ひきこもり生活とお金
ホーム > ひきこもり生活とお金

ひきこもり生活とお金

ひきこもりの生活を支える上で、どの家庭でも考慮しておくべき「限界」が3つあります。それは、「寿命」「お金」「暴力」です。ここでは「寿命」と「お金」という問題の取り扱いについて考えてみましょう。

 

 

 

 

ひきこもり本人に社会参加を望むのであれば、「お金」は必須です。お店に行って、お金を払って、物を買うという行為、これはもっとも簡単にできる社会参加の第一歩です。だからこそ定期的に「小遣い」を与える必要があるのです。

 

 

 

 

お金を渡さなければ必要に迫られて自分から働き始めるのではないか、と考えるご家族は多いのですが、実際にはほとんどそうはなりません。お金を使わない生活に慣れてしまうだけです。

 

 

 

 

あるいは「必要に応じて」お金を渡す、という与え方もありますが、これも間違いです。小遣いの渡し方にはルールがあります。月給制、すなわち「毎月一定額を渡す」という方針です。一定額の枠をしっかりと守ることで過剰な浪費を予防できます。

 

 

 

 

そればかりではありません。ひきこもりにおいて最も避けるべき事態は「欲がなくなってしまうこと」です。親への気遣いから「もう小遣いは要らない」と拒否するケースも少なくありません。

 

 

 

 

しかし、拒否をいいことに渡さずにいると、いっさいお金を使わず、ひたすら無為に過ごす生活に陥ってしまいます。

 

 

 

 

ひとつには浪費を防ぐため、あるいは欲望の枯渇を防ぐためにも、ここは強引にでもお金を与え続ける必要があるのです。

 

 

 

 

金銭問題に「寿命」、すなわち親亡き後の問題をからめて考えるなら、ライフプランと相続についてもしっかり考えておかなければなりません。

 

 

 

 

とりわけひきこもり当事者の高年齢化がいよいよ深刻化しつつある昨今、もはやこの問題は避けて通れないものになりつつあります。

 

 

 

 

経済的な見通しについて言えば、今後もし親に万が一のことが起こった場合に家族の経済事情はどうなるのか、この点を具体的な数字に基づいて話し合っておく必要があります。

 

 

 

 

資産や借金がどのくらいあるのか、保険金はどの程度期待できるのか、相続はどのようになるのか、相続に関していえば、この機会に遺言状を作成しておくことも検討しておくべきでしょう。

 

 

 

 

こうした話し合いは、本人に危機感を植え付けるためではなく、ひきこもり本人をひとりの大人として信頼し、その判断にゆだねるためになされることになります。

 

 

 

 

経済的に本当に余力がなく、ひきこもり本人の扶養がこれ以上は難しい場合は、現実的なタイムリミットを設定しておく必要もあるかもしれません。

 

 

 

 

これも「あと何年以内になんとかしてくれ」ということを言うためではなく、ご両親が「われわれの老後の生活を考えると、あなたを扶養していけるのはあと何年が限界だ。それ以降は障害者基礎年金か生活保護を受給しつつ別々の生活をしていこう」ということを宣言するわけです。

 

 

 

 

家の資産に余裕があることをひきこもり本人が知ると、就労意欲がなくなってしまうのではないかと心配する家族もいます。中には「もう家にはお金はない」「親が死んだらどうするの」といった脅しめいた言葉で本人を動かそうとする家族もいます。

 

 

 

 

しかし、そうした言葉で追い詰めても、ひきこもり本人からは「ホームレスになるからいい」「どうせ自殺するから」といった自暴自棄な言葉が返ってくるだけです。

 

 

 

 

「食うため」ではなく、「承認のため」「自尊心のため」に働く若い世代にとっては、資産の有無はあまり問題になりません。むしろ、家の資産状況を具体的に知ることで、社会参加へのリアルな意欲が芽生えてくることも期待できます。

 

 

 

 

