不登校の原因について
関東自立就労支援センターとして不登校の克服を支援していく中で、不登校には大きく3つの原因があることがわかってきました。
第一は親の傾向性(偏りのあるものの見方や考え方)や、それに基づく子どもへの接し方、第二は子どもの高機能発達障害、第三はいじめです。
第一の親の傾向性によって子どもが不登校になっているケースは非常に多くあります。
その場合、親の子どもへの接し方を変えていくアプローチをとります。
それだけで不登校を克服できるのかという疑問がわいてくるかもしれません。
しかし、親が子どもへの接し方を変えることは、子どもにとっては非常に大きな変化です。
不登校の子どもの親の傾向性には、大きく二つのタイプがあることがわかってきました。
一つは、子どもに対して抑圧的に接する親です。たとえば、いちいち「こうしなさい、ああしなさい」と指示・命令する親、「こうしたら失敗しない」と先回りする過保護な親、子どもに100%満点を求める完璧主義の親、子どもに「こうなってほしい」という理想を押し付ける親などです。
いずれも、子どもを自分の思い通りにしようとしている点で共通しています。
子どもをほめることによってコントロールしている親も含まれます。このタイプの親へのアドバイスは、子どもに抑圧的に関わらないということになります。
一方、抑圧型の分類に入らない親がおり、それを優柔不断型と名づけています。
比率としては、抑圧型が約7割、優柔不断型が約3割です。
優柔不断型は一見、奥ゆかしい印象がありますが、優柔不断で常に誰かの後にくっついていくような頼りないタイプの親です。
そのため、子どもを厳しくしかることがなかなかできません。その結果、親が子どもの言いなりになり、子どもがわがままになりがちです。
その延長として不登校になるということです。このタイプの親へのアドバイスは、抑圧型とは反対に、叱るべきところは叱りながら、子どもを導いていきましょう、という方向性になります。
子どもが自立できるように導く
親の傾向性による不登校に対しては最初に、「抑圧型」もしくは「優柔不断型」の自分を変えていこうという決意が必要です。
自分をどう変えていけばいいのか、まず、親子関係や親子のコミュニケーションの理想形を考える必要があります。
それは、「子どもの自立を支援するが、親の思い通りにコントロールすることはしない」というスタイルです。
関東自立就労支援センターが目指す不登校の克服は、学校に復帰することだけが目的ではありません。
子どもが自分の力で人生を歩めるようになる、親もまた自分の人生の目標を見つけ、それに向かって努力する姿を子どもに見せる、こうした関係をつくることが、不登校の根本的な克服になるのです。
目に見える形態としては、「フリースクールに行く」「支援学級に行く」「転校する」「高校から行けるようになる」「アルバイトを始める」「就職する」などさまざまですが、子どもが自分の意思で人生を歩み始めることが出発点なのです。
親が自分の傾向性を変えていくとき、この方向性を目指していくことが大切です。
高機能発達障害によるもの~人間関係がうまくつくれない~
不登校の第二の原因は、子どもの高機能発達障害の二次障害によるものです。
つまり、ADHD(多動性発達障害)や広汎性発達障害、アスペルガー症候群(高機能自閉症)、LD(学習障害)などを持つ子どもが集団生活に不適応を起こす場合です。
高機能発達障害は、物理学者のアインシュタインもそうだったと言われるように、非常に高い知能指数を示す場合があります。
そのため、学習にさほど問題がなく、一見分かりにくいのですが、通常とは違う印象を受けます。
それは、人間関係がうまくつくれず、集団に適応しにくいということです。高機能発達障害の子どもは、情報の取り入れ方が極端に偏っている面があります。
たとえば、目で見る文字などの情報は理解できるのですが、耳からの情報は理解できないところがあります。
そのため、しかられても同じことを繰り返し、「君は話を聞いているのか」とまたしかられてしまいます。
友達から仲間はずれにされ、いじめにもつながりやすくなります。この場合は、周りの人間ができるだけ目から文字情報などで伝えるように心がけると、コミュニケーションがとりやすくなることもあります。
背景に高機能発達障害があるケースの場合、家族や学校の先生、クラスメイトが対応の仕方を知らずにいじめにあったり、不登校になったりします。
不登校になってはじめて、本人が高機能発達障害と分かることもよくあります。
高機能発達障害が原因の不登校は、親の傾向性が原因の不登校とは違うアプローチが必要です。
いじめに対しては、親として戦う必要がある
不登校の原因の第三は、いじめです。いじめは加害者が悪いことはあきらかなので、(学校側がいじめの事実を隠蔽する場合もあります)、親として戦っていく必要があります。
いじめ問題に関しては、まずは学校の先生とよく相談しましょう。放っておくと、どんどんいじめがエスカレートしていく可能性があります。
一方で、いじめが原因の不登校の中に、親の傾向性(偏りのあるものの見方や考え方)が重なっていることがあります。
また、いじめが子どもの高機能発達障害をきっかけに始まっていることも考えられます。
それらの場合は、別途の対応が必要になってきます。
その他の原因によるもの
その他の不登校の原因として、統合失調症やうつなど精神疾患の家族がいる場合が考えられます。
精神疾患の親が働けずに家にいて、子どもがストレスを受けて不登校になるというケースです。
さらには、子どもが犯罪に巻き込まれたことをきっかけに不登校になっているケースがあります。
暴力事件に巻き込まれたり、性的犯罪の被害者になったりして、心に深い傷を負うことは、今の時代ではあり得ないことではありません。
この場合は、専門家のケアが必要です。これ以外には、子どもがあまり勉強を好きではなく、学業自体に向いていないことも考えられます。
学校での集団教育に向かない子どもが一定の割合でいると言われています。
その場合、早めに社会に出て、仕事に就いたほうがいいかもしれません。料理人などのいわゆる職人仕事に向いているかもしれません。
住み込みで親方が面倒を見てくれるような仕事を考えてみるといいかもしれません。
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