ひきこもりの発端となる不登校
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ひきこもりの発端となる不登校





今日、学校に籍があるのに、合理的な理由なしに何ヶ月も登校しない生徒の総称として「不登校」という言葉が用いられています。





このなかには、昔からあるような怠学も含まれていますが、「社会的ひきこもり」と関係があると見られているのは、不登校の中でも一時期「登校拒否」と呼ばれていた事例が中心であると考えていいでしょう。





このタイプの生徒は、それまではまじめに学校に通い、学校生活で問題といわれるような行動は見られず、むしろ「いい子」とさえ見られていたのが、ある日突然学校に行かなくなるという経過で、いわゆる不登校の状態が始まります。





この「突然」は、家族にとっては確かにそう感じるのですが、あとで尋ねてみると心身の不調の訴え、苛立ちやすさ、ふさぎこみと妙な明るさなどの感情の波、会話が以前より少なくなり何か考え込んでいる様子など、何らかの予兆があったことに気づく場合が少なくありません。





その背景には、子どもは「いい子」であることで自分の影の部分を隠すと同時に、親は「いい子」であることを期待し、それが満たされることで満足し、それ以上子どもの内面には関心を向けてこなかった可能性があります。





このようなタイプの不登校が始まるきっかけは、慢性的ないじめに耐え切れなくなった場合を除き、試験の点数が悪かったこと、担任や部活の先生に叱られたこと、友人にいじめられたこと、異性から交際を求められたこと、あるいは異性の友達に「いっしょにいても面白くない」といわれたことなど、第三者から見れば些細なこととも考えられる内容であることがけっこう多いものです。





しかし、いつも100点を取っていた生徒が80点を取ったときのショックとか、これまで体罰を一度も受けたことのなかった子どもが受ける初めての体罰は、それがたとえ拳骨で頭を一回軽く殴られたという程度のものであっても、本人にとっての重大事であることは、ある程度理解できます。





そして、本人自身も、自分にとっては大きな出来事が多分、周囲の人にとっては些細なことでしかないことに薄々気づいていて、そのため他の理由をつけて学校に行かないと主張しているようにも見えます。





いずれにしても、不登校の当初に述べる「授業が面白くない」とか「学校に行っても意味がない」というような学校に行かない理由は、周囲の者が、「ああ、そういうことなのか」とすぐに納得できるようなものではないことがほとんどです。





そのため、この時点で述べられている理由は「あれこれ理屈をつけて学校に通えなくなっている状態」を示すものとして受けとめることが大切で、本当の理由は、本人が隠していることもあれば、本人にとってもよくわからないこともあるとみてよいでしょう。





そのほか頭痛や腹痛も、「学校に行かない」あるいは「学校に行けない」心の状態を体で語っていると考えることがよいのです(ただし、実際に身体病の兆候であることも否定できませんから、本人が不安を訴えるときには医師の受診をさせることが必要です。心身症とみられる症状を心理的な問題として理解するには、身体的な原因が否定されていることの確認が必要です)。





このような表現方法は、自分の抱えている困難を察してほしいというサインですから、これへの対応には赤ちゃんの泣き声を的確に聞き分けてそれに応じる母親のような対応が期待されるのですが、一方、思春期の子どもの場合には、周囲の者が内心を過度に読み取ると自分の内面に侵入されたと感じて不安を呼び起こすことがあり、これが思春期の対応の難しいところです。





すなわち「辛さを察してほしいが、あまり正確に言い当てられても困る」のです。特に、親から言い当てられることは、親から自立しなければと考えながら、不登校という自立不全が起きている状態では混乱を招きかねません。





そこで、無難な方法は、時間はかかりますが、辛さを察しながら本人が話し出すのを待つということになります。





事実、不登校が何か心の傷になるような出来事を契機として始まった場合には、子どもたちが信頼できる人に出会うことができ、コミュニケーションができるようになった後で、その人にだけその内容が話されることがあります。





そして、そのような話ができるときには、その人との関係に助けられて心理的問題がかなり改善されてきているといってよいでしょう。





また、ある種の出来事をきわめて重大事に受けとめてしまうことの背景には、対人関係の経験の少なさが指摘できるでしょう。





多くの子供たちは、単に「いい子」でいるだけでなく、親に反抗したり、いたずらをして先生に叱られたりするなかで、時には謝りながら甘えるといった人間関係を経験することや、友達に対して適度に自己主張し、適度に対立しながらその相手とどこかで折り合うことを学習するなかで、多様な適応方法を身につけていくものです。





これに対して、幼いときから優等生であったり、優秀選手であったりする者は、その立場を維持するために自虐的といえるほどに自分の欲望を抑制し、ひたすら先生に褒められ、認められることを頼りにして生きてきているので、その先生から叱責され、見放されてその保護を失うことは、自分の生存基盤を失うほどの出来事となるでしょう。