わが子の前で、お金の話はしない、というのは、悪い意味での子ども扱いです。

 

 

 
PAK52_ashibayanohito20140315500_TP_V1

 

ひきこもりの多くの問題が、こうした子ども扱いから生じてくることを考えるなら、それをやめることをためらう理由はないでしょう。

 

 

 

 

土地を担保にして、ひきこもりの生活資金を捻出する方法

 

 

 

 

自宅はあるけれど、建て替え費用を出すほどの余裕はない、または、手元にあるお金を使ってしまうことに抵抗がある、そのような場合は「リバースモーゲージ」の利用を検討してもよいかもしれません。

 

 

 

 

リバースモーゲージとは、自宅(土地)を担保にしてお金を借りる制度のことです。リバースには逆という意味があり、通常は家を買って住宅ローンを返済していくのに対し、自分の持ち家(土地)を担保にしてお金を借りる仕組みです。

 

 

 

 

しかも、契約者が死亡するまでは、そのまま自宅に住み続けることができます。

 

 

 

 

リバースモーゲージの利用方法はいろいろとありますが、土地を担保にして資金を捻出し、そのお金を老後の生活費にする方法が一般的です。

 

 

 

 

この方法を利用する場合、亡くなった後、担保として差し入れた物件を手放すことで、借りたお金と利子を清算します。

 

 

 

 

そのほかに、自宅の建て替えのために、リバースモーゲージを利用する方法も検討できます。

 

 

 

 

土地を担保にして捻出した資金で自宅を新築することができますし、立地がよければ賃貸併用住宅を建てることも可能になります。

 

 

 

 

ただし自宅を新築する場合は、借りたお金は親が亡くなったときに返さなければならず、ひきこもりのお子さんにそれらの手続きができそうにないなら、自分たちだけが住む住宅ではなく、賃貸併用住宅、あるいは賃貸物件に建て替えるためにリバースモーゲージを利用することをおすすめします。

 

 

 

 

建て替えに費用がかかるとしても、賃貸分の家賃収入が入ることによって、建て替え資金を少しずつ回収できますし、ローンの完済を目指すプランも検討できるからです。

 

 

 

 

親が要介護認定を受けるなど、将来的にお子さんとの同居が難しくなった場合、リバースモーゲージを使って親の住み替え費用(入居一時金など)を捻出する方法もあります。E146_tamagawakaranomachinami500_TP_V1

 

 

 

 

ただし、賃貸併用住宅に建て替えて自分は別のところに住んだり、親が住み替えて住民票を移したい場合は、銀行が扱うリバースモーゲージしか使うことができません。

 

 

 

 

リバースモーゲージを契約するための条件、お金の借り方・返し方は、実施している機関によって異なります。

 

 

 

 

ひきこもりやニート等の思春期問題において、「お金・小遣い」は、たいへん重要な位置をしめています。

 

 

 

 

ひきこもりに限らず思春期事例の支援・治療において、お金の扱い方には原則があります。

 

 

 

 

それはまとめると、次の3つほどの原則になります。

 

 

 

 

(1)  小遣いは十分に与える。

 

 

 

 

(2)  金額は必ず、一定にする。

 

 

 

 

(3)  その金額については、ひきこもり本人と相談して決める。

 

 

 

 

この最初の項目を見ただけで、もう不安にかられるご家族も少なくないでしょう。

 

 

 

 

小遣いを十分に与えたりしたら、仕事をする気がなくなってしまう、と危惧する人もいるでしょう。TSU88_tabidachi500_TP_V1

 

 

 

 

しかし、ほんとうに共感が成立していれば、このような発想は出てきません。

 

 

 

 

本人がひきこもっているのは、けっして「働きたくないから」ではなくて、「働きたいのに働けないから」なのです。

 

 

 

 

ほとんどのご家庭で、なんとなく「欲しいときに欲しいだけ」という、あいまいなかたちで、お金のやりとりがされています。

 

 

 

 

