フリーターとひきこもり支援
フリーターについて語る場合、非正規雇用と言い換えたほうが正確かもしれません。
これは社会保険(年金・健康・雇用・労災)が完備されていない状態を指します。
特に長期アルバイトでありながら、雇用している事業所が年金と健康保険をかけない問題は、このところ報道でもよく取り上げられています。
注意していただきたいのは、これはひきこもり支援におけるひとつのゴールであって、このあと続くであろうワーキングプア(定期的に働いても最低生活費の基準を下回る収入しかない)などの問題をあえて看過しています。
現在、全労働者数中、非正規雇用が3割を超えています。(総務省労働力調査2008年1月から3月平均によると、雇用者に占める非正規雇用の割合は34%です)。
現在のグローバル経済が続く限り、非正規雇用の割合はけっして減ることはないでしょう。
なぜなら、雇用調整が可能な非正規雇用の存在は、厳しいグローバル経済を生き抜く企業にとって絶対に必要な存在だからです。
経済の動向にあわせて人件費が「調整」できる3割もの層を、企業が簡単に手放すとは思えません。
その反動からか、労働組合側もやっと重い腰をあげ、非正規雇用への社会保険の適用の拡大を求め始めました。
このように、ワーキングプアの問題は、青年への個人的自立の問題というよりは、国の政策や労働組合の問題として考えるほうがわかりやすいです。
換言しますと、制度・政策の問題です。ちなみに現在、景気の上昇とともに企業の高卒・大卒の新卒採用も大幅に増加しています。
しかし、これは「新卒」対象であって、いわゆる「既卒」や「中退」が対象ではありません。
ひきこもりやニートの多くは、これら「既卒」者や「中退」者です。
ですから、フリーター(ワーキングプア)は、ひきこもりの支援においては一つのゴールではありますが、その当事者の長い人生からすればスタートでもあります。
自分のやりたいことがわからない若者たち
自分のやりたいことは何であるのかを悩む若者に対する支援は非常に難しいものがあります。
高校も大学側も支援機関も、エントリーシートの書き方の相談や面接の練習など、さまざまなメニューを用意しています。
しかし、「何を仕事とすべきか」について悩んでいる若者に、特定の仕事をすすめる支援は行われていません。
この背景には、自己選択をよしとする風潮に加えて、大学の就職部にとっても、「大手企業に入れれば幸せである」というようなシンプルな信仰や「つべこべ言わずに働け」という論理にリアリティがないということがあります。
そのために本人の「やりたいこと」に寄り添った支援となりがちなのです。
しかし本人の「やりたいこと」を前提とした支援は、もともと「やりたいこと」がわからなくて悩んでいる若者をさらに悩ませ、一歩踏み出すことを難しくさせがちです。
本人の「やりたいこと」に基づく就職支援の問題点
現在の学校の就職支援は、若者の目標ややりたいことに寄り添って実施されています。
若者の側も同じ理想を持って移行を行おうとしています。特に四年生大学進学者は、「なぜ働くのか」「何を仕事にするのか」ということについて悩んでいます。
しかし相談相手は、保護者または友達にとどまっていて、学校が意識されることはあまりありません。
これは学校の支援が、若者側でやりたいことが決まっていることを前提としてなされるため、そこまで行きつかない若者は支援を利用しにくいためであると思われます。
支援する側も、何も表明しない若者に対する支援は難しいものがあります。
また従来のように、大企業=いい就職とは言えなくなり、仮にそのような前提をおいたとしても、大企業に入れるチャンスは減っています。
また、「働かざる者食うべからず」というのも説得力に欠けています。
どのような理念と方針を持って支援を進めていけばよいのか、支援する学校の側も今、迷いの中にあります。
高等学校の就職活動支援の現状
高校によっては、進路のための活動をしない生徒に対して教員から積極的なアプローチがなされており、学校の働きかけにのった生徒は、おおむね卒業時に就職することができています。
ただし、生徒への働きかけは、教員個人の努力に任されているのではないかと思われます。
けれども生徒に対して学校からの働きかけが有効なのは、ある程度求人がある場合に限られ、東北地区は学校の働きかけにのっても就職は困難な場合もあります。
しかし卒業時点で就職できなくても、高校の働きかけにのっていた若者は卒業後も比較的活動的であるのに対して、高校からの働きかけにのらなかった場合には、卒業後非活動的な状態にあったり、将来への見通しが持てずにアルバイトを転々としたりしています。
こうした学校への指導にのらない生徒には、学校からの支援よりも、学校から他機関へ紹介する方法が考えられえます。
また逆に、若者支援機関から卒業した学校に対する紹介もあってよいと思います。
さらに高等教育以下の中退について、就学する場合には支援が見られましたが、就業に対する支援は見られませんでした。
就業希望者に対しては、学校外の若者支援機関への紹介などは可能ではないかと考えられます。
学校内における選抜基準と支援対象の限定
高卒で就職の場合、卒業の見込みが立たず推薦が受けられなかったり、成績があまりよくないと推薦されなかったりという例が見られますが、専門学校の例でも成績が悪いということで、支援を受けられない人たちもいました。
学校段階にかかわらず、選抜基準による就職支援の限定は、学校が主体となって支援をしようとする限り、必ず生じる問題と言えます。
求人が少なくなってくると、欠席・成績によって就職先に配分するというよりも、欠席・成績によってそもそも支援の対象となるかどうかが左右されることになります。
けれども学校において支援の対象を、まじめな学校生活を送らなかった生徒にまで同じように広げることは、まじめな学校生活を送るインセンティブを低めることになるため、安易に基準を緩めるわけにもいかないというジレンマがあります。
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