ひきこもりの概念
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ひきこもりの概念

「ひきこもり」はさまざまな要因によって社会的な参加の場面が狭まり、就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態のことを指します。

 

 

 

 

 

これはなにも特別な現象ではありません。何らかの理由で、周囲の環境に適応できにくくなったときに、ひきこもるということがありえます。

 

 

 

 

 

このような「ひきこもり」のなかには、生物学的な要因が強く関与していて、適応に困難を感じ、「ひきこもり」を始めたという見方をすると理解しやすい状態もありますし、逆に環境の側に強いストレスがあって、「ひきこもり」という状態に陥っていると考えたほうが理解しやすい状態もあります。

 

 

 

 

 

つまり、「ひきこもり」とは、病名ではなく、ましてや単一の疾患ではありません。また、「いじめのせい」「家族関係のせい」「病気のせい」と一つの原因で「ひきこもり」が生じるわけでもありません。

 

 

 

 

 

生物学的要因、心理的要因、社会的要因などが、さまざまに絡み合って、「ひきこもり」という現象を生むのです。

 

 

 

 

 

ひきこもることによって、強いストレスを避け、仮の安定を得ている、しかし同時にそこからの離脱も難しくなっている「ひきこもり」は、そのような特徴のある多様性を持ったメンタルヘルス(精神的健康)に関する問題ということができます。

 

 

 

 

 

ひきこもりの実態は多彩

 

 

 

 

 

よく「ひきこもり」をしている人の性格の特徴が、あたかも一種類にくくれるような言われ方をすることがありますが、実際には、多彩な人々が「ひきこもり」の状態に陥っています。

 

 

 

 

 

そして、そのときのご家族の対応にも、かなりの多様性があります。「ひきこもり」への援助の特徴として、この多様性への対応ということがあげられます。

 

 

 

 

 

○ 生物学的要因が強く関与している場合もある

 

 

 

 

 

「ひきこもり」という行動をとる人の中には、生物学的要因が影響している比重が高くて、そのために、「ひきこもり」を余儀なくされている人がいます。

 

 

 

 

 

たとえば、統合失調症、うつ病、強迫性障害、パニック障害などの精神疾患にかかっている人です。これらの疾患にかかると、不安や恐怖心などがとても強くなり、人と会うことが困難になったり、症状のために身動きできずにひきこもらざるをえなくなったりすることがあります。

 

 

 

 

 

また、軽度の知的障害があったり学習障害や高機能広汎性発達障害などがあるのに、そのことが周囲に認識、理解されず、そのために生じる周囲との摩擦が本人のストレスになることがあります。

 

 

 

 

 

このようなストレスが過剰になった場合に、ひきこもることでそれを回避するものの、精神的に不健康な状態を持続させてしまうというパターンに陥る人もいます。

 

 

 

 

 

○ 明確な疾患や障害の存在が考えられない場合もある

 

 

 

 

 

それに対して、明確な精神疾患や障害の存在が考えられないにもかかわらず、長期間にわたって自宅外での対人関係や社会的活動からひきこもっている人もいます。

 

 

 

 

 

成長とともに「生活のしづらさ」が増え、それを回避するように「ひきこもり」を始めたり、何らかの挫折感を伴う体験や心的外傷となる体験が引き金となって、社会参加への困難感が強まり、「ひきこもり」に陥ったりすることがあるのです。

 

 

 

 

 

精神科的観点から詳細な診断をすると、パーソナリティ障害や社会恐怖などと診断される人もこの中には含まれます。

 

 

 

 

 

ひきこもりの長期化は、一つの特徴

 

 

 

 

 

ひきこもるようになったとしても、「3日ひきこもったのでストレスから回復して元気になった」ということと、「3年間ひきこもっても、楽になるめどがたたない」ということでは、生じている現象が異なっていると考えられます。

 

 

 

 

 

ひきこもりの長期化は、以下のようないくつかの側面から理解することができます。ただこれも、複数の要素が混在していると考えるほうが適切です。

 

 

 

 

 

○ 生物学的側面

 

 

 

 

 

たとえば、昼夜逆転はしばしば起こりやすい状態ですが、このような状態では体内時計が変調をきたし、ホルモンの分泌のリズムなどに変化が生じてしまいます。

 

 

 

 

 

そうすると、体のリズムを戻すのに、少し時間を必要とします。また、「ひきこもり」の背景に精神疾患がある場合には、その疾患の治療をすることなしには、意欲の低下や不安感、緊張感などは軽減しません。

 

 

 

 

 

そのために外出困難な状態が持続します。あるいは、ひきこもるという対処行動自体がストレスになって、二次的に精神疾患が発現する場合もあります。

 

 

 

 

 

ともすると、「気持ちの問題」と考えやすい状態のなかにも、神経システムの機能の変化が起きていて、医学的な観点からさまざまな工夫が必要な状態が生じることがあります。

 