これは二重の意味で危険です。一つは、激しい浪費につながりやすいためで、もう一つは、だんだんお金を欲しがらなくなってしまうことがあるためです。

 

 

 

 

「とくに欲しいものはないから、お金はいらない」などといいはじめたら、これはたいへん危険な兆候です。

 

 

 

 

ひきこもりの事例では、意欲のみが乏しくなるわけではありません。

 

 

 

 

しばしば性欲や物欲などといった、さまざまな欲望が全般的に少なくなることがあります。

 

 

 

 

すたたび精神分析によるなら「欲望は常に他人の欲望」ということです。

 

 

 

 

つまりわたしたちがほしがるものは、多かれ少なかれ他人が欲しがるものなのです。

 

 

 

 

物の価値は他人の欲望の度合いによって決まり、わたしたちはおおむね、その価値にしたがった欲望を持つのです。

 

 

 

 

捨てるつもりのものが、他人にねだられたとたんに、惜しくなったりするのも、このためです。

 

 

 

 

逆に言えば、社会との接点が希薄になり、距離が離れるほど、欲望も薄れていきます。

 

 

 

 

こうした欲望の衰えが進んでしまうと、そこから戻ってくるのが非常に大変になります。

 

 

 

 

物欲を刺激し、消費活動というかたちでの社会参加を促すためにも、小遣いは十分にあげるべきことを、もう一度、強調しておきます。

 

 

 

 

消費もまた社会参加の一つのかたちであり、ほとんどのひきこもりにとって、社会と接するための唯一の砦なのです。それを奪うべきでないことは、当然のことです。

 

 

 

 

わたしは、ある程度十分なコミュニケーションが成立するようになったら、本人の生活費がどれほどかかっているか、その点を常に明確にすべきであると考えています。

 

 

 

 

これは、本人の嗜好品や趣味、ファッションなどにかけられる金額すべてを指しています。

 

 

 

 

逆に言えば、食費や光熱費以外に本人が必要とする金額です。

 

 

 

 

こうした金額をすべて明らかにした上で、それら一切を小遣いとしてまかなわせることが理想です。

 

 

 

 

実際に本人に尋ねてみると、とても足りないような少額を申し出ることが案外多いものです。

 

 

 

 

これはやはり、ひきこもりの本人の引け目や申し訳なさのあらわれと考えるべきでしょう。

 

 

 

 

わたしの経験でも、本人に決めさせてとんでもない高額に決定した、という事例は記憶にありません。

 

 

 

 

 

月に数十万円も消費するようなケースでは、ほぼ例外なく、欲しい時に欲しいだけ渡すというやり方がとられていました。

 

 

 

 

まずお金を計画的に使えるようにすることが目標ですから、「何のためにどれくらいのお金が必要であるか」という、細目にわたるリストを話し合いながら作り、それをもとに決められれば、申し分ありません。

 

 

 

 

なかなか決めづらいときは、過去半年から一年間の月平均の額を計算し、それに準じて決定するのが、もっとも現実的で説得力があるでしょう。

 

 

 

 

こうして金額が決定したら、あとはその枠組みを守らせることです。

 

 

 

 

使いすぎたら我慢さるか、あるいは「前借り」を認める方法もあります。

 

 

 

 

逆に本人がアルバイトをはじめた場合などでも、当分は小遣いを渡し続けたほうがよいです。

 

 

 

 

小遣いを「一定にする」とは、そういうことです。

 

 

 

 

お金は人を狂わせることもありますが、そのぶん適切に用いれば、人を正気づけることもできるものです。

 

 

 

 

お金は使えばなくなる、あるいは使わなければ貯まる、このあたりまえの感覚すら十分に身についていないひきこもりが、いかに多いことでしょうか。

 

 

 

 

金銭についての原則を守ることは、こうした感覚を身に付けることで、自分の経済的なポジションへの自覚を促すことになるはずです。

 

 

 

 

ひきこもりのおこづかいについて

 

 