そうでなくても、今の子どもたちが学校生活のなかで常にいい子でい続けることは、知的興味の世界にいて、人と感情的に関わることを避けながら、他方では周囲に同調することに心を砕き、専ら身の安全を確保するといった生活を続けていることでもあるのです。





不登校を含め、これまで「いい子」と呼ばれてきた子どもたちが思春期に示す問題行動を「いい子の息切れ現象」と呼ぶことがありますが、これにはこういった学校生活でのたいへんさを問題行動という形で現し、この困難な問題解決を周囲に肩代わりさせるといった一種の無意識の企みであるようにも見えます。





それは、不登校その他の不適応行動が始まると、ようやく周囲がその子のことを心配し始めてくれるからです。そこで問題になるのは、子どもたちから見て、親が心配するのは果たしてわたしのためなのか、親自身の体面のためなのかという疑問です。





この疑問があながち間違っているといいきれないのは、しばしば次のような対応を親たちが見せることがあるからです。





その一つは、子どもの問題を周囲に隠し、相談や援助の機会を遅らせてしまうことで、もう一つは、学校の方針や担任等の教員を一方的に批判して勝ち誇り、かえって子どもの学校における立場を難しくしてしまうことです。





しかも、このような対応を親自身は子どもの立場を擁護するためだと思っています。





特に、不登校の子どもに対して登校するように強く促したことから「家庭内暴力」に発展する例は、しばしば見られるところですが、このような事例では、親が子の暴力を周囲や学校に隠す傾向が強く、このような暴力のことはとても恥ずかしくてわたしたちは言い出せませんでしたとあとから述懐します。





一方、子どもたちのなかには、母親に激しい暴力を振るったかと思うと、その後で母親の膝に取りついて甘え、親は自分のことをどう思っているのか、どのような気持ちで自分を産んだのかを繰り返し確かめることがあります。





その心の奥底には、親の愛に対する根深い疑念が見受けられるのです。







そして、これらの不登校事例に見られる諸特徴は、これに続く「社会的ひきこもり」事例にも多分に見出される特徴であるということができます。





「社会的ひきこもり」になりやすい子どもたち





どのような子どもが、社会的ひきこもりの状態になりやすいのでしょうか。多くの専門家の間で一致している点は、男子に多く、なかでも長男に多い点です。





このほか中流以上の家庭の子どもに多く、離婚や単身赴任などの特殊な条件を伴うことは少ないといわれています。今でも、結婚したら妻や子どもを経済的に養う責任を負わなければならないと考えている男性が多く、若者のなかにもこのような考えを持っていて、その責任の重さに圧倒されていることが少なからず認められます。





これが、「社会的ひきこもり」事例が女子よりも男子に起きやすい理由の一つであると考えられます。





また、長男が多い点については、第一子の養育条件とは、まず、親が育児に慣れていないため不安が強く、育児のやり方が一貫しにくく、子どもが不安を抱きやすいことです。





また、行動を見習う対象が比較の対象にならない親しかいないので自信が持ちにくいこと、それに反して親の期待は高く、それを受けて到達目標が高めになりすぎるため失敗しやすく、その結果用心深くなるともいわれています。





これに対して、第二子以下は、親がある程度育児に慣れているため、神経質にならずに済み、兄姉という比較的自分の能力に近い行動のモデルもあるうえに、兄姉を親との関係で反面教師として観察できるので、一般に要領がよく、思いきった行動が取れるといわれています。





このように考えると、長男が思春期に自立を要請されたとき、何となくひきこもりやすくなるのもうなずけるように思います。





また、家庭の条件が比較的整っているという点では、この年齢に達するまでの間に、心の葛藤や複雑な人間関係の葛藤を経験する機会が少なく、特に「いい子」と呼ばれてきた子どもの場合には、いわゆる悪童の場合と比較して、多様な対応を身につける機会が乏しく、一本調子の適応方法で通ってきたことが窺われます。





そして、ひきこもりになりやすい性格傾向として、次の点を挙げたいと思います。





①傷つきやすさ・問い返せなさ②やさしくて、思いやりの深い「いい子」③自分を好きになれない④自信のなさと高いプライド⑤まじめさと完璧主義⑥柔軟性が乏しく、不安を抱きやすいの6つで、いずれも上述した指摘に通じるところがあると思います。





なお、このような性格の子どもが必ずひきこもりになるわけでもないし、これと違った性格の子どもがひきこもることもある得ることなので、子どもの性格が前記に合致するからといって、余計な不安は抱かないでください。





ここで、社会的ひきこもりになりやすい性格特徴を紹介したのは、このような発達障害の問題を考えるうえで、どこに、どのような問題があるかを理解する手がかりを得たいと考えるからです。


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