親や周りの人が決めたレールを必死に歩いてきたんです。気づいたら、自分のやりたいことも何もわからないまま、自分の気持ちを抑えて・・・・・我慢ばかりしていたから、自分の感情も分からなくなったんだと思います。

 

 

 

 

学校や社会に対して、猜疑心と不信感しか持てないんです・・・・・・学校と受験勉強に、あまりにも無駄な時間を使ってしまいました。

 

 

 

 

もうこれ以上、自分が望まない生き方なんて続けられません。」

 

 

 

 

別の引きこもりの男性はこう言っています。彼は、親の価値観を忠実に生きたために引きこもりになりました。

 

 

 

 

「僕の人生は僕のものではなく、親のものでした。親の命令どおりに生きてきました。

 

 

 

 

友達と遊ぶ時間も削って、親の言うとおり勉強だけして生きてきました。

 

 

 

 

でも無理がたたって途中で無気力、無感動、無関心になり、そのあげくにうつ病を発症し、そして引きこもり、さらにノイローゼになりました。

 

 

 

 

親の言いなりになって勉強に精を出したあげく、人生をだめにしてしまいました。」

 

 

 

 

こうした若者は、「本当の自分を否定する」共依存人生を生きてきたのです。

 

 

 

 

どこかにもっと自分らしい生活があると気づいたとき、引きこもりになってしまったのでしょう。

 

 

 

 

彼らの魂の深いところに「自由への渇望」があります。

 

 

 

 

日本のような共依存社会では、親ばかりではなく、教師も子どもの自由を奪ってしまいます。

 

 

 

 

日本の教育は子どもに共依存のベルトをかけて、支配者の意思どおりに動く人間、「指示待ち人間」を大量生産します。

 

 

 

 

「よけいなことは考えるな。言われたとおりに動けばそれでいいんだ」と教える日本の教育は、子どもを自発的に行動できない人間にする点では極めて有効です。

 

 

 

 

私の友人は米国留学から帰国後、東京の私立大学で心理学を教えていたことがあります。

 

 

 

 

その大学の学生は世間から優秀だといわれていますが、アメリカの大学生を見慣れた友人にとっては、日本の大学生の自主性のなさ、自分の考えのなさ、いわゆる指示待ち状態にカルチャーショックを受けたといっていました。

 

 

 

 

「・・・・・についてどう思うか」と友人が質問すると、彼らは何も言いません。「何か質問はあるか」と問うと沈黙してしまいます。

 

 

 

 

この友人が教壇に立った8年間のうちで学生が質問したのは10回くらいだったといいます。

 

 

 

 

日本の学生には、自分の意見を言うことに恐怖があるとさえ感じられたと言います。

 

 

 

 

言われたことは素直に実行するのですが、自分で興味を見つけて自主的に行動することが苦手なようです。

 

 

 

 

ここまで横並びする若者たちはこれからどうやって一人で生きていくのか、彼らに恋愛や子育てができるのか、自分の人生を生きることができるのか、友人は見ていて不安になったようです。

 

 

 

 

しかし、彼らは個性を許さない教育の犠牲者だと言ってもいいでしょう。

 

 

 

 

その背後には、自由な自己主張を許さない、出る杭を打つような日本の教育があるのです。

 

 

 

 

太平洋戦争中に書かれた「菊と刀」は日本人の思考と行動を分析し、占領政策にも参考にされた古典です。

 

 

 

 

著者である文化人類学者のルース・ベネディクトは戦争中のアメリカ人捕虜が「日本人に対する口ごたえの危険」についてこう述べています。

 

 

 

 

「多くのアメリカ人は、捕虜収容所でアメリカ人が笑うことがいかに危険なことであったか、またそれがいかに看守を刺激したかを述べている。

 

 

 

 

・・・・・(中略)・・・・・公然と権威に挑戦すれば、たとえそれが単なる「口ごたえ」にすぎない時にも、ひどく罰せられた。

 

 

 

 

日本人は普通人の生活においても口ごたえをすることは非常に厳格に戒しめられている。

 

 

 

 

そしてそれに厳罰を課すことが、日本人自身の軍隊の慣わしであったのである。(菊と刀)社会思想者」

 

 

 

 

ベネディクトは、学校や軍隊での虐待が日本人の人格形成に大きな影響を与えると見抜いていました。

 

 

 

 

日本の学校の体罰といじめは子どもに服従精神を植えつける、立場の弱い者を虐待することを教えると述べています。

 

 

 

 

「・・・・むしろ、中等学校の上級生が下級生をいじめる習慣である。中等学校の上級生は下級生を顎で追い使い、手を変え品を変えしていじめる。

 

 

 

 

彼らは下級生に、ばかばかしい屈辱的な芸当をさせる。・・・・・(中略)・・・・中等学校に進まない少年たちは、軍隊教育において同じような経験をすることがある。

 

 

 

 

・・・・・そして、二年兵の初年兵いじめは、中等学校や、それ以上の学校の下級生いじめなどよりもはるかに極端なものであった。

 

 

 

 

・・・・(中略)・・・・・もし学校においても軍隊においても、年上の少年が年下の少年に、犬のようにしっぽを振らせたり、蝉のまねをさせたり、ほかのものが食事をしている間中逆立ちをさせたりすれば、必ず処罰するということになれば、・・・・・日本の再教育という点で、さらにいっそう効果のある変化となるであろう。(『菊と刀』社会思想社)

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