 

 

ひきこもっている子どもにおこづかいをどうするか、という問題があります。

 

 

 

 

ひきこもりにはいった子どもたちは、実際のところ社会との接点が極めて限定されますので、あまり多額のお金を使うということはありません。

 

 

 

 

しかし雑誌やマンガ、あるいはCDなど、少なからず自分の関心のある世界はもっているものです。

 

 

 

 

それが彼らの社会との窓口になります。また、コンビ二に買い物に行くということも、閉塞した日々を送っている彼らにとっての同様に社会との接点になります。

 

 

 

 

それらの意味から、あまり多額ではない金を、しかも親に干渉されないで自由に使える額を定期的に渡すようにするのがよいのではないかとわたしは考えています。

 

 

 

 

その額はそれぞれの家庭の経済状況に合わせて、決めるのがよいでしょう。その子どもの状態やその時期にもよりますが、あまりに逸脱した高額を渡すのは、現実感覚を失わせてしまう危険があります。

 

 

 

 

途方もない額を子どもから要求される場合も同様に、無条件に渡すことは避けたいものです。

 

 

 

 

最近ではインターネットでのショッピングや、通信販売で購入できるということも多くなり、実際にお金をもっていなくても、親のお金を当てにした買い物が可能になってきています。

 

 

 

 

その意味でも、お金の管理が難しくなっています。お金というものは、現実そのものです。

 

 

 

 

ですので、おこづかいの額を増やしてほしい、あるいはインターネットなどを使っての購入額が多くなるようであれば、それについて話し合うことが必要でしょう。

 

 

 

 

ひきこもった子どもとの対話はほとんどの場合、難しいものです。しかしこのような「いつものこととは違うこと」が起こったときには、話し合いをするチャンスです。

 

 

 

 

とはいえ、実際の直接的なやりとりが難しい場合には、メモでの対話やドア越しの対話など、工夫が必要になでしょう。

 

 

 

 

彼らは内省する時間がたくさんある分、年齢以上に成長し成熟している部分もあります。

 

 

 

 

その一方で、現実感覚は実に未熟です。ひきこもっている期間が長ければ長いほど、その傾向は顕著で、全体の成長がアンバランスなのです。

 

 

 

 

とくに金銭的な感覚は麻痺しがちで、「こんなつらい思いをしているのだから、親はこれだけくれてもいいはずだ」と法外な金額を要求してくることもしばしばです。

 

 

 

 

本人の達者な弁論でまくしたてられると、ついついそんな気にさせられて大きな買い物をさせられるということもよく聞きます。

 

 

 

 

あるいは逆に本人が遠慮しがちな生活をしていると、親のほうが不憫に思って大きなお金を動かす(たとえば車を買い替えるとか、住まいを移すなど)ということもあります。

 

 

 

 

一概にすべてが悪い、とは言えません。必要な場合もあるに違いありません。しかし原則をいうならば、自分たち両親自身や他の子どもたちに我慢させて、無理をしながらあまりに無理なことは「できない」という現実によってしか、伝えることはできないのです。

 

 

 

 

ゴネ負けをして途中でお金を出すくらいなら、最初から「出せない」というべきなのです。

 

 

 

 

しっかり腹をくくれないなら、言うべきではありません。そして先のケースでお話したように、ある日突然、「もうお金がない」といわれても、本人はそこからどのように抜け出したらよいのか、わかるはずはないのです。

 

 

 

 

ひきこもりが緩んでいく過程で、インターネットを使ったり、さまざまな学校に入学してみたり・・・・と、そのつど必要な出費はあるものです。

 

 

 

 

先の久美子さんの病院へのタクシー代も、それが一見、非常識な依頼であることを十分に知りつつも、そのときに必要な出費だとわたしは判断して、母親にお願いしています。

 

 

 

 

どうすると過保護になり、どうすると必要な保護になるのかは個々のケースの、そしてそのケースの時期によって異なってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-439-4355
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援