 

 

 

 

○ 心理的側面

 

 

 

 

 

たとえば、ひきこもる以前に本人にとってかなりのストレスがあり、それに耐えようと踏ん張っていたためひきこもると同時に大きな挫折感や疲労感を抱え、回復が大幅に遅れてしまうことがあります。

 

 

 

 

 

踏ん張りがあまりにも負担であったため、以前属していた集団に復帰するのに強い拒否感を持ってしまうような場合もあります。

 

 

 

 

 

あるいは、「ひきこもり」という生活パターンを繰り返すなかで、次第に人との交流の機会が減少し、他人に会うときの緊張感や不安感を考えて、また他者からの否定的な評価におびえて、社会に出て行くことがより困難になるような場合もあります。

 

 

 

 

 

一般的に、本人は自分に対する評価が低くなっており、他者からのマイナスの評価がひどくこたえるようです。

 

 

 

 

 

パーソナリティ障害と呼ばれるような人の場合には、いわば「こころのクセ」のために、上述したような心理的困難が顕著で行動を変えにくくなっているのです。

 

 

 

 

 

○ 社会的側面

 

 

 

 

 

「ひきこもり」の人を取り巻く社会環境も、この状態に影響を与えます。たとえば、就労や就学以外に選択肢を認めない環境では、いったんひきこもった人が再び社会参加をするには、多くの困難があります。

 

 

 

 

 

「ひきこもってしまったら将来はない」とか「みんなと違うことをすることはよくない」といった価値観が優勢な場合には、ご家族も本人も、「悪いこと、不利なことをしている」といった認識になって援助を求めることもできず、孤立しがちになります。

 

 

 

 

 

そのような場合は、本人や家族の回復への力が十分に発揮できにくいものです。また、気軽にこのような問題を相談できる適切な場所が身近にあるかないかということも長期化に影響を与えている可能性があります。

 

 

 

 

 

「ひきこもり」の状態からの回復は、なかなか個人の力では難しいときがあるからです。

 

 

 

 

 

多様な価値観が尊重されるように社会のあり方を変えることで、困難を抱えながらも生きやすくなっていくこともあるのです。

 

 

 

 

 

以上のように、「ひきこもり」の長期化は、さまざまな要素により精神的健康を損ね、離脱が困難になっている状態ととらえることができます。

 

 

 

 

 

したがって援助にあたっては、「なぜ、ひきこもってしまったのか」と原因をつきとめようとするよりも、「今の膠着状態を変えるために、どのような工夫が必要か」ということを優先して関わりを始めるほうが、より安全で確実なあり方であると思われます。

 

 

 

 

 

そのためにも、多面的なものの見方を維持しながら、「今ここで」をどうするかについての適切な態度と技術が援助する側には必要となります。

 

 

 

 

 

「社会的ひきこもり」とは

 

 

 

 

 

近年まで、「ひきこもり」といえば、統合失調症などの精神疾患のために、なかなか社会参加ができない人たちへの援助が、地域精神保健の中心的な課題でした。

 

 

 

 

 

しかし、ここ15年ぐらいの間に、10代で不登校をしている人々の数が増加し、また、それらの人々が就学年齢を過ぎても必ずしも社会適応がうまくいっていないという調査結果も出るようになりました。

 

 

 

 

 

つまり、狭義の精神疾患とはよべないが「ひきこもり」を呈している人への援助が地域精神保健の課題としてクローズアップされてきたわけです。

 

 

 

 

 

そこで、このような対象者の状態のことを、狭義の精神疾患を有するために生じる「ひきこもり」状態と区別して、「社会的ひきこもり」とよぶようになりました。

 

 

 

 

 

たとえば精神科医の斉藤環氏はその著書の中で「20代後半までに問題化し、6ヶ月以上、自宅にひきこもって社会参加しない状態が持続しており、他の精神障害がその第一の原因とは考えにくいもの」と、その定義を述べています。

 

 

 

 

 

しかし、これはあくまでも状態像の記述であり、医学的診断として提唱されているものとはいえません。すでに述べてきたように、「社会的ひきこもり」というカテゴリーに当てはまる人のなかにも、さまざまな病態や状況の人がいるのが現実なのです。

 

 

 

 

 

すなわち、ある人が「社会的ひきこもり」か否かという議論には、それほど大きな意味があるとはいえません。

 

 

 

 

 

むしろ、現実に即して押さえておくべき大切な事柄は、①多様な人々が、ストレスに対する一種の反応として「ひきこもり」という状態を呈すること、②狭義の精神疾患の有無にかかわらず長期化するものであること、そして③「ひきこもり」という状態の特徴として、本人の詳しい状況や心理状態がわからぬままに、援助活動を開始せざるをえないことが多々生じていることであると思われